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第Ⅰ章 はじまりの鐘

第2話 

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この世界では夢と希望詰まってる(と思われている)魔法というものが存在しており、それこそファンタジー世界観の様に妖精・精霊・魔物・魔族という様々な要素キャラクターが存在している。大体が普通の人でも扱え…てっていうのは生きてる彼らに失礼か~。一般の人でも力を貸してくれるのが普段から花や木々に住んでいる小妖精フルル。力は弱いけど誰にでも力を貸してくれるし、生活魔法系はこの子達が全部補ってくれている。因みに、さっき私が屋根から飛び降りたときに着地を風で緩ませたのも小妖精達に力を借りたものだった。まぁ、もっと大きなダンジョンみたいな奥深いとこに行けば大物の精霊とかにも会えちゃったりもするみたいだけど、正直私は平和に暮らしていけるくらいの力があれば十分だからなぁ~…。

「セ、セリシール?僕の話、聞いてくれてる?」
「聞こえてますけど、あえて無視してました」
「現実逃避せずに話を聞きなさい、姫」
「……モウシワケゴザイマセン」

わんこ属性の父様の声に棒読みで返せば、恐ろしいほどきれいな笑顔の母様が凄んできたので、シャキッと姿勢を正して聞く体制に戻す。が、話を聞いていくうちに体は震え、気づけば心の声を大にして叫んでいた。

「なぜそんな話が今でて、もうすぐ誕生日を迎えるかわいい娘に話をもってきたんですか!?折角、自由に生きてのんびり隠居ライフを送ろうとしている天使のような娘の翼を捥ぐというのですか、父様!?」
「姫様ご自身のこと天使だと思われていたんですか?」
「こんな理不尽がまかり通っていいはずがない!娘ラブの父様が許すはずあるわけない!!!というかほんっとうに行きたくない!絶対いや!却下!なんで、この私が~~」

かの大国のサピルス王国に嫁がなきゃいけないんだよおおおおお!!!!しかもよりによってに!!

「仕方がないことなのよ~、セリちゃん。これも母国の為、王女の務めを果たしてまいりなさい」
「…………母様ぁ、本音はー?」
「サピルス王国の第一皇子って超絶イケメンらしいの」
「それで?」
「わたくし、昔からイケメンで格好いい息子がほしかったのよね」

母様が私のことをちゃんづけするときって大概、私に嫌なことなんだよね。そういうことで苦虫つぶした顔で問いかければぶっちゃけられた。そんな母様の話に私は床を強く殴りつけたのは私、悪くないよね?!結局、これって私が母様の息子がほしい希望を叶えるための道具だったってことでしょ!?

「私は母様にとってただの捨て石と変わらないっていうの…!」
「まぁ、そんなにいやだっていうなら仕方ないわねぇ」
「えっ」
「貴女が行かないのなら、仕方ないのだけれどコクリコを行かせるしかないわ…」
「私が死にますいきます!」
「あら、いいお返事。流石わたくしの娘だわぁ」

* * * * *

回想おわり。という感じで、私は地獄行きのチケットを自分から受け取ったのでしたー!はぁ、帰りたい超帰りたいすんごい帰りたい。でもバックレたら私の天使がロリコンの生贄に…。

「あーあ。平和に暮らしたーーーい」
「来世の話ですか?」
「いまの話!!!」
「姫様、もうすぐご到着いたしますよ」

御者の言葉に窓から先をのぞき込む。自国とは違う大きな門に賑わう市場。やってきてしまった世界の有力な武力国家であり、英雄騎士エドラルドが初代国王という大変有名な国、サピルス。かくいう私の母国フィオーレ国は前々から説明した通りの田舎の小さな国であり小さな小さな極小な母様のお願いわがままさえなければ、あちら様には目の端に映らないであろう雑魚だったはずなのに!!!

「本当、我が母ながら何者なんだろうね……」
「貴女様の母君であり、貴女様をこんな姫らしくない姫に育てた女性かたですよ」
「悪かったな!姫らしくなくって!!」

さらっと毒吐くなよ!もっと敬ってよ!私が主人だよ?!あと姫らしくないのは母様のせいじゃない…、私の元々の性格のせいなのさ!!!!

「敬ってほしいなら、早く身支度の準備をさせていただきたいのですがね」
「ねぇ」
「だめです」
「え、まだ何もいって」
「このまま逃げ出していい?というおつもりでしょう。嫌ですよ。他国にまで来て貴女様を探しに行くことも、逃げ出したことをアンリス様にご報告することも、だからめんどくさいので早く仕事させてくれ諦めろ

きゃああああああ!!!!!……って、かわいらしい悲鳴が上げられたらよかったのにね!笑




2024.10月 修正
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