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本編
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時間が過ぎる。
私は川の水で血でべとべとになった体をすすぐ。その間にフィールは茂みに隠していた私の衣服を持ってきてくれた。
「ありがとう、それよりもラルク達どこまで行ったんだろ?」
「さあ、隣の国まで行ったんじゃね?」
つい笑ってしまう。
「隣の国って何?行き過ぎでしょ」
私は服を着てフィールと一緒に川辺に座った。
「ねぇフィール、私達が初めて会ったときのこと覚えてる?」
そう切り出すとフィールは苦笑いして答えた。
「ああ、よく覚えてるよ。弱い奴はいらないってラルクにケツ叩かれまくったからな」
「でも二人のやり取り私は好きだよ、ユーモアがあって面白い」
「いや、全然面白くねぇよ!他人事みたいに笑いやがって」
「フィールはどうして私のこと好きになったの?」
フィールは照れくさそうに鼻をかく。
「そりゃあ、可愛いし、性格も良いし・・・」
「それだけ?」
「あと、一緒にいると落ち着く」
「私も」
フィールの顔が赤くなった。
「背は低くて、頼りなくて、あんまカッコよくないけど」
「何だよそれ!?全然惚れられてないじゃん?」
私はフィールのそう言うところが好きだ。貴族の連中ときたら軽い冗談すら通じないんだもの。
「でも一緒にいると和む。いっそ全てのしがらみが無くなったら良いのになって思うよ」
「どんなしがらみか知らないけどそんなもの俺が全部断ち切ってやるよ」
それは無理、私がプリンセスである限りどんなに平民が頑張ってもどうにもならない。叶わぬ夢と言うことは私が一番よく知っている。
きっとフィールは私が王女で婚約者もいることを知ったら幻滅するんだろうな、だからこそ今この時を大事にしたい。
私が選んだ人、私の惚れた人、私はあなたのことを心から愛している。この思いだけは本物だ。
その時、ズシン!と大きな物音がした。
何?私達は咄嗟に身構える。音は森の奥から聞こえてきた、目を凝らして闇を警戒する。
気のせいだろうか?
緊張が緩んだ瞬間、ズシン!とまた音がする。
気のせいじゃない!?
豚の顔、緑の肌、上半身裸で腰に布一枚巻き、人の2倍はあろうかと言う大きな体で森の中からそれは現れる。
オークだ。
フィールは弓を引く。
「何でこんなところにオークがいるんだ?聞いてないぞ」
しかも一匹だけではない、二匹、三匹・・・どんどん森の中から出てくる。
「どうするフィール、戦う?」
「逃げるんだよ!一対一ならともかく多勢に無勢じゃ分が悪すぎる。レフィは先に行ってノブさん達と合流しろ」
私はフィールの前に立った。
「前衛の弓兵なんて聞いたことが無いよ、ここは私が食い止めるからフィールが先に行って」
「何言ってんだ!お前一人置いて行けるかよ」
「私は鎧を着てるから足が遅い、ここはちょっとでも身軽なフィールが行った方が合理的でしょ?ノブとラルクがいればこんな奴等いくらいたって敵じゃない」
それでも渋るフィールを私は突き飛ばした。
「良いから早く行って」
「いいか、俺が戻るまで絶対にやられんなよ!」
そう言ってフィールは走って行く。
私は遠ざかるその背中をずっと眺めた。
大丈夫だよフィール、私、強いから。
それからどれくらいの時間が経ったのだろう?いや、全然経っていない。数秒が数時間にも感じられる時間の中で私は必死にオークと戦っていた。
ピンクの肌の子オークが私に襲いかかる、でも私はその棍棒を剣で払って蹴り飛ばしてやった。
ブヒィィィ!!!
まるで豚のように鳴く。
するとその子オークを大人のオーク達が庇った。
子オークが喋る。
「何だこの騎士、女のくせに強い」
「ルゥア様、あまりご無理をなさらずに。我々が甚振った後にゆっくりと犯してください」
なるほど、この子ブタがオークの頭。こいつを倒せば活路が開けるかもしれない。
私は一対三で果敢に挑む。怪物の棍棒を弾き、奴らの体から放たれる悪臭に耐え、子ブタに一撃を食らわせる隙を狙う。
「えぇ~い、しぶとい!」
オークがそう言うと一対三が一対四になり、私は窮地に陥る。
一体なら楽勝なのに、流石に・・・四体相手はきつい・・・
「はっ・・・はっ・・・はっ・・・」
息を切らして小刻みに呼吸する。
フィールはまだ?そろそろ限界。
森の向こうで鳥たちが騒めいた。
ラルク?
胸に希望がさす・・・だがそれはすぐに絶望へと変わった。
ノシノシと土に足跡をつけ、木々をへし折りながらそこから出てくる。普通の奴より何倍もでかく、黒い肌のオーク。こんな奴見たことがない・・・
私は川の水で血でべとべとになった体をすすぐ。その間にフィールは茂みに隠していた私の衣服を持ってきてくれた。
「ありがとう、それよりもラルク達どこまで行ったんだろ?」
「さあ、隣の国まで行ったんじゃね?」
つい笑ってしまう。
「隣の国って何?行き過ぎでしょ」
私は服を着てフィールと一緒に川辺に座った。
「ねぇフィール、私達が初めて会ったときのこと覚えてる?」
そう切り出すとフィールは苦笑いして答えた。
「ああ、よく覚えてるよ。弱い奴はいらないってラルクにケツ叩かれまくったからな」
「でも二人のやり取り私は好きだよ、ユーモアがあって面白い」
「いや、全然面白くねぇよ!他人事みたいに笑いやがって」
「フィールはどうして私のこと好きになったの?」
フィールは照れくさそうに鼻をかく。
「そりゃあ、可愛いし、性格も良いし・・・」
「それだけ?」
「あと、一緒にいると落ち着く」
「私も」
フィールの顔が赤くなった。
「背は低くて、頼りなくて、あんまカッコよくないけど」
「何だよそれ!?全然惚れられてないじゃん?」
私はフィールのそう言うところが好きだ。貴族の連中ときたら軽い冗談すら通じないんだもの。
「でも一緒にいると和む。いっそ全てのしがらみが無くなったら良いのになって思うよ」
「どんなしがらみか知らないけどそんなもの俺が全部断ち切ってやるよ」
それは無理、私がプリンセスである限りどんなに平民が頑張ってもどうにもならない。叶わぬ夢と言うことは私が一番よく知っている。
きっとフィールは私が王女で婚約者もいることを知ったら幻滅するんだろうな、だからこそ今この時を大事にしたい。
私が選んだ人、私の惚れた人、私はあなたのことを心から愛している。この思いだけは本物だ。
その時、ズシン!と大きな物音がした。
何?私達は咄嗟に身構える。音は森の奥から聞こえてきた、目を凝らして闇を警戒する。
気のせいだろうか?
緊張が緩んだ瞬間、ズシン!とまた音がする。
気のせいじゃない!?
豚の顔、緑の肌、上半身裸で腰に布一枚巻き、人の2倍はあろうかと言う大きな体で森の中からそれは現れる。
オークだ。
フィールは弓を引く。
「何でこんなところにオークがいるんだ?聞いてないぞ」
しかも一匹だけではない、二匹、三匹・・・どんどん森の中から出てくる。
「どうするフィール、戦う?」
「逃げるんだよ!一対一ならともかく多勢に無勢じゃ分が悪すぎる。レフィは先に行ってノブさん達と合流しろ」
私はフィールの前に立った。
「前衛の弓兵なんて聞いたことが無いよ、ここは私が食い止めるからフィールが先に行って」
「何言ってんだ!お前一人置いて行けるかよ」
「私は鎧を着てるから足が遅い、ここはちょっとでも身軽なフィールが行った方が合理的でしょ?ノブとラルクがいればこんな奴等いくらいたって敵じゃない」
それでも渋るフィールを私は突き飛ばした。
「良いから早く行って」
「いいか、俺が戻るまで絶対にやられんなよ!」
そう言ってフィールは走って行く。
私は遠ざかるその背中をずっと眺めた。
大丈夫だよフィール、私、強いから。
それからどれくらいの時間が経ったのだろう?いや、全然経っていない。数秒が数時間にも感じられる時間の中で私は必死にオークと戦っていた。
ピンクの肌の子オークが私に襲いかかる、でも私はその棍棒を剣で払って蹴り飛ばしてやった。
ブヒィィィ!!!
まるで豚のように鳴く。
するとその子オークを大人のオーク達が庇った。
子オークが喋る。
「何だこの騎士、女のくせに強い」
「ルゥア様、あまりご無理をなさらずに。我々が甚振った後にゆっくりと犯してください」
なるほど、この子ブタがオークの頭。こいつを倒せば活路が開けるかもしれない。
私は一対三で果敢に挑む。怪物の棍棒を弾き、奴らの体から放たれる悪臭に耐え、子ブタに一撃を食らわせる隙を狙う。
「えぇ~い、しぶとい!」
オークがそう言うと一対三が一対四になり、私は窮地に陥る。
一体なら楽勝なのに、流石に・・・四体相手はきつい・・・
「はっ・・・はっ・・・はっ・・・」
息を切らして小刻みに呼吸する。
フィールはまだ?そろそろ限界。
森の向こうで鳥たちが騒めいた。
ラルク?
胸に希望がさす・・・だがそれはすぐに絶望へと変わった。
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