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3学年 後期
第259話
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「ハッ!!」
「ぐっ!!」
バランスボールサイズの巨大な魔力球が迫る。
それを、伸は地面を転がるようにして必死に躱す。
“スドーーーン!!”
『馬鹿げた威力の攻撃を……』
巨大魔力球をギリギリのところで躱した伸。
それによって、魔力球はそのまま直進して観客席に飛んでいく。
着弾と共に、観客席が吹き飛び大穴を空けた。
「ハアァーー!!」
「くっ!!」
巨大魔力球を何とか躱したばかりだというのに、伸に向けられたバルタサールの手に魔力が集中する。
またも先程と同じような大きさの魔力球を放つつもりのようだ。
膨大な魔力を左手に集め、圧縮しているこの隙に攻撃を仕掛けたいところだが、先程の攻撃を躱すことで伸は体勢を崩している状態。
攻撃をしようと近づけば、超至近距離からあの巨大魔力球を受けることになりかねない。
そのため、伸は体勢を立て直し、的にならないように走り出した。
「ハッ!!」
「ぐうっ!!」
バルタサールから発射された巨大魔力球。
少し前のバスケットボールサイズの魔力球とは違い、直撃すれば確実に戦闘不能に追い込まれる。
戦闘不能になるだけならまだしも、肉体が吹き飛んで形も残らないかもしれない。
そんなことにならないためにも、伸は全力で走り、前方に飛び込むようにして巨大魔力球を躱した。
またもギリギリだったためか、魔力球によって生み出された爆風によって伸は軽く吹き飛ばされた。
「ハアッ!!」
「ぐっ!!」
巨大魔力球を躱したことで体勢が崩れている伸に、バルタサールが襲い掛かる。
接近と共に振り上げた刀を、袈裟斬りに振り下ろす。
下手に受け止めて動きを止められたら危険なため、伸は刀で上手く受け流し、その場から退避する。
「フンッ!!」
「っっっ!!」
距離を取ろうとする伸を、バルタサールは追いかけてきた。
「セイッ!!」
「っ!?」
接近と共に、バルタサールは魔力を集中させた左拳で殴り掛かってきた。
しかし、その攻撃の意図が理解できない。
何故なら、まだバルタサールの拳が届く間合いではないからだ。
“ズガンッ!!”
「くっ!?」
何をするのかと思ったら、バルタサールは地面を殴りつけた。
そのとんでもない威力によって、地面が爆発する。
その爆発によって周辺に石礫が吹き飛び、伸はそれを防ぐために反射的に手を上げたことにより視界が狭まった。
「シッ!!」
「っっっ!?」
伸の死角を突くように、バルタサールは斬り上げるように刀を振ってきた。
その攻撃を、伸はスウェーバックすることで躱そうとする。
“チッ!!”
「くっ!!」
バルタサールの攻撃を何とかかわすことに成功したと思ったが、完全に躱せた訳ではなかった。
掠っただけだというのに伸の頬が切れ、僅かに血が流れた。
「フッ! これのお返しだ!」
攻撃を躱して距離を取った伸に、バルタサールは自分の頬を指さして話しかける。
先程までの攻撃は、伸にも同じ傷をつけるためのものだったようだ。
「…………ったく!」
同じ傷をつけることを狙うように攻撃組み立てるなんて、相当なセンスによるものなのだろう。
こんなのを相手にしなければならないなんて憂鬱で、逃げ出してしまいたいくらいだ。
しかし、バルタサールと戦えるような人間がこの国に存在しているとは思えない。
そのため、伸は仕方なさげに呟くしかなかった。
「次はどこに傷をつけてやろうか? 久しぶりの運動だ。もっと楽しませてくれ!」
「……楽しませるつもりはないが、せいぜい粘らせてもらうよ……」
負けるということは死ぬということ。
当然死にたくはないため、少しでも粘って活路を見出したい伸は、バルタサールの言葉に反応するように呟いた。
「フッ! じゃあ……」
「っ!? おいおい……」
さっきのように、伸に向けられた左手に魔力が集中する。
またも巨大魔力弾を放ってくるつもりなのだろう。
しかし、今度はそれだけではなかった。
左手だけではなく、右手に持った刀の先に魔力が集中している。
それを見て、伸はバルタサールが何をしてくるつもりなのかに気付く。
左手だけではなく、刀の先から巨大魔力弾を放つつもりのようだ。
「くそっ!」
「フフッ!!」
1発でも危険な巨大魔力弾だというのに、連射されるとなると避けることだけに集中しないとあっという間に死に直面しかねない。
そのため、伸の頭には自分から攻撃をするという意識を頭から排除する。
そして、何とか死なないように戦い続けるために、逃げ回ることを選択した。
的にならないように細かいステップをして動き回る伸。
それを見て、バルタサールは笑みを浮かべる。
これまで自分が戦ってきた相手は、今の伸と同じような行動に出ていた。
そして、結局最後は自分の思い通りの結果になっている。
伸も同じような行動をとったことで勝利を確信したバルタサールは、思わず笑みを浮かべた。
「せいぜい足掻け! 伸!」
恐らくというより、確実に自分が勝利する。
逃げる回ることを選択した伸を見て、そのフェーズに入ったと判断したバルタサールは、これからどれくらいの時間伸が生き延びるのかを楽しみにする気持ちにシフトした。
勝利を確信して少しだけ気持ちが萎えたが、それを覆してくれることを期待しながら、バルタサールは左手から巨大魔力弾が放出したのだった。
「ぐっ!!」
バランスボールサイズの巨大な魔力球が迫る。
それを、伸は地面を転がるようにして必死に躱す。
“スドーーーン!!”
『馬鹿げた威力の攻撃を……』
巨大魔力球をギリギリのところで躱した伸。
それによって、魔力球はそのまま直進して観客席に飛んでいく。
着弾と共に、観客席が吹き飛び大穴を空けた。
「ハアァーー!!」
「くっ!!」
巨大魔力球を何とか躱したばかりだというのに、伸に向けられたバルタサールの手に魔力が集中する。
またも先程と同じような大きさの魔力球を放つつもりのようだ。
膨大な魔力を左手に集め、圧縮しているこの隙に攻撃を仕掛けたいところだが、先程の攻撃を躱すことで伸は体勢を崩している状態。
攻撃をしようと近づけば、超至近距離からあの巨大魔力球を受けることになりかねない。
そのため、伸は体勢を立て直し、的にならないように走り出した。
「ハッ!!」
「ぐうっ!!」
バルタサールから発射された巨大魔力球。
少し前のバスケットボールサイズの魔力球とは違い、直撃すれば確実に戦闘不能に追い込まれる。
戦闘不能になるだけならまだしも、肉体が吹き飛んで形も残らないかもしれない。
そんなことにならないためにも、伸は全力で走り、前方に飛び込むようにして巨大魔力球を躱した。
またもギリギリだったためか、魔力球によって生み出された爆風によって伸は軽く吹き飛ばされた。
「ハアッ!!」
「ぐっ!!」
巨大魔力球を躱したことで体勢が崩れている伸に、バルタサールが襲い掛かる。
接近と共に振り上げた刀を、袈裟斬りに振り下ろす。
下手に受け止めて動きを止められたら危険なため、伸は刀で上手く受け流し、その場から退避する。
「フンッ!!」
「っっっ!!」
距離を取ろうとする伸を、バルタサールは追いかけてきた。
「セイッ!!」
「っ!?」
接近と共に、バルタサールは魔力を集中させた左拳で殴り掛かってきた。
しかし、その攻撃の意図が理解できない。
何故なら、まだバルタサールの拳が届く間合いではないからだ。
“ズガンッ!!”
「くっ!?」
何をするのかと思ったら、バルタサールは地面を殴りつけた。
そのとんでもない威力によって、地面が爆発する。
その爆発によって周辺に石礫が吹き飛び、伸はそれを防ぐために反射的に手を上げたことにより視界が狭まった。
「シッ!!」
「っっっ!?」
伸の死角を突くように、バルタサールは斬り上げるように刀を振ってきた。
その攻撃を、伸はスウェーバックすることで躱そうとする。
“チッ!!”
「くっ!!」
バルタサールの攻撃を何とかかわすことに成功したと思ったが、完全に躱せた訳ではなかった。
掠っただけだというのに伸の頬が切れ、僅かに血が流れた。
「フッ! これのお返しだ!」
攻撃を躱して距離を取った伸に、バルタサールは自分の頬を指さして話しかける。
先程までの攻撃は、伸にも同じ傷をつけるためのものだったようだ。
「…………ったく!」
同じ傷をつけることを狙うように攻撃組み立てるなんて、相当なセンスによるものなのだろう。
こんなのを相手にしなければならないなんて憂鬱で、逃げ出してしまいたいくらいだ。
しかし、バルタサールと戦えるような人間がこの国に存在しているとは思えない。
そのため、伸は仕方なさげに呟くしかなかった。
「次はどこに傷をつけてやろうか? 久しぶりの運動だ。もっと楽しませてくれ!」
「……楽しませるつもりはないが、せいぜい粘らせてもらうよ……」
負けるということは死ぬということ。
当然死にたくはないため、少しでも粘って活路を見出したい伸は、バルタサールの言葉に反応するように呟いた。
「フッ! じゃあ……」
「っ!? おいおい……」
さっきのように、伸に向けられた左手に魔力が集中する。
またも巨大魔力弾を放ってくるつもりなのだろう。
しかし、今度はそれだけではなかった。
左手だけではなく、右手に持った刀の先に魔力が集中している。
それを見て、伸はバルタサールが何をしてくるつもりなのかに気付く。
左手だけではなく、刀の先から巨大魔力弾を放つつもりのようだ。
「くそっ!」
「フフッ!!」
1発でも危険な巨大魔力弾だというのに、連射されるとなると避けることだけに集中しないとあっという間に死に直面しかねない。
そのため、伸の頭には自分から攻撃をするという意識を頭から排除する。
そして、何とか死なないように戦い続けるために、逃げ回ることを選択した。
的にならないように細かいステップをして動き回る伸。
それを見て、バルタサールは笑みを浮かべる。
これまで自分が戦ってきた相手は、今の伸と同じような行動に出ていた。
そして、結局最後は自分の思い通りの結果になっている。
伸も同じような行動をとったことで勝利を確信したバルタサールは、思わず笑みを浮かべた。
「せいぜい足掻け! 伸!」
恐らくというより、確実に自分が勝利する。
逃げる回ることを選択した伸を見て、そのフェーズに入ったと判断したバルタサールは、これからどれくらいの時間伸が生き延びるのかを楽しみにする気持ちにシフトした。
勝利を確信して少しだけ気持ちが萎えたが、それを覆してくれることを期待しながら、バルタサールは左手から巨大魔力弾が放出したのだった。
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