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3学年 後期
第273話
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「ハアッ!!」
「うぐっ!」
伸の右拳が、バルタサールの顔面を殴りつける。
それによって、バルタサールの口から血が飛び散る。
「フンッ!」
「がっ!!」
殴った伸に向かって、バルタサールの左フックが飛んでくる。
その拳を、伸はガードして防ぐ。
しかし、バルタサールのパワーによる一撃は、ガードの上から伸のテンプルに少なくない衝撃を加えた。
「ハッ!!」
「ぐっ!」
頭部に衝撃を受けたダメージにより、伸の動きが一瞬鈍る。
そこを逃さず、バルタサールは右ストレートを放ってくる。
その攻撃を、伸は両手をクロスすることによって受け止める。
「シッ!!」
「うっ!」
攻撃を受け止めた伸は、すぐさま前蹴りを放つ。
その蹴りが腹に突き刺さり、バルタサールは小さく呻いた。
「ハッ!!」
「フンッ!」
「っ!!」
腹に攻撃を受けて前傾姿勢になったバルタサールに、伸が右ストレートを放とうとする。
しかし、腹への攻撃が浅かったのだろう。
呻いて前傾姿勢を取ったのはワザとだったらしく、振りかぶった伸にカウンターを合わせるように左手で掌底を放ってきた。
「ぐっ!!」
「ムッ!?」
もう殴りかかっている状況で、動きを止めることはできない。
顎に向かってくるこの掌底が当たれば、脳を揺らされて重大なピンチに陥る。
そう考えた伸は、咄嗟の行動に移る。
右ストレートをフックに変えることで体を捻り、バルタサールの掌底を肩で受けることに切り替えた。
それが成功した伸は、少しの距離飛ばされるだけで済んだ。
「フッ、フッ……!」
「ハッ、ハッ……!」
少し距離ができた両者は、息を整えつつに睨み合う。
「フフッ!」
「……?」
突然、バルタサールが小さく笑う。
何が可笑しいのか分からないため、伸は首を傾げる。
「変身したら差が広がってしまったと思い、やはり私に脅威を与えるほどではないと思ていたが、そこからまさか互角に持ち込むなんて思いもしなかった」
バルタサールの言うように、魔族としての本性を現したことで伸との実力差が顕著に出てしまった。
大量の魔力による身体強化したバルタサールに伸の攻撃は全く通用せず、逆にバルタサールの攻撃を受けたら終わりな状況に陥ることになった。
その状況でも、伸は密かに罠となる魔法陣を仕掛け、バルタサールに大ダメージを与えることに成功した。
そのダメージを回復することに魔力を大量消費することになったことで、今のように互角の勝負に持ち込んできた。
自分に油断も多少はあったとはいえ、バルタサールとしては敵ながら天晴と言いたいところだ。
「しかし、やはり私の方が魔力量は上だ。お前に勝ち目はない」
ダメージの回復に魔力を大量消費したため、戦闘力は格段に落ちた。
しかし、それでも魔力残量は伸よりも上。
スピードで優る伸の方が攻撃を与える回数は多いかもしれないが、魔族としての肉体の耐久力とパワーがものを言い、ダメージとしては少ない。
代わりに、伸は自分の攻撃をガードの上から受けるだけでもダメージを負っている。
それも身体強化に使用する魔力量の差だ。
このまま続けるだけで、伸はそのうちダメージで動きが鈍くなっていくはず。
そのため、バルタサールは伸に勝利宣言をした。
「ハッ! それはどうかな?」
「愚かな……」
勝った気でいるバルタサールの言葉を聞いたうえで、伸は鼻で笑う。
伸ほどの強者ならば、自分の言っていることの意味は理解しているはず。
それなのにも関わらず、負けを認めようとしない往生際の悪い伸に、バルタサールは不機嫌そうに呟く。
「……いや、お前は口だけの人間ではないな……」
伸の目は、意地で負けを認めないといった感じではない。
それよりも、本気でまだ何か企んでいるかのように見える。
人間でありながら、自分が認めた存在。
そのため、バルタサールは先ほどの言葉をハッタリとは思えなくなった。
「面白い! かかって来いよ! 伸!」
何を企んでいようと、自分が勝つ。
そう考えているバルタサールは、嬉しそうな表情で手招きした。
「ハハッ! 行ってやるよ!」『脳筋がっ!!』
バルタサールの言っていることはあながち間違いではない。
はっきり言って、互角のように見えるこの戦いも、バルタサールの方が有利だ。
しかし、全く勝機がないわけではない。
かといって、伸に余裕はない。
勝てる確率は低いと分かっていながら、伸は余裕を見せるように笑みを浮かべてバルタサールに向かって行った。
「ハアァー!!」
「フヌァー!!」
接近すると共に、またも両者はぶつかり合う。
スピードで優る伸が2発当てれば、バルタサールが1発返すだけでチャラになる。
ダメージ的には、むしろ伸の方が上かもしれない。
それが分かっていながらも、両者の攻防は繰り広げられた。
「ハアァーー!!」
「グウゥ……!!」
伸の連打がバルタサールに襲い掛かる。
それを、バルタサールは必死になって防ぎつつ、カウンターの機会を窺う。
「フンッ!!」
「ぐっ!!」
速いことは速いが、バルタサールからすると伸の攻撃は軽い。
攻撃を受けつつ反撃をおこなえば、自分以上に伸にダメージを与えることができる。
それを確信しているバルタサールは、伸に殴られながら反撃を繰り返した。
「うぐっ!」
伸の右拳が、バルタサールの顔面を殴りつける。
それによって、バルタサールの口から血が飛び散る。
「フンッ!」
「がっ!!」
殴った伸に向かって、バルタサールの左フックが飛んでくる。
その拳を、伸はガードして防ぐ。
しかし、バルタサールのパワーによる一撃は、ガードの上から伸のテンプルに少なくない衝撃を加えた。
「ハッ!!」
「ぐっ!」
頭部に衝撃を受けたダメージにより、伸の動きが一瞬鈍る。
そこを逃さず、バルタサールは右ストレートを放ってくる。
その攻撃を、伸は両手をクロスすることによって受け止める。
「シッ!!」
「うっ!」
攻撃を受け止めた伸は、すぐさま前蹴りを放つ。
その蹴りが腹に突き刺さり、バルタサールは小さく呻いた。
「ハッ!!」
「フンッ!」
「っ!!」
腹に攻撃を受けて前傾姿勢になったバルタサールに、伸が右ストレートを放とうとする。
しかし、腹への攻撃が浅かったのだろう。
呻いて前傾姿勢を取ったのはワザとだったらしく、振りかぶった伸にカウンターを合わせるように左手で掌底を放ってきた。
「ぐっ!!」
「ムッ!?」
もう殴りかかっている状況で、動きを止めることはできない。
顎に向かってくるこの掌底が当たれば、脳を揺らされて重大なピンチに陥る。
そう考えた伸は、咄嗟の行動に移る。
右ストレートをフックに変えることで体を捻り、バルタサールの掌底を肩で受けることに切り替えた。
それが成功した伸は、少しの距離飛ばされるだけで済んだ。
「フッ、フッ……!」
「ハッ、ハッ……!」
少し距離ができた両者は、息を整えつつに睨み合う。
「フフッ!」
「……?」
突然、バルタサールが小さく笑う。
何が可笑しいのか分からないため、伸は首を傾げる。
「変身したら差が広がってしまったと思い、やはり私に脅威を与えるほどではないと思ていたが、そこからまさか互角に持ち込むなんて思いもしなかった」
バルタサールの言うように、魔族としての本性を現したことで伸との実力差が顕著に出てしまった。
大量の魔力による身体強化したバルタサールに伸の攻撃は全く通用せず、逆にバルタサールの攻撃を受けたら終わりな状況に陥ることになった。
その状況でも、伸は密かに罠となる魔法陣を仕掛け、バルタサールに大ダメージを与えることに成功した。
そのダメージを回復することに魔力を大量消費することになったことで、今のように互角の勝負に持ち込んできた。
自分に油断も多少はあったとはいえ、バルタサールとしては敵ながら天晴と言いたいところだ。
「しかし、やはり私の方が魔力量は上だ。お前に勝ち目はない」
ダメージの回復に魔力を大量消費したため、戦闘力は格段に落ちた。
しかし、それでも魔力残量は伸よりも上。
スピードで優る伸の方が攻撃を与える回数は多いかもしれないが、魔族としての肉体の耐久力とパワーがものを言い、ダメージとしては少ない。
代わりに、伸は自分の攻撃をガードの上から受けるだけでもダメージを負っている。
それも身体強化に使用する魔力量の差だ。
このまま続けるだけで、伸はそのうちダメージで動きが鈍くなっていくはず。
そのため、バルタサールは伸に勝利宣言をした。
「ハッ! それはどうかな?」
「愚かな……」
勝った気でいるバルタサールの言葉を聞いたうえで、伸は鼻で笑う。
伸ほどの強者ならば、自分の言っていることの意味は理解しているはず。
それなのにも関わらず、負けを認めようとしない往生際の悪い伸に、バルタサールは不機嫌そうに呟く。
「……いや、お前は口だけの人間ではないな……」
伸の目は、意地で負けを認めないといった感じではない。
それよりも、本気でまだ何か企んでいるかのように見える。
人間でありながら、自分が認めた存在。
そのため、バルタサールは先ほどの言葉をハッタリとは思えなくなった。
「面白い! かかって来いよ! 伸!」
何を企んでいようと、自分が勝つ。
そう考えているバルタサールは、嬉しそうな表情で手招きした。
「ハハッ! 行ってやるよ!」『脳筋がっ!!』
バルタサールの言っていることはあながち間違いではない。
はっきり言って、互角のように見えるこの戦いも、バルタサールの方が有利だ。
しかし、全く勝機がないわけではない。
かといって、伸に余裕はない。
勝てる確率は低いと分かっていながら、伸は余裕を見せるように笑みを浮かべてバルタサールに向かって行った。
「ハアァー!!」
「フヌァー!!」
接近すると共に、またも両者はぶつかり合う。
スピードで優る伸が2発当てれば、バルタサールが1発返すだけでチャラになる。
ダメージ的には、むしろ伸の方が上かもしれない。
それが分かっていながらも、両者の攻防は繰り広げられた。
「ハアァーー!!」
「グウゥ……!!」
伸の連打がバルタサールに襲い掛かる。
それを、バルタサールは必死になって防ぎつつ、カウンターの機会を窺う。
「フンッ!!」
「ぐっ!!」
速いことは速いが、バルタサールからすると伸の攻撃は軽い。
攻撃を受けつつ反撃をおこなえば、自分以上に伸にダメージを与えることができる。
それを確信しているバルタサールは、伸に殴られながら反撃を繰り返した。
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