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第三章:魔境でのんびり商売します。
ゲンさんの宿は異世界最先端。
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ムシャムシャ・・・
「んふぉ~!竜の肉は本当に美味いのう」
美味しそうに食事する爺さんを見てアーシェの顔が段々引きつってくる。
「店長ぉぉぉ~!」
俺は調理道具を洗いながら聞き返した。
「どうしたぁ~?」
アーシェはトレーを胸に抱えて爺さんを指さす。
「お爺さんが・・・お爺さんじゃなくなってます!」
「そうだな」
白い髪は潤いある茶髪へと変わり、顔のしわは消え、肌に艶が戻る。
そこには体のがっしりした青年がいた。
「はっはっはっ、なんか若返った気分だ」
「ホントに若返ってます!」
そう、何を隠そう俺が爺さんに食わせたのはヴォルケノスの肉、肝が寿命を10年延ばすならその肉は肉体を10年若返らせる。それを300gも食べさせたのだ、30~40年は若返ったとみていい。
「精力がみなぎってきた。どうだいお嬢さん、今夜私とパーリナイしない?」
なんか話し方まで若返ってる・・・
アーシェはトレーで顔を半分隠して苦笑いした。
辞めとけ爺さん、爆殺されるぞ。
「そう言えばこの顔・・・どこかで見た覚えがあります」
するとアーシェは何かを思い出したようにハッとする。
「そうです!町の広場にあった冒険者の銅像、あの顔にそっくりです!」
え、銅像?
俺は記憶を巻き戻す。
えぇ~、あれは二日前、アーシェと出会う以前の記憶だ。確か俺は噴水の淵に腰かけてバイトしてくれそうな女性を探していた・・・あ、あれか!?あの噴水の真ん中にあった銅像、あの人物とよく似ている。
「もしかしてあんた・・・伝説の冒険者ラグレス!?」
彼は腕を組んで言う。
「いかにも」
どうりで金持ってる訳だ。ラグレスと言えば世界を股にかけた伝説の冒険者、国の英雄である。幾多の魔境を制覇し、王国に富をもたらした。
確かとっくの昔に冒険業は引退したはず、まさか雲の上の人物と会えるなんて驚きだ。
もう爺さんなんて呼べないな。
「アーシェ、ラグレスさんにデザート持っていってくれ。偉大な勇者にサービスだ」
俺はアイスを出した。
「お~!?見たことのない食べ物だ」
ラグレスが一口食べる。
「これは美味い!甘い香りにさっぱりした味わい、一体何という食べ物だ?」
「バニラアイスと言います。スノータウロスの乳とベスヴィオルワイバーンの卵にバニラエッセンスを混ぜたデザートです、お口に会いましたか?」
「もちろんだ、今まで色んなところを旅したがこんな美味いもの初めて食べたぞ。店主おかわり!」
俺はもう一つアイスを出してやった。
そして食事が終わると俺はラグレスを101号室に案内する。
「ここがラグレスさんの部屋です。風呂もついてるんでどうぞ旅の疲れを癒していって下さい」
「風呂?」
ラグレスはバスタブを見て首を傾げる。この世界の人間にこういう一人用の風呂はあまり馴染みがない、風呂と言ってまず思い浮かべるのは町の公衆浴場くらいだろう。
俺はお湯を出して見せる。
「おぉ~、お湯だ、お湯が出ている!個室に風呂とはなんて贅沢なんだ?」
「あと飲み物も冷蔵庫にあるんで好きに飲んでください」
冷蔵庫を開けて見せる。
「この箱ひんやりしているぞ?氷が入っているわけでもないのにどうして?不思議だ」
それからエアコンのリモコンを操作する。
「室温は20度くらいでいいですか?暑かったり寒かったりしたらこのリモコンで調節して下さいね」
ラグレスは空調の冷気を顔に感じながら言う。
「上の口から冷たい風が、一体どうなってる??」
あと壁のスイッチを押して部屋の明かりをつけたり消したりして見せた。
「明かりはここで消せます、つまみを回すと光量も調節できますよ」
「店主!君は魔法使いか?」
いえ、ただのしがない商人です。
「んふぉ~!竜の肉は本当に美味いのう」
美味しそうに食事する爺さんを見てアーシェの顔が段々引きつってくる。
「店長ぉぉぉ~!」
俺は調理道具を洗いながら聞き返した。
「どうしたぁ~?」
アーシェはトレーを胸に抱えて爺さんを指さす。
「お爺さんが・・・お爺さんじゃなくなってます!」
「そうだな」
白い髪は潤いある茶髪へと変わり、顔のしわは消え、肌に艶が戻る。
そこには体のがっしりした青年がいた。
「はっはっはっ、なんか若返った気分だ」
「ホントに若返ってます!」
そう、何を隠そう俺が爺さんに食わせたのはヴォルケノスの肉、肝が寿命を10年延ばすならその肉は肉体を10年若返らせる。それを300gも食べさせたのだ、30~40年は若返ったとみていい。
「精力がみなぎってきた。どうだいお嬢さん、今夜私とパーリナイしない?」
なんか話し方まで若返ってる・・・
アーシェはトレーで顔を半分隠して苦笑いした。
辞めとけ爺さん、爆殺されるぞ。
「そう言えばこの顔・・・どこかで見た覚えがあります」
するとアーシェは何かを思い出したようにハッとする。
「そうです!町の広場にあった冒険者の銅像、あの顔にそっくりです!」
え、銅像?
俺は記憶を巻き戻す。
えぇ~、あれは二日前、アーシェと出会う以前の記憶だ。確か俺は噴水の淵に腰かけてバイトしてくれそうな女性を探していた・・・あ、あれか!?あの噴水の真ん中にあった銅像、あの人物とよく似ている。
「もしかしてあんた・・・伝説の冒険者ラグレス!?」
彼は腕を組んで言う。
「いかにも」
どうりで金持ってる訳だ。ラグレスと言えば世界を股にかけた伝説の冒険者、国の英雄である。幾多の魔境を制覇し、王国に富をもたらした。
確かとっくの昔に冒険業は引退したはず、まさか雲の上の人物と会えるなんて驚きだ。
もう爺さんなんて呼べないな。
「アーシェ、ラグレスさんにデザート持っていってくれ。偉大な勇者にサービスだ」
俺はアイスを出した。
「お~!?見たことのない食べ物だ」
ラグレスが一口食べる。
「これは美味い!甘い香りにさっぱりした味わい、一体何という食べ物だ?」
「バニラアイスと言います。スノータウロスの乳とベスヴィオルワイバーンの卵にバニラエッセンスを混ぜたデザートです、お口に会いましたか?」
「もちろんだ、今まで色んなところを旅したがこんな美味いもの初めて食べたぞ。店主おかわり!」
俺はもう一つアイスを出してやった。
そして食事が終わると俺はラグレスを101号室に案内する。
「ここがラグレスさんの部屋です。風呂もついてるんでどうぞ旅の疲れを癒していって下さい」
「風呂?」
ラグレスはバスタブを見て首を傾げる。この世界の人間にこういう一人用の風呂はあまり馴染みがない、風呂と言ってまず思い浮かべるのは町の公衆浴場くらいだろう。
俺はお湯を出して見せる。
「おぉ~、お湯だ、お湯が出ている!個室に風呂とはなんて贅沢なんだ?」
「あと飲み物も冷蔵庫にあるんで好きに飲んでください」
冷蔵庫を開けて見せる。
「この箱ひんやりしているぞ?氷が入っているわけでもないのにどうして?不思議だ」
それからエアコンのリモコンを操作する。
「室温は20度くらいでいいですか?暑かったり寒かったりしたらこのリモコンで調節して下さいね」
ラグレスは空調の冷気を顔に感じながら言う。
「上の口から冷たい風が、一体どうなってる??」
あと壁のスイッチを押して部屋の明かりをつけたり消したりして見せた。
「明かりはここで消せます、つまみを回すと光量も調節できますよ」
「店主!君は魔法使いか?」
いえ、ただのしがない商人です。
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