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3学年 前期
第207話
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「ヌンッ!!」
「ハッ!!」
“ガキンッ!!”
砂で作り上げた三叉の槍で突きを放つベルナベ。
その攻撃を、綾愛は刀で受け止める。
「ほお~、人間の小娘が私の攻撃を防ぐとはな……」
「…………」
自分の攻撃を防いだ綾愛に、ベルナベは感心したように呟く。
それもそのはず、魔人である自分は、魔力の身体能力を使用しなくても、身体強化した平凡な魔闘師と同等な実力を有している。
そんな自分が、本気ではないとは言っても身体強化した攻撃を、年端もいかない少女が弾いたのだから。
そんなベルナベの呟きを、綾愛は神妙な面持ちで聞き流した。
「しかし、それもいつまで持つかな?」
綾愛が神妙な面持ちで無言なのは、自分の攻撃に必死なのだからだ。
自分との問答に対応するよりも、攻撃に対応することに集中しているのだろう。
それがいつまでも続けられる訳がない。
ベルナベは余裕の表情で、またも綾愛に向けて再度槍を構えた。
「むっ!?」
今にでも綾愛に攻めかかろうとしていたベルナベだったが、一旦制止して右を見る。
そして、飛んできた火球や氷の矢や石の礫を、魔力障壁を張ることで防いだ。
「なるほど、お前は防御に徹し、攻撃はあの者たちに任せるということか……」
人間の小娘が自分の攻撃を防いだことは素晴らしいが、防ぐことはできても反撃まではできないだろう。
それでは一生自分には勝てない。
そう思っていたが、最初から綾愛が攻撃をするという考えを持たず防御に専念し、攻撃は仲間に任せるつもりなのだとベルナベは判断した。
そう考えると、綾愛が先程の攻撃を防御できたのも不思議ではない。
「しかし、この程度の攻撃なら、防ぐことなど造作もない」
「…………」
魔術で攻撃をしたのは、奈津希と後輩2人。
彼女たちの攻撃を、余裕をもって防いで見せたことで、ベルナベは綾愛たちに勝機はないと言いたいようだ。
そんなベルナベの言うことなど聞いていないのか、綾愛は無言で何の反応も見せなかった。
「無視か? 仕方ない、分からせるしかないようだな……」
勝てないと分かっていても、まだ諦めていないような目をしている。
そんな人間の心を折るには、痛みによる恐怖を与えるしかない。
そう考えたベルナベは、持っている槍を構えた。
「セイッ!!」
「ハッ!!」
綾愛との距離を一気に詰め、ベルナベは三叉の槍で突きを放つ。
今度は連射だ。
その攻撃を、綾愛は刀で防ぐ。
「「「ハッ!!」」」
「フンッ!」
綾愛が攻撃を防いでベルナベから距離を取ると、奈津希たちが魔術による攻撃を放つ。
しかし、その攻撃は通用せず、ベルナベの魔力障壁によって防がれた。
「シッ!!」
「…………」
奈津希たちの攻撃を防いだベルナベは、またも綾愛との距離を詰める。
そして、またも突きを放とうとする。
その攻撃に対処しようと、綾愛も槍の軌道上に刀を構えた。
「ハァーッ!!」
「っ!!」
またも突きを放とうとしていたベルナベだが、その槍を力づくで方向転換させる。
そして、手首だけで薙ぎ払いのように振るってきた。
魔人ならではの力技ともいえる攻撃に面食らいつつも、綾愛は刀で受け止めて直撃を防いだ。
見た目は老人の姿だというのに、さすが魔人とでも言うべきか、攻撃を防いだ綾愛は吹き飛ばされた。
「……チッ!」
綾愛との距離ができたことで、またもベルナベに3つの魔術が飛んでくる。
ベルナベは煩わしそうに舌打ちし、その攻撃を魔力障壁で防いだ。
「あいつらを先に始末した方がいいのかもな……」
柊家の娘の始末。
それがカサンドラの最低目的だ。
おまけとして、側にいた者たちも始末することになっているのだが、そのためには仲間の者たちが邪魔になっている。
ならば、先に仲間たちを始末してしまえば、綾愛を始末することに専念できる。
綾愛に心理的ダメージを与えることができるため、その方が良いだろうとベルナベは考えた。
「ハッ!!」
「ヌッ!?」
先に始末をしようと奈津希たちの方に視線を向けたベルナベ。
そんなベルナベに、綾愛が斬りかかった。
綾愛は防御しかしないと思っていたため、ベルナベは突然攻撃してきたことに驚き、戸惑いの声を上げてその場から飛び退いた。
「……良い不意打ちだが、残念だったな」
綾愛の攻撃によって、服の一部が斬られた。
それに気づいたベルナベは、綾愛の攻撃を褒める。
虚を突かれたが、躱すことのできる程度の攻撃だった。
所詮はその程度の攻撃しかできないのだと確認できたことで、更に心に余裕ができたからだ。
「まぁ、同じ手は通用……」
「ねえ!」
「っ!? ……何だ?」
同じ手は通用しない。
そのことを言おうとするベルナベの言葉に被せるように、綾愛が声をかける。
わざわざ忠告してやろうとしているのに、台詞の腰を折られたベルナベは、不機嫌そうに綾愛に返事をした。
「全力なの?」
「……何だと?」
どこか冷めた目で問いかける綾愛。
その態度もそうだが、それよりも質問の方が気に入らない。
もしかしたら聞き間違いなのかもしれないと思い、ベルナベは綾愛に問い返した。
「全力出してその程度なのかって聞いているの!」
「……ふざけるなよ。小娘がっ!!」
ここまで防御に徹していただけのくせに、まるで自分を下に見ているような物言い。
綾愛の問いに段々と怒りが沸き上がったベルナベは、顔を真っ赤にして怒鳴り声を上げた。
「ハッ!!」
“ガキンッ!!”
砂で作り上げた三叉の槍で突きを放つベルナベ。
その攻撃を、綾愛は刀で受け止める。
「ほお~、人間の小娘が私の攻撃を防ぐとはな……」
「…………」
自分の攻撃を防いだ綾愛に、ベルナベは感心したように呟く。
それもそのはず、魔人である自分は、魔力の身体能力を使用しなくても、身体強化した平凡な魔闘師と同等な実力を有している。
そんな自分が、本気ではないとは言っても身体強化した攻撃を、年端もいかない少女が弾いたのだから。
そんなベルナベの呟きを、綾愛は神妙な面持ちで聞き流した。
「しかし、それもいつまで持つかな?」
綾愛が神妙な面持ちで無言なのは、自分の攻撃に必死なのだからだ。
自分との問答に対応するよりも、攻撃に対応することに集中しているのだろう。
それがいつまでも続けられる訳がない。
ベルナベは余裕の表情で、またも綾愛に向けて再度槍を構えた。
「むっ!?」
今にでも綾愛に攻めかかろうとしていたベルナベだったが、一旦制止して右を見る。
そして、飛んできた火球や氷の矢や石の礫を、魔力障壁を張ることで防いだ。
「なるほど、お前は防御に徹し、攻撃はあの者たちに任せるということか……」
人間の小娘が自分の攻撃を防いだことは素晴らしいが、防ぐことはできても反撃まではできないだろう。
それでは一生自分には勝てない。
そう思っていたが、最初から綾愛が攻撃をするという考えを持たず防御に専念し、攻撃は仲間に任せるつもりなのだとベルナベは判断した。
そう考えると、綾愛が先程の攻撃を防御できたのも不思議ではない。
「しかし、この程度の攻撃なら、防ぐことなど造作もない」
「…………」
魔術で攻撃をしたのは、奈津希と後輩2人。
彼女たちの攻撃を、余裕をもって防いで見せたことで、ベルナベは綾愛たちに勝機はないと言いたいようだ。
そんなベルナベの言うことなど聞いていないのか、綾愛は無言で何の反応も見せなかった。
「無視か? 仕方ない、分からせるしかないようだな……」
勝てないと分かっていても、まだ諦めていないような目をしている。
そんな人間の心を折るには、痛みによる恐怖を与えるしかない。
そう考えたベルナベは、持っている槍を構えた。
「セイッ!!」
「ハッ!!」
綾愛との距離を一気に詰め、ベルナベは三叉の槍で突きを放つ。
今度は連射だ。
その攻撃を、綾愛は刀で防ぐ。
「「「ハッ!!」」」
「フンッ!」
綾愛が攻撃を防いでベルナベから距離を取ると、奈津希たちが魔術による攻撃を放つ。
しかし、その攻撃は通用せず、ベルナベの魔力障壁によって防がれた。
「シッ!!」
「…………」
奈津希たちの攻撃を防いだベルナベは、またも綾愛との距離を詰める。
そして、またも突きを放とうとする。
その攻撃に対処しようと、綾愛も槍の軌道上に刀を構えた。
「ハァーッ!!」
「っ!!」
またも突きを放とうとしていたベルナベだが、その槍を力づくで方向転換させる。
そして、手首だけで薙ぎ払いのように振るってきた。
魔人ならではの力技ともいえる攻撃に面食らいつつも、綾愛は刀で受け止めて直撃を防いだ。
見た目は老人の姿だというのに、さすが魔人とでも言うべきか、攻撃を防いだ綾愛は吹き飛ばされた。
「……チッ!」
綾愛との距離ができたことで、またもベルナベに3つの魔術が飛んでくる。
ベルナベは煩わしそうに舌打ちし、その攻撃を魔力障壁で防いだ。
「あいつらを先に始末した方がいいのかもな……」
柊家の娘の始末。
それがカサンドラの最低目的だ。
おまけとして、側にいた者たちも始末することになっているのだが、そのためには仲間の者たちが邪魔になっている。
ならば、先に仲間たちを始末してしまえば、綾愛を始末することに専念できる。
綾愛に心理的ダメージを与えることができるため、その方が良いだろうとベルナベは考えた。
「ハッ!!」
「ヌッ!?」
先に始末をしようと奈津希たちの方に視線を向けたベルナベ。
そんなベルナベに、綾愛が斬りかかった。
綾愛は防御しかしないと思っていたため、ベルナベは突然攻撃してきたことに驚き、戸惑いの声を上げてその場から飛び退いた。
「……良い不意打ちだが、残念だったな」
綾愛の攻撃によって、服の一部が斬られた。
それに気づいたベルナベは、綾愛の攻撃を褒める。
虚を突かれたが、躱すことのできる程度の攻撃だった。
所詮はその程度の攻撃しかできないのだと確認できたことで、更に心に余裕ができたからだ。
「まぁ、同じ手は通用……」
「ねえ!」
「っ!? ……何だ?」
同じ手は通用しない。
そのことを言おうとするベルナベの言葉に被せるように、綾愛が声をかける。
わざわざ忠告してやろうとしているのに、台詞の腰を折られたベルナベは、不機嫌そうに綾愛に返事をした。
「全力なの?」
「……何だと?」
どこか冷めた目で問いかける綾愛。
その態度もそうだが、それよりも質問の方が気に入らない。
もしかしたら聞き間違いなのかもしれないと思い、ベルナベは綾愛に問い返した。
「全力出してその程度なのかって聞いているの!」
「……ふざけるなよ。小娘がっ!!」
ここまで防御に徹していただけのくせに、まるで自分を下に見ているような物言い。
綾愛の問いに段々と怒りが沸き上がったベルナベは、顔を真っ赤にして怒鳴り声を上げた。
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