220 / 281
3学年 後期
第219話
しおりを挟む
「……何を言ってるの? 奈津希……」
「杉山……」
了との決勝戦を控え、選手の入場口から試合会場を見つめていた綾愛は、奈津希の突然の宣言に戸惑いの声を上げる。
それは隣にいる伸も同じだ。
そもそも、校内の選抜に選ばれていない時点で、伸は対抗戦参加資格がない状況だ。
それなのに、3位とはいえせっかく出場権を手に入れた奈津希が、それを棒に振るような選択をしたのだから、2人が戸惑うのも無理はない。
“ザワザワ……!!”
奈津希の宣言を聞いた会場の観客たちも同じだ。
それと、なんでここで伸の名前が出てきているのか分からず、騒然としている。
「ちょっと待て! 杉山、本気で言っているのか?」
いきなりの奈津希の発言に、教師の三門も戸惑っている。
校内の選抜から洩れ、出場権を手に入れた者へ決闘を申し込み、勝利して出場権を奪い取ろうと考える者はこれまでもいた。
その場合、出場権を持っている者が引き受けるメリットがないため、門前払いをするのが通例だ。
しかし、今回の場合はそれとは違う。
出場権を持っている奈津希の方が指名しての決闘だからだ。
この状況では止めるわけにもいかないが、三門は本気度を確かめるために奈津希へ問いかける。
「はい! 本気です!」
「……分かっ
少しでも言い淀んだり、表情に陰りでも見えようものなら、すぐにでも止めるつもりでいた三門だったが、全くためらわずに真剣な表情で返事をした奈津希に、それ以上言うことはできなくなった。
「新田!!」
「は、はい!」
奈津希の気持ちを確かめた三門は、選手入場口にいる伸に向かって大きな声で声をかける。
戸惑いから抜け出せていない伸は、その大声に詰まりながらも返事をした。
「杉山が対抗戦の出場権を懸けて決闘を申し込んでいるが、お前はどうする?」
「俺は……」
三門の問いに、伸はどう返事をするべきか悩む。
頭では現状を理解できている。
しかし、どうして奈津希がこんなことを言い出したのか分からない。
そう思って奈津希の方を見ると、真剣な目で自分を見ていることに気付いた。
「受けます!」
「……分かった!」
奈津希の真剣な表情を見て、断るという選択はできないと思った伸は、強い口調で返事をする。
伸のやる気も感じ取った三門は、頷きと共に試合会場の中心に立ち、観客席に向かって状況説明を始める。
「双方の合意が出たため、対抗戦出場権をかけて杉山と新田の決闘をおこなう! 尚、杉山は体力・魔力の回復を必要とするため、決闘は決勝戦後とする!」
奈津希は3位決定戦を終えたばかり、それを考慮し、三門は奈津希に体力・魔力を回復をするための時間を作ることにした。
そうして、いきなり決まった奈津希と伸の決闘が、決勝戦後に行われることが決定した。
「ハッ!」
「くっ!」
ひと騒動あったが、余栄通り校内選抜の決勝戦が行われることになった。
綾愛と了の試合だ。
両者とも対抗戦の出場権を手に入れているため、順位をつける必要性はない。
しかし、八郷学園の代表として恥ずかしくないよう、両者とも優勝を目指しての戦いが繰り広げられた。
「やっぱりか……」
最初のうちは互角だったのだが、次第に差が出始めた。
綾愛が押し始めたのだ。
予想通りの展開になり、了としては複雑な思いでいた。
1年の夏休み以降、苦手だった遠距離攻撃もできるようになり、了は自分でもかなり強くなれたと思っていた。
しかし、綾愛も成長しており、自分が彼女以上の実力が付いたとは思えないでいた。
それが現実として突き付けられたため、軽いショックを受けていた。
「……フッ!」
「……?」
不利な状況だろうと、負けを認めるわけにはいかない。
そのため、覚悟を決めた了は、薄く笑みを浮かべた。
了の笑みの意味が分からず、綾愛は訝しむ。
「ふぅ~……」
笑みを消した了は、すぐに表情を真剣なものに変え、木刀を居合の形で構えると、大きく息を吐いて集中し始めた。
「それは……」
その構えを見て、綾愛は了の考えを読み解く。
得意の高速接近からの居合斬り。
了がそれをおこなうつもりなのだと。
「……受けて立つわ」
次の行動が分かっている状況なら、攻撃を防ぐことは難しくないことは了も分かっているはず。
それなのにこの構えを取ったということは、何か策があるのか、分かっていても防げないレベルにまでこの技を昇華させてきたということなのか。
どちらかは分からないが、分からないからこそ防いでみせたい。
その考えから綾愛は正眼の構えを取り、了の攻撃を待ち構えることにした。
「………………」「………………」
両者とも無言で集中し、少しの間その時間が過ぎる。
「っ!!」
「っ!?」
居合の構えを取った了の姿が消える。
魔力を集めて身体強化した脚力による高速移動のため、消えたように見えるのだ。
これまでよりも更に上昇した速度に驚くが、目に魔力を集中することで、綾愛は了の姿をとらえている。
『ここっ!!』
とんでもなく速いが、見えている上に一直線に迫ってくるのなら対応できる。
了の接近に合わせるように、綾愛は木刀を振り始めた。
「ギッ!!」
“ビキビキッ!!”
「っっっ!?」
このまま接近すれば、自分よりも速く綾愛の攻撃が当たる。
最初からこうなることは分かっていた。
だからこそ、了は歯を食いしばる。
綾愛の攻撃が当たることによる痛みに備えるため、ではなく、違う痛みに備えるためだ。
全力の超高速移動からの方向転換。
それを無傷でおこなうには、自分の魔力操作技術は達していない。
ならばどうなるか。
筋肉の断裂により、足が悲鳴を上げたのだ。
「~~~っ!!」
方向転換した瞬間、了に強力な痛みが襲い掛かる。
しかし、その痛みを予想していた了は、悲鳴を上げるのを必死に抑え、綾愛に向かって木刀を振った。
“ガンッ!!”
「っっっ!?」
木刀を振り、無防備の綾愛に攻撃が当たる。
そう思っていた了の手には、人を打ったのとは違う感触が音と共に伝わってきた。
「どうして?」と思う了の目には、自分の攻撃を木刀で受け止めた綾愛の姿が映っていた。
「危なかった……」
身体強化による速度上昇する技術だけなら、自分より了の方が上だろう。
しかし、魔力操作技術なら自分の方が上、振っている途中の木刀を身体強化した腕力で無理やり方向転換する。
それによって、綾愛は了の攻撃を防いだのだ。
何とか防ぐことができたが、ギリギリの所だったため、綾愛は安堵の声を上げる。
「……ハハッ! 参った……」
片足犠牲にした攻撃を防がれてしまい、残った足だけでこれ以上綾愛と闘うことなどできない。
そう判断した了は、乾いた笑いと共に降参を宣言した。
「……悪いな」
「……何が?」
試合後の握手を交わすと、了が綾愛に謝罪の言葉をかける。
その意味が分からない綾愛は首を傾げた。
「本当は俺が伸に決闘を申し込むつもりだったんだ。それなのに、杉山に先を越されちまった……」
学園に入ってからの付き合いだが、何度も打ち合いをおこなっていたため、ずっと違和感があった。
伸は実力を隠しているのではないか、ということをだ。
打ち合いはいつも引き分け。
そんなことが続けば、そう感じるのが普通だろう。
きっと何か理由があると分かっていたが、3年最後の対抗戦に出て実力を示してほしい。
そう思って、校内戦が終了したら決闘を申し込もうと思っていたのだが、奈津希に先を越されてしまった。
2年連続で出場している自分よりも、奈津希の方が対抗戦に出場したいはずだというのにだ。
自分が準決勝で大橋に勝った時に宣言していれば、奈津希が損な役割をしなくて済んだというのにという思いから、了は奈津希の友人の綾愛にも謝りたかったのかもしれない。
「……金井君が謝ることはないよ。あれは奈津希が決めたことだし……」
奈津希だけでなく、了まで伸の実力をみんなに知らせたいと思っていたなんて気づかなかった。
決闘を申し込んだ奈津希も、同じことを考えていた了にも驚いたが、綾愛は2人を攻める気になれない。
「……それに、私も同じことを考えていたから……」
「……ハハッ、そうか……」
どうやら、綾愛までも最後の大会くらいは伸を出場させたいと考えていたらしい。
その言葉を聞いた了は、3人とも同じ考えをしていたことに思わず笑うしかなかった。
「杉山……」
了との決勝戦を控え、選手の入場口から試合会場を見つめていた綾愛は、奈津希の突然の宣言に戸惑いの声を上げる。
それは隣にいる伸も同じだ。
そもそも、校内の選抜に選ばれていない時点で、伸は対抗戦参加資格がない状況だ。
それなのに、3位とはいえせっかく出場権を手に入れた奈津希が、それを棒に振るような選択をしたのだから、2人が戸惑うのも無理はない。
“ザワザワ……!!”
奈津希の宣言を聞いた会場の観客たちも同じだ。
それと、なんでここで伸の名前が出てきているのか分からず、騒然としている。
「ちょっと待て! 杉山、本気で言っているのか?」
いきなりの奈津希の発言に、教師の三門も戸惑っている。
校内の選抜から洩れ、出場権を手に入れた者へ決闘を申し込み、勝利して出場権を奪い取ろうと考える者はこれまでもいた。
その場合、出場権を持っている者が引き受けるメリットがないため、門前払いをするのが通例だ。
しかし、今回の場合はそれとは違う。
出場権を持っている奈津希の方が指名しての決闘だからだ。
この状況では止めるわけにもいかないが、三門は本気度を確かめるために奈津希へ問いかける。
「はい! 本気です!」
「……分かっ
少しでも言い淀んだり、表情に陰りでも見えようものなら、すぐにでも止めるつもりでいた三門だったが、全くためらわずに真剣な表情で返事をした奈津希に、それ以上言うことはできなくなった。
「新田!!」
「は、はい!」
奈津希の気持ちを確かめた三門は、選手入場口にいる伸に向かって大きな声で声をかける。
戸惑いから抜け出せていない伸は、その大声に詰まりながらも返事をした。
「杉山が対抗戦の出場権を懸けて決闘を申し込んでいるが、お前はどうする?」
「俺は……」
三門の問いに、伸はどう返事をするべきか悩む。
頭では現状を理解できている。
しかし、どうして奈津希がこんなことを言い出したのか分からない。
そう思って奈津希の方を見ると、真剣な目で自分を見ていることに気付いた。
「受けます!」
「……分かった!」
奈津希の真剣な表情を見て、断るという選択はできないと思った伸は、強い口調で返事をする。
伸のやる気も感じ取った三門は、頷きと共に試合会場の中心に立ち、観客席に向かって状況説明を始める。
「双方の合意が出たため、対抗戦出場権をかけて杉山と新田の決闘をおこなう! 尚、杉山は体力・魔力の回復を必要とするため、決闘は決勝戦後とする!」
奈津希は3位決定戦を終えたばかり、それを考慮し、三門は奈津希に体力・魔力を回復をするための時間を作ることにした。
そうして、いきなり決まった奈津希と伸の決闘が、決勝戦後に行われることが決定した。
「ハッ!」
「くっ!」
ひと騒動あったが、余栄通り校内選抜の決勝戦が行われることになった。
綾愛と了の試合だ。
両者とも対抗戦の出場権を手に入れているため、順位をつける必要性はない。
しかし、八郷学園の代表として恥ずかしくないよう、両者とも優勝を目指しての戦いが繰り広げられた。
「やっぱりか……」
最初のうちは互角だったのだが、次第に差が出始めた。
綾愛が押し始めたのだ。
予想通りの展開になり、了としては複雑な思いでいた。
1年の夏休み以降、苦手だった遠距離攻撃もできるようになり、了は自分でもかなり強くなれたと思っていた。
しかし、綾愛も成長しており、自分が彼女以上の実力が付いたとは思えないでいた。
それが現実として突き付けられたため、軽いショックを受けていた。
「……フッ!」
「……?」
不利な状況だろうと、負けを認めるわけにはいかない。
そのため、覚悟を決めた了は、薄く笑みを浮かべた。
了の笑みの意味が分からず、綾愛は訝しむ。
「ふぅ~……」
笑みを消した了は、すぐに表情を真剣なものに変え、木刀を居合の形で構えると、大きく息を吐いて集中し始めた。
「それは……」
その構えを見て、綾愛は了の考えを読み解く。
得意の高速接近からの居合斬り。
了がそれをおこなうつもりなのだと。
「……受けて立つわ」
次の行動が分かっている状況なら、攻撃を防ぐことは難しくないことは了も分かっているはず。
それなのにこの構えを取ったということは、何か策があるのか、分かっていても防げないレベルにまでこの技を昇華させてきたということなのか。
どちらかは分からないが、分からないからこそ防いでみせたい。
その考えから綾愛は正眼の構えを取り、了の攻撃を待ち構えることにした。
「………………」「………………」
両者とも無言で集中し、少しの間その時間が過ぎる。
「っ!!」
「っ!?」
居合の構えを取った了の姿が消える。
魔力を集めて身体強化した脚力による高速移動のため、消えたように見えるのだ。
これまでよりも更に上昇した速度に驚くが、目に魔力を集中することで、綾愛は了の姿をとらえている。
『ここっ!!』
とんでもなく速いが、見えている上に一直線に迫ってくるのなら対応できる。
了の接近に合わせるように、綾愛は木刀を振り始めた。
「ギッ!!」
“ビキビキッ!!”
「っっっ!?」
このまま接近すれば、自分よりも速く綾愛の攻撃が当たる。
最初からこうなることは分かっていた。
だからこそ、了は歯を食いしばる。
綾愛の攻撃が当たることによる痛みに備えるため、ではなく、違う痛みに備えるためだ。
全力の超高速移動からの方向転換。
それを無傷でおこなうには、自分の魔力操作技術は達していない。
ならばどうなるか。
筋肉の断裂により、足が悲鳴を上げたのだ。
「~~~っ!!」
方向転換した瞬間、了に強力な痛みが襲い掛かる。
しかし、その痛みを予想していた了は、悲鳴を上げるのを必死に抑え、綾愛に向かって木刀を振った。
“ガンッ!!”
「っっっ!?」
木刀を振り、無防備の綾愛に攻撃が当たる。
そう思っていた了の手には、人を打ったのとは違う感触が音と共に伝わってきた。
「どうして?」と思う了の目には、自分の攻撃を木刀で受け止めた綾愛の姿が映っていた。
「危なかった……」
身体強化による速度上昇する技術だけなら、自分より了の方が上だろう。
しかし、魔力操作技術なら自分の方が上、振っている途中の木刀を身体強化した腕力で無理やり方向転換する。
それによって、綾愛は了の攻撃を防いだのだ。
何とか防ぐことができたが、ギリギリの所だったため、綾愛は安堵の声を上げる。
「……ハハッ! 参った……」
片足犠牲にした攻撃を防がれてしまい、残った足だけでこれ以上綾愛と闘うことなどできない。
そう判断した了は、乾いた笑いと共に降参を宣言した。
「……悪いな」
「……何が?」
試合後の握手を交わすと、了が綾愛に謝罪の言葉をかける。
その意味が分からない綾愛は首を傾げた。
「本当は俺が伸に決闘を申し込むつもりだったんだ。それなのに、杉山に先を越されちまった……」
学園に入ってからの付き合いだが、何度も打ち合いをおこなっていたため、ずっと違和感があった。
伸は実力を隠しているのではないか、ということをだ。
打ち合いはいつも引き分け。
そんなことが続けば、そう感じるのが普通だろう。
きっと何か理由があると分かっていたが、3年最後の対抗戦に出て実力を示してほしい。
そう思って、校内戦が終了したら決闘を申し込もうと思っていたのだが、奈津希に先を越されてしまった。
2年連続で出場している自分よりも、奈津希の方が対抗戦に出場したいはずだというのにだ。
自分が準決勝で大橋に勝った時に宣言していれば、奈津希が損な役割をしなくて済んだというのにという思いから、了は奈津希の友人の綾愛にも謝りたかったのかもしれない。
「……金井君が謝ることはないよ。あれは奈津希が決めたことだし……」
奈津希だけでなく、了まで伸の実力をみんなに知らせたいと思っていたなんて気づかなかった。
決闘を申し込んだ奈津希も、同じことを考えていた了にも驚いたが、綾愛は2人を攻める気になれない。
「……それに、私も同じことを考えていたから……」
「……ハハッ、そうか……」
どうやら、綾愛までも最後の大会くらいは伸を出場させたいと考えていたらしい。
その言葉を聞いた了は、3人とも同じ考えをしていたことに思わず笑うしかなかった。
0
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる