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3学年 後期
第237話
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「ほぉ~……、良く気付いたな?」
文康は、自分が魔人であることを見抜いた伸に対し、感心したように呟く。
その言葉から、本当に魔人になってしまったようだ。
「……どうしてそうなったんだ?」
「フッ! 教えてやろう!」
まるで、聞いてほしいと言わんばかりの表情をしている文康。
その表情にイラっと来るが、伸としても気になったため、望み通り聞いてみることにした。
すると、文康は嬉しそうに話し始めようとした。
「それを話す必要はない!」
「うっ!! オレガリオ……」
「「っ!!」」
伸たちに話始めようとした文康の背後に、突如オレガリオが出現し、喉元に短刀を突き付ける。
転移を使用して、文康の背後に出現したようだ。
それが分かっていても、いきなり現れるたオレガリオに、伸たちも息を呑んだ。
「お前の役割は、柊家だろ? 余計なことは言わず、その役割を果たせ!」
「……分かったよ!」
オレガリオの言葉に、文康は渋々といった様子で了承する。
そして、綾愛の方へ視線を向けた。
「文康!!」
“ビクッ!!”
綾愛に向かって刀を構えようとした文康に、大きな声で話しかける者がいた。
その言葉を聞いた文康は、一瞬身を縮こませる。
恐らく、驚きでではない。
「おじい様……」
「犯罪を犯し、それでも反省の色が見えたから自宅での謹慎を申し付けていた。お前を守り切れず、誘拐されるという結果になたことは警戒が不十分だったといっていいだろう」
鷹藤家の魔闘師の中に潜んでいた魔人を見つけ出し、康則と道康の身が危ないという情報を得た康義は、部下と共にすぐさま別荘へと向かった。
しかし、魔人たちの狙いが文康にも向いているなんて予想していなかった。
内部にいた魔人を見つけ出したことで、文康のいる家の方は危険ではないと判断してしまった。
それに、転移の魔法を使う魔人がいるとは想像していなかったことも原因だろう。
まんまと文康を攫われる結果になてしまった。
警備を置いていたのにそのような結果になり、他家の魔闘師たちの中には鷹藤家のことを嘲笑う者まで存在していた。
結果を見れば、またも家の評価が落ちたのは仕方がないと言える。
そのことについて、康義は甘んじて受け入れるしかなかった。
「しかし! 魔人になり、魔人の手先として動くような者は鷹藤家の者に非ず! 孫と言えどこの場で斬り捨ててやる! おとなしくその場になおれ!」
問題を起こしてばかりとはいえ孫は孫。
攫われたと分かった時には落ち込み、せめて生存を願ったものだ。
それが、生きていたとはいっても魔人と化して戻ってきた。
人間の敵である魔人の手先になるなど言語道断。
孫と言えども容赦はできないと判断した康義は、刀を抜いて文康に向かって構えを取った。
「………………せぇ!」
「んっ? 何だ?」
「うるせぇーーんだよ!! クソジジイがっ!!」
祖父の康義に殺意を向けられたことで、文康はキレた。
人一倍誇りにしていた鷹藤家の人間というステータス。
それが、鷹藤家の人間ではないと言われたことが引き金になったのかもしれない。
鷹藤家の人間ではないというのなら、祖父と孫でもない。
キレた文康は、康義に向かって刀を構えた。
「魔人になって力を得たようだが、調子に乗るなよ!!」
「上等だよ! 落ち目当主のクソジジイがっ!!」
祖父と孫でありながら、言い争うようにしてお互いが相手に向かって斬りかかる。
康義は、大会運営の妨げになると思って動き出したことなど、とうに忘れ去っているようだ。
「……やれやれ、柊の相手をしろと言っているのに……」
指示を無視して祖父との戦いに動いた文康に、オレガリオは仕方ないというかのように首を左右に振る。
しかし、文康のことを止めることはせず、綾愛の方へ視線を送る。
「おっと! お前は文康なんかよりも先に殺しておかないとな……」
文康が康義と戦い始めてしまったために、オレガリオは綾愛をターゲットに決めたようだ。
しかし、そんなことをさせるわけにはいかない。
そのため、伸は綾愛の前に立ちふさがり、オレガリオに木刀を向けた。
「そんな木の棒で俺と戦うつもりか? と言いたいところだが、お前を相手にするには俺では役者不足だ」
「……だったら、大人しく捕まれ!」
オレガリオを倒すには、同じように転移魔術が使える自分が最適だろう。
そう思って、綾愛ではなく自分が戦おうと思った伸だったが、オレガリオは伸との実力差を理解しているらしく、戦う前から負けを認めるような発言をする。
それを受け、伸は勝てないと分かっているなら大人しく捕まることを勧める。
「そうはいかん」
「じゃあ……」
「だから、お前の相手は……」
伸も転移魔術が使えると知らなくても、オレガリオは勝てると思っていない。
確かに、伸ならオレガリオに対抗する手段は存在している。
転移が使えることを秘匿してでもだ。
勝てないと分かっているならと、伸は降伏を促そうとする。
そんな伸に、オレガリオは転移の魔術を上空に発動する。
「あの方だ!」
「っっっ!?」
上空に描かれた転移の魔法陣。
そこから、1人の人間が出現してくる。
その人間の持つ禍々しい魔力に、伸ですら鳥肌が立った。
文康は、自分が魔人であることを見抜いた伸に対し、感心したように呟く。
その言葉から、本当に魔人になってしまったようだ。
「……どうしてそうなったんだ?」
「フッ! 教えてやろう!」
まるで、聞いてほしいと言わんばかりの表情をしている文康。
その表情にイラっと来るが、伸としても気になったため、望み通り聞いてみることにした。
すると、文康は嬉しそうに話し始めようとした。
「それを話す必要はない!」
「うっ!! オレガリオ……」
「「っ!!」」
伸たちに話始めようとした文康の背後に、突如オレガリオが出現し、喉元に短刀を突き付ける。
転移を使用して、文康の背後に出現したようだ。
それが分かっていても、いきなり現れるたオレガリオに、伸たちも息を呑んだ。
「お前の役割は、柊家だろ? 余計なことは言わず、その役割を果たせ!」
「……分かったよ!」
オレガリオの言葉に、文康は渋々といった様子で了承する。
そして、綾愛の方へ視線を向けた。
「文康!!」
“ビクッ!!”
綾愛に向かって刀を構えようとした文康に、大きな声で話しかける者がいた。
その言葉を聞いた文康は、一瞬身を縮こませる。
恐らく、驚きでではない。
「おじい様……」
「犯罪を犯し、それでも反省の色が見えたから自宅での謹慎を申し付けていた。お前を守り切れず、誘拐されるという結果になたことは警戒が不十分だったといっていいだろう」
鷹藤家の魔闘師の中に潜んでいた魔人を見つけ出し、康則と道康の身が危ないという情報を得た康義は、部下と共にすぐさま別荘へと向かった。
しかし、魔人たちの狙いが文康にも向いているなんて予想していなかった。
内部にいた魔人を見つけ出したことで、文康のいる家の方は危険ではないと判断してしまった。
それに、転移の魔法を使う魔人がいるとは想像していなかったことも原因だろう。
まんまと文康を攫われる結果になてしまった。
警備を置いていたのにそのような結果になり、他家の魔闘師たちの中には鷹藤家のことを嘲笑う者まで存在していた。
結果を見れば、またも家の評価が落ちたのは仕方がないと言える。
そのことについて、康義は甘んじて受け入れるしかなかった。
「しかし! 魔人になり、魔人の手先として動くような者は鷹藤家の者に非ず! 孫と言えどこの場で斬り捨ててやる! おとなしくその場になおれ!」
問題を起こしてばかりとはいえ孫は孫。
攫われたと分かった時には落ち込み、せめて生存を願ったものだ。
それが、生きていたとはいっても魔人と化して戻ってきた。
人間の敵である魔人の手先になるなど言語道断。
孫と言えども容赦はできないと判断した康義は、刀を抜いて文康に向かって構えを取った。
「………………せぇ!」
「んっ? 何だ?」
「うるせぇーーんだよ!! クソジジイがっ!!」
祖父の康義に殺意を向けられたことで、文康はキレた。
人一倍誇りにしていた鷹藤家の人間というステータス。
それが、鷹藤家の人間ではないと言われたことが引き金になったのかもしれない。
鷹藤家の人間ではないというのなら、祖父と孫でもない。
キレた文康は、康義に向かって刀を構えた。
「魔人になって力を得たようだが、調子に乗るなよ!!」
「上等だよ! 落ち目当主のクソジジイがっ!!」
祖父と孫でありながら、言い争うようにしてお互いが相手に向かって斬りかかる。
康義は、大会運営の妨げになると思って動き出したことなど、とうに忘れ去っているようだ。
「……やれやれ、柊の相手をしろと言っているのに……」
指示を無視して祖父との戦いに動いた文康に、オレガリオは仕方ないというかのように首を左右に振る。
しかし、文康のことを止めることはせず、綾愛の方へ視線を送る。
「おっと! お前は文康なんかよりも先に殺しておかないとな……」
文康が康義と戦い始めてしまったために、オレガリオは綾愛をターゲットに決めたようだ。
しかし、そんなことをさせるわけにはいかない。
そのため、伸は綾愛の前に立ちふさがり、オレガリオに木刀を向けた。
「そんな木の棒で俺と戦うつもりか? と言いたいところだが、お前を相手にするには俺では役者不足だ」
「……だったら、大人しく捕まれ!」
オレガリオを倒すには、同じように転移魔術が使える自分が最適だろう。
そう思って、綾愛ではなく自分が戦おうと思った伸だったが、オレガリオは伸との実力差を理解しているらしく、戦う前から負けを認めるような発言をする。
それを受け、伸は勝てないと分かっているなら大人しく捕まることを勧める。
「そうはいかん」
「じゃあ……」
「だから、お前の相手は……」
伸も転移魔術が使えると知らなくても、オレガリオは勝てると思っていない。
確かに、伸ならオレガリオに対抗する手段は存在している。
転移が使えることを秘匿してでもだ。
勝てないと分かっているならと、伸は降伏を促そうとする。
そんな伸に、オレガリオは転移の魔術を上空に発動する。
「あの方だ!」
「っっっ!?」
上空に描かれた転移の魔法陣。
そこから、1人の人間が出現してくる。
その人間の持つ禍々しい魔力に、伸ですら鳥肌が立った。
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