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第Ⅰ章 はじまりの鐘
第1話 はじまり
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私の名前はセリシール・フィオーレ。ここは私の住むフィオーレ国、そして私はこの国の第一王女として生をうけました。そんな私は実は誰にも言えない秘密を抱えていたりします。私は過去、…いえ、この場合前世と言ったら正解なのかもしれないセリシールという人物じゃない人間の記憶を持っているんです。所謂、転生者といったらわかりやすいのかも。まぁ、正直前世の記憶があってもどこかのヒロインみたいにがんばっちゃおー!ってならないのが私なんだけども、ひとつだけ言いたいことといえば…。
「ただの乙女ゲーマーが王女とか泣ける……!!!」
「また何を訳のわからないことを言ってるんですか、姫様」
そう前世はただの乙女ゲーマー×オタクだった私は、さっきも説明した通りものすごーーーーく小さな国だったとしても大国に負けないくらい栄えちゃってると思われるこの国の王女として誕生しちゃったがために、大国の皇子も嫁ぎに行くというまさかの地獄入口コースへ強制ルートに突入させられている(←現在ここ)
「嫁ぐとかマジ泣ける!!!」
「まだ言ってのですか…。大国の皇子、しかもあのサピルス国の第一皇子に嫁ぐということが、他の国の姫君たちからみたらどんなにうらやましいことか…、往生際の悪い」
「聞こえてますけど!?私にとったら第一だろうが、第四だろうがどーでもいいわ…」
「またそのようなことを…。あなた様はもう少し権力者に媚びることを覚えてはいかがですか??」
「あーあー!何もきこえないーーー!またメアリーのお小言が始まったーーー!」
メアリーのお説教に耳をふさいで顔をそむけると、ため息を吐く気配を察知するけどため息を吐きたいのはこっちだよ…。と、実際ため息を吐きながら、こうなってしまった元凶ともいえる数日前の出来事を頭の中で思い出した。
* * * * *
私が生まれ落ちた国、通称小花の国とよばれる小さな小さな田舎の国。それが、フィオーレ国。そんな国の国王である父様はヘタレわんこ属性で、王妃である母様は自由奔放腹黒属性の間に生まれたのがこの私、セリシール・フィオーレである。そして、そーーーしーーーて!そんな私の9つ下にうまれた天使。そう、天使!コクリコ・フィオーレの4人がフィオーレ国の王族となっているんですが、小国故に基本町の人たちとは交流しっぱなしだし、王城には数人のメイドと執事のみ。……基本は自分たちでできることはやりましょーねスタイルだし、それプラス母様が放任主義だったからか知らないけど、まぁ現代の一般市民として育った身としては全然かまわないけどね。そんなスタイルのおかげか姫なのに、ちょーっと自由奔放だし、料理・掃除・洗濯という第三家事はメイド並みにできるように育てられたけど!姫なのに!
「セリ様。またこのような場所に…」
「げぇ、メアリー」
「またそのような言葉遣いを…。いい年した年齢なのですから、いい加減まともに授業をお受けください」
「何いってんのメアリー!ちゃんと習った上でこの言葉遣いですけどー?」
「……ああ言えばこう言う。そもそもそのような場所で足を広げないでください」
少しだけ眉がよったメアリーによって、おおっぴろげになっていた足を強制的に閉ざされて引っ張られて立ち上がらされた場所は、民家の屋根の上。今日は春の陽気の暖かさに誘われて、城下偵察としつつお昼寝でもしようかなって思っていたところに専属侍女であるメアリーに発見されてしまったのだ。悲しい。ちなみに屋根の下ではこの間入ったばかりの新人侍女ちゃんがおろおろしている。
「ちぇー。折角いいお昼寝スポットだったのになぁ」
ため息をつく私をみてため息をつくメアリー。そんな彼女をみてそのまま屋根から一歩踏み出す、もちろん踏みだした先に地面があるわけもなく重力に従って沈む足と目線。私の奇行に慣れてしまったメアリーは一言も発さず呆れた視線だけをこちらによこすのだ。いや、せめて何か言ってよ姫だよ私。ちゃんと小さな悲鳴を上げた新人ちゃんの横に微笑みつつ降り立てば、すぐ横に立ったメアリーが「性悪」と口が動いたのをしっかり私はみたよー?
「メアリーったらぁ、こーんなに性格がよくて愛されちゃってる王女なんてどこさがしても私だけだと思うんだけどなぁ?」
「王城にお戻りください」
「無視!?」
「…グラジオラス様がお呼びです」
「とーさまがー?」
用事ってなによー。うーんと考えながら父様の用だったら別に今すぐに帰らなくてもよくない?いいよね?ヘタレわんこパパは娘ちゃんに激甘だし?ちょーっと甘えた声だせばころっと許しちゃうカモじゃん。っていう思考が瞬時に頭を駆け巡るそんな考えを読んだのか、メアリーが心底いやそうな顔をして口を開いた。
「アンリス様」
「さぁ、帰ろっかー!なにしてるのメアリー!さぁ帰ろう今すぐ帰ろう瞬時に帰ろう早く帰りたくなっちゃったなーー!!」
「瞬時に帰れるのはあなた様だけかと」
「言葉の綾だよ!!あと私もさすがにこの距離瞬時に帰るのは無理!」
というか、母様より父様の名前だすあたりが悪意あるよね!?先に母様のこといえばすぐに帰るって言ったのに!
なんで父様の名前だしたの!?本当にこの子ったら主で遊ぶんだからぁ!!!
2024.10月 修正
「ただの乙女ゲーマーが王女とか泣ける……!!!」
「また何を訳のわからないことを言ってるんですか、姫様」
そう前世はただの乙女ゲーマー×オタクだった私は、さっきも説明した通りものすごーーーーく小さな国だったとしても大国に負けないくらい栄えちゃってると思われるこの国の王女として誕生しちゃったがために、大国の皇子も嫁ぎに行くというまさかの地獄入口コースへ強制ルートに突入させられている(←現在ここ)
「嫁ぐとかマジ泣ける!!!」
「まだ言ってのですか…。大国の皇子、しかもあのサピルス国の第一皇子に嫁ぐということが、他の国の姫君たちからみたらどんなにうらやましいことか…、往生際の悪い」
「聞こえてますけど!?私にとったら第一だろうが、第四だろうがどーでもいいわ…」
「またそのようなことを…。あなた様はもう少し権力者に媚びることを覚えてはいかがですか??」
「あーあー!何もきこえないーーー!またメアリーのお小言が始まったーーー!」
メアリーのお説教に耳をふさいで顔をそむけると、ため息を吐く気配を察知するけどため息を吐きたいのはこっちだよ…。と、実際ため息を吐きながら、こうなってしまった元凶ともいえる数日前の出来事を頭の中で思い出した。
* * * * *
私が生まれ落ちた国、通称小花の国とよばれる小さな小さな田舎の国。それが、フィオーレ国。そんな国の国王である父様はヘタレわんこ属性で、王妃である母様は自由奔放腹黒属性の間に生まれたのがこの私、セリシール・フィオーレである。そして、そーーーしーーーて!そんな私の9つ下にうまれた天使。そう、天使!コクリコ・フィオーレの4人がフィオーレ国の王族となっているんですが、小国故に基本町の人たちとは交流しっぱなしだし、王城には数人のメイドと執事のみ。……基本は自分たちでできることはやりましょーねスタイルだし、それプラス母様が放任主義だったからか知らないけど、まぁ現代の一般市民として育った身としては全然かまわないけどね。そんなスタイルのおかげか姫なのに、ちょーっと自由奔放だし、料理・掃除・洗濯という第三家事はメイド並みにできるように育てられたけど!姫なのに!
「セリ様。またこのような場所に…」
「げぇ、メアリー」
「またそのような言葉遣いを…。いい年した年齢なのですから、いい加減まともに授業をお受けください」
「何いってんのメアリー!ちゃんと習った上でこの言葉遣いですけどー?」
「……ああ言えばこう言う。そもそもそのような場所で足を広げないでください」
少しだけ眉がよったメアリーによって、おおっぴろげになっていた足を強制的に閉ざされて引っ張られて立ち上がらされた場所は、民家の屋根の上。今日は春の陽気の暖かさに誘われて、城下偵察としつつお昼寝でもしようかなって思っていたところに専属侍女であるメアリーに発見されてしまったのだ。悲しい。ちなみに屋根の下ではこの間入ったばかりの新人侍女ちゃんがおろおろしている。
「ちぇー。折角いいお昼寝スポットだったのになぁ」
ため息をつく私をみてため息をつくメアリー。そんな彼女をみてそのまま屋根から一歩踏み出す、もちろん踏みだした先に地面があるわけもなく重力に従って沈む足と目線。私の奇行に慣れてしまったメアリーは一言も発さず呆れた視線だけをこちらによこすのだ。いや、せめて何か言ってよ姫だよ私。ちゃんと小さな悲鳴を上げた新人ちゃんの横に微笑みつつ降り立てば、すぐ横に立ったメアリーが「性悪」と口が動いたのをしっかり私はみたよー?
「メアリーったらぁ、こーんなに性格がよくて愛されちゃってる王女なんてどこさがしても私だけだと思うんだけどなぁ?」
「王城にお戻りください」
「無視!?」
「…グラジオラス様がお呼びです」
「とーさまがー?」
用事ってなによー。うーんと考えながら父様の用だったら別に今すぐに帰らなくてもよくない?いいよね?ヘタレわんこパパは娘ちゃんに激甘だし?ちょーっと甘えた声だせばころっと許しちゃうカモじゃん。っていう思考が瞬時に頭を駆け巡るそんな考えを読んだのか、メアリーが心底いやそうな顔をして口を開いた。
「アンリス様」
「さぁ、帰ろっかー!なにしてるのメアリー!さぁ帰ろう今すぐ帰ろう瞬時に帰ろう早く帰りたくなっちゃったなーー!!」
「瞬時に帰れるのはあなた様だけかと」
「言葉の綾だよ!!あと私もさすがにこの距離瞬時に帰るのは無理!」
というか、母様より父様の名前だすあたりが悪意あるよね!?先に母様のこといえばすぐに帰るって言ったのに!
なんで父様の名前だしたの!?本当にこの子ったら主で遊ぶんだからぁ!!!
2024.10月 修正
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