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誕生日パーティ編 その22
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それがあるんですよ、なんとですね、私は貴女の娘じゃないんです。……勿論言えないんだけど。
でもお母様は全て分かった上で私を見ている気がする。言ってないんだから絶対にそんなはずはないんだけどね。
いずれは言わなければならないけど……二人はなんて言うのかな。このまま言わないなんてことは許されないし、失礼だもの。
きっとアレクやアーグレン、イサベルみたいには受け入れてくれないと思うけど……でもいつかは絶対に言わなきゃ。
だが今だけはこのパーティを楽しみたい。また来年もこのパーティをリティシアとして楽しめるとは限らないのだから。それくらいは許してくれるだろう。
「ねぇリティ。今、貴女は幸せ?」
お母様は私の瞳を覗き込んで、優しい声で問いかける。思えば彼女はいつも私の……リティシアの幸せだけを願っていた。
お父様を見ると、彼も同様に私を見つめていた。私と同じ淡いピンク色の瞳が、ふわりと揺れている。
隣に立つアレクに視線を向けると、彼は優しい眼差しでこちらを見つめていた。この眼差しをこの先もずっと独り占めできるのであれば、私の答えは簡単だ。
「はい。……幸せです」
「良かったわね。本当に…良かったわ」
お母様は私の手を取ると、そう言って微笑む。流石絶世の美女であるリティシアの母親だ。母親になってからもこの美しさならば若い頃は相当モテたのだろう…。
「ところでリティ、そのネックレスは……?」
不思議そうにお父様が尋ねるので、私が答えようとしたのだが、お母様がいち早く声をあげる。
「あら、殿下からのプレゼントに決まってるじゃないの。そうですよね?殿下」
「はい。先程プレゼントさせて頂きました。公爵夫人には何でもお見通しですね。流石です」
「ふふ、殿下は褒めるのがお上手ね」
そんなことないとかは言わないんですね……まぁさっき自分で言ってたものね。そりゃぁ否定しないか。
お父様は私のルビーのネックレスをまじまじと見つめると、胸に生じた疑問を呟いた。
「なるほど、殿下から……。殿下、もしやそのルビーは貴族でさえなかなか手に入らない高級品ではありませんか?」
「はい。よくご存知ですね。その通りです。公爵令嬢に似合うプレゼントはそれしかないと確信致しまして……色々な手段を駆使して手に入れて参りました。」
「確かにその通りですね……わざわざ有難うございます、殿下」
「お父様否定して下さい」
「え、どこをだい?リティ」
「……」
アレクもそうだけど否定しないお父様はもっと恥ずかしい。私はイサベルの胸に顔を埋めると「もうやだ私が恥ずかしいわ……」と弱々しい声で呟く。
イサベルは「リティ様……」と私の髪を優しく撫でてくれた。これこそ正に癒やしの時間。主人公の包容力は凄まじいわね…。
イサベルに撫でられて眠くなりながら少し顔を上げ、周りを見渡すとアルターニャの姿が目に入る。彼女は心底つまらなそうに休憩用の椅子に腰掛けていた。
相変わらず話しかけてくる人をぞんざいに扱っている。
見てられないわね、全く……。私は皆に少し用があると伝え、一人で歩き始める。
「あーあ、つまんないわね。でも今日はリティシアの誕生日だし……仕方ないから何もしないでおいてあげるか。」
近づく私に全く気づかない彼女が、耐え難い退屈さにそんなことを口にする。仕方ないじゃなくてずっと何もしないで頂きたい。
「王女様」
彼女はようやく私に気づくと目を見開いて驚いたが、こほん、と咳払いをして腕を組む。
「あらリティシア、殿下と随分仲良さそうだったじゃないの。この私の前でいい度胸ね……」
私はその言葉の裏に隠された真意を即座に読み取ると、呆れてため息をつく。
「……分かりましたよ」
「何がよ?」
「アレク、ちょっとこっちに来て」
「アレ……!?今アレクって言った!?貴女アレクって言ったわね!殿下を愛称で呼ぶなんて図々しいにも程が……」
うるさいなこの王女は……。どうしても話したいってことでしょ、アレクと!私だってこんなことしたくないわよ。
でも……なんだか凄く寂しそうだったのよね。
そして、私に呼ばれたことに気づいたアレクがこちらへとゆっくり歩いてくる。ぎゃーぎゃー騒いでいたはずのアルターニャは言葉を止め、彼に一瞬にして釘付けになる。
「リティ、どうし……あぁ、アルターニャ王女様もいらしていたんですね。ご挨拶が遅れて申し訳ございません」
「いえ全然気にしておりませんわ!今日も変わらず殿下は輝いてますわね!」
アルターニャは勢いよく立ち上がると興奮したような声色で呟く。
この変わりよう凄いな……。というかこの人毎回輝いてるって言ってない?もう語彙がないんでしょ。
「ところでその……リティ、ってお呼びになられていましたけど……お二人はいつの間にそんな関係に……?」
アルターニャは戸惑いながらそう尋ねてくるので、彼の代わりに私が答えることにする。
でもお母様は全て分かった上で私を見ている気がする。言ってないんだから絶対にそんなはずはないんだけどね。
いずれは言わなければならないけど……二人はなんて言うのかな。このまま言わないなんてことは許されないし、失礼だもの。
きっとアレクやアーグレン、イサベルみたいには受け入れてくれないと思うけど……でもいつかは絶対に言わなきゃ。
だが今だけはこのパーティを楽しみたい。また来年もこのパーティをリティシアとして楽しめるとは限らないのだから。それくらいは許してくれるだろう。
「ねぇリティ。今、貴女は幸せ?」
お母様は私の瞳を覗き込んで、優しい声で問いかける。思えば彼女はいつも私の……リティシアの幸せだけを願っていた。
お父様を見ると、彼も同様に私を見つめていた。私と同じ淡いピンク色の瞳が、ふわりと揺れている。
隣に立つアレクに視線を向けると、彼は優しい眼差しでこちらを見つめていた。この眼差しをこの先もずっと独り占めできるのであれば、私の答えは簡単だ。
「はい。……幸せです」
「良かったわね。本当に…良かったわ」
お母様は私の手を取ると、そう言って微笑む。流石絶世の美女であるリティシアの母親だ。母親になってからもこの美しさならば若い頃は相当モテたのだろう…。
「ところでリティ、そのネックレスは……?」
不思議そうにお父様が尋ねるので、私が答えようとしたのだが、お母様がいち早く声をあげる。
「あら、殿下からのプレゼントに決まってるじゃないの。そうですよね?殿下」
「はい。先程プレゼントさせて頂きました。公爵夫人には何でもお見通しですね。流石です」
「ふふ、殿下は褒めるのがお上手ね」
そんなことないとかは言わないんですね……まぁさっき自分で言ってたものね。そりゃぁ否定しないか。
お父様は私のルビーのネックレスをまじまじと見つめると、胸に生じた疑問を呟いた。
「なるほど、殿下から……。殿下、もしやそのルビーは貴族でさえなかなか手に入らない高級品ではありませんか?」
「はい。よくご存知ですね。その通りです。公爵令嬢に似合うプレゼントはそれしかないと確信致しまして……色々な手段を駆使して手に入れて参りました。」
「確かにその通りですね……わざわざ有難うございます、殿下」
「お父様否定して下さい」
「え、どこをだい?リティ」
「……」
アレクもそうだけど否定しないお父様はもっと恥ずかしい。私はイサベルの胸に顔を埋めると「もうやだ私が恥ずかしいわ……」と弱々しい声で呟く。
イサベルは「リティ様……」と私の髪を優しく撫でてくれた。これこそ正に癒やしの時間。主人公の包容力は凄まじいわね…。
イサベルに撫でられて眠くなりながら少し顔を上げ、周りを見渡すとアルターニャの姿が目に入る。彼女は心底つまらなそうに休憩用の椅子に腰掛けていた。
相変わらず話しかけてくる人をぞんざいに扱っている。
見てられないわね、全く……。私は皆に少し用があると伝え、一人で歩き始める。
「あーあ、つまんないわね。でも今日はリティシアの誕生日だし……仕方ないから何もしないでおいてあげるか。」
近づく私に全く気づかない彼女が、耐え難い退屈さにそんなことを口にする。仕方ないじゃなくてずっと何もしないで頂きたい。
「王女様」
彼女はようやく私に気づくと目を見開いて驚いたが、こほん、と咳払いをして腕を組む。
「あらリティシア、殿下と随分仲良さそうだったじゃないの。この私の前でいい度胸ね……」
私はその言葉の裏に隠された真意を即座に読み取ると、呆れてため息をつく。
「……分かりましたよ」
「何がよ?」
「アレク、ちょっとこっちに来て」
「アレ……!?今アレクって言った!?貴女アレクって言ったわね!殿下を愛称で呼ぶなんて図々しいにも程が……」
うるさいなこの王女は……。どうしても話したいってことでしょ、アレクと!私だってこんなことしたくないわよ。
でも……なんだか凄く寂しそうだったのよね。
そして、私に呼ばれたことに気づいたアレクがこちらへとゆっくり歩いてくる。ぎゃーぎゃー騒いでいたはずのアルターニャは言葉を止め、彼に一瞬にして釘付けになる。
「リティ、どうし……あぁ、アルターニャ王女様もいらしていたんですね。ご挨拶が遅れて申し訳ございません」
「いえ全然気にしておりませんわ!今日も変わらず殿下は輝いてますわね!」
アルターニャは勢いよく立ち上がると興奮したような声色で呟く。
この変わりよう凄いな……。というかこの人毎回輝いてるって言ってない?もう語彙がないんでしょ。
「ところでその……リティ、ってお呼びになられていましたけど……お二人はいつの間にそんな関係に……?」
アルターニャは戸惑いながらそう尋ねてくるので、彼の代わりに私が答えることにする。
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