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第三章:魔境でのんびり商売します。

お仕事終了、帰ります。

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 二体の土竜が咆哮し、土煙を上げて突っ込んでくる。

「ゲンさん、俺にドラゴンスレイヤーを売ってくれ!」

 まいど。

 俺はラグレスに竜殺しの剣を渡した。

 刃渡り200cmもある大剣を軽々と持ち上げるラグレス。エプロン姿の俺が持つより全然様になっている。

 土竜が大口を開けて地面から飛び出した。
 それをラグレスはいとも容易く両断する。あの硬いドラゴンが裂けるチーズの如く縦に割れていく。流石七聖竜の体から作った武器、物凄い切れ味だ。

 ズゥゥゥンと大きな地鳴りを上げ俺の左右に真っ二つになった土竜の死骸が転がった。
 ラグレスは剣を突き立ててその威力にただただ驚くばかり。

 すると残る最後の一体は恐れをなして再び地面に潜り出した。

 おっと逃がさないよ!

 俺はその尻尾を掴む。そしてグイグイと引っ張リ出す。

 グァッ、グァオオオー!!!

 必死に逃れようとのた打ち回るドラゴンを俺は押さえつけた。

「店長、あとは私に任せて下さい!」

 俺の前にアーシェが立つ。ラグレスが土竜を真っ二つにしている間に俺がポーションで回復させたのだ。

 アーシェが唱える。

「エクシードドライブ、ルーンアシスト、リローデッドフォース・・・」

 アーシェが呪文を唱える度に体の輝きが増す。
 もしかしてそれって強化魔法?ただでさえバカ魔力なのに増し過ぎじゃね?
 だがそんな言葉がこの爆裂魔に通じるはずもなく、重ねた魔法は10を超える。
 アーシェはようやく爆裂呪文を詠唱し始めた。

 あ~はいはい、待ちますよ。いくらでも待ってあげますよ。

 グォ、グォォォ!!!

 命の危険を感じ暴れるドラゴンを俺はがっちり抑える。

 アーシェは杖を掲げた。

「ダークフレイム・エクスプロージョン、ノヴァ!」

 火花が線を描いてドラゴンを襲う。そしてベスヴィオルの山頂に超特大の爆裂が起きる。

 ドゴォォォン!!!

 まるで噴火でもしたかのような大爆発、ドラゴンの体は木っ端みじんに吹き飛び俺は黒焦げになった。

 えぇ、分かってましたよ。こうなることは分かってましたとも。

 アーシェは全MPを使い切りその場に大の字になって倒れた。

 どんだけ世話焼かせるのこの子!?
 今ので売り物全部吹っ飛んじゃったしドラゴンスレイヤーは売れたしもう帰るか。



 今日の仕事はこれでお終い!



 俺は土竜の鱗を踏みつける。
 それは太陽の光を浴びキラキラ輝いていた。
 辺りを見るとそこら中に散らばっている。

 【鑑定】土竜の鱗(ダイヤモンド)

『超硬い[価格:1000万G]』
 

 うそ!?あのドラゴンの体ダイヤでできてたの???


 こいつはラッキー、拾っていこ。




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