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第一幕

はじめに

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はじめに、話しておきたいことがある。昔の私は、何にもできない役立たずで、本音も言えない小心者、強がって見せてもいつ捨てられるか怯える愚か者、他人を羨んで妬むバカで何も持っていない生きることに執着できなかった親不孝者だった。
そんな私が憑依したのは、母親殺しのお姫様。白銀のウェーブのかかった長い髪、赤いうさぎのような真っ赤なルビーを嵌め込んだ血のような瞳。何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も人生をやり直して、母親が死ぬ場面を見て、家族に裏切られて、罵られて、捨てられて、そんな人生を繰り返したのに人生を諦めずに生きてきた小さなお姫様に私は気づけばなっていた。

「君は、ずっと…」

そうずっと、憑依するまで気づくはずもなく気づけるはずもなく…小さな体で、大きな傷を持ったまま生きて、生きて、生きて…必ず母親を相手に復讐するために生き続けたんだね…。
いつかは理解してもらえる日が来ることを祈って、宿願を果たせる日を誓って…。

「嗚呼、可哀想なお姫様…」

なのに、こんな死に損ないの私なんかが君の中にはいってしまったから。
今でもまとわりつく死への渇望、執着…笑顔で貼り付けた裏に隠れる傷…そこだけは似ているのかもしれない。
誰かを恨んだことを、悲しみに暮れたこともあるかももう定かじゃないけれど、君になってしまった私が、こんな私が君の願いだけは叶えてあげることができたなら、今度こそ死んでしまっても神様は怒らないよね?

「見ていてください。お母さま」

盛大な終焉ハッピーエンドを目指して。
君を殺した相手このせかいを殺して見せるから。




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