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2学年 前期
第109話
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「え~と……」
2度の魔族襲来という前代未聞の1学年から進級し、伸は2年生になった。
この学園では進級時にクラス編成がおこなわれるため、伸は自分が何組になったのかを確認しに掲示板へと向かった。
そして、掲示板に張り出された紙を見て、自分の名前を探した。
「これもタブレットで発表すればいいのに……」
自分の名前が見つからない伸は、独り言を呟く。
掲示板の情報は、タブレットにも送られてくるため、はっきり言って存在価値がない。
撤去しても問題ないのだが、学校という空間に掲示板という存在は、情緒的なものとして残されている。
昔のアニメや漫画を見れば確かにそうだが、今の時代に必要かといわれるとそうでもない。
使用するとしても、今回の様な時くらいしかないのが現状だ。
「お~い! 伸」
「よう。了」
クラス確認をしていたところに近付いてきた了に、伸は返答する。
了も確認に来たようだ。
「どのクラスになった?」
「まだ捜索中だよ」
「そうか……」
わざわざ見つけるのが面倒だから先に来ていた伸に尋ねたのだが、伸もまだどのクラスか分かっていないと聞いて、了はあからさまに面倒そうな表情をした。
それも仕方がないと諦め、了は伸と共に自分の名前の捜索を開始した。
「あった。了も同じクラスだ」
「マジッ? 本当だ」
先に名前を見つけたのは伸。
1年の時と同じようにⅭ組だった。
そして、自分の名前を見つけると共に、伸は了の名前も見つける。
そのことを告げると、了も自分の名前を見つけることができた。
「これで宿題の心配はいらないな」
「俺を頼んなよ。宿題位自分でやれよ」
「……善処するよ」
1年の時も同じクラスだった了はよく宿題を忘れて伸に写させてくれと何度も頭を下げてきた。
学年も上がったのだし、いい加減自力でやるべきだと思って伸が注意をすると、了は少し考えた後返答した。
その表情からすると、出来る限りは自力でやるが、もしもの時は頼る気満々といったようにも見える。
少しばかり頼られて嬉しい気分もあり、伸もそれ以上強く言うのはやめておくことにした。
「俺も宿題よろしくな」
「俺も」
「ゲッ! 石と吉も同じクラスかよ」
伸と了が話している所に、背後から2人組が話しかけて来た。
石塚と吉井の2人だ。
了と同じく、宿題を写させてくれと言ってきた。
その意味から、もしかしてと思って掲示板を見ると、思った通り自分と同じクラスだったため、伸は思わず表情を渋くすることになった。
「「ゲッ!」とは何だ! 「ゲッ!」とは……」
「そうだよ。俺たち一緒に魔物と戦った仲だろ?」
「……だからだよ。お前らといると、平穏な学園生活が崩れるだろうが!」
石と吉が言うように、彼らとは学園に侵入してきた魔物を共に退治した仲だ。
あの時、本来は大事にならずに魔物を倒すことが伸にはできた。
しかし、了・石・吉の3人によって、結局大事になることになってしまった。
そのことだけでなく、入学早々他のクラスの人間と揉めたりした。
全部自分は巻き込まれた感じだ。
そのことを思いだしたため、伸は渋い表情をするしかなかったのだ。
「今更平穏なんて無理だって」
「俺ら4人は、教師陣にはちょっとした問題児っぽく思われているんだし」
「そうだな。無理だ」
「お前ら……」
伸の言葉を否定するように、石、吉、了の順で話してくる。
入学早々に揉め事を起こしたからか、吉の言うようにこの4人は若干問題児扱いされている。
何故か4人でいると、教師に「問題を起こすなよ」と毎回言われるようになってしまったのだ。
3人はそれを受け入れているが、伸は巻き込まれただけでしかないため、いまいち納得できないでいた。
「んっ?」
4人でやり取りをしていると、伸は見知った顔が近付いてきたことに気付く。
「こんにちは」
「やっ!」
「……おっす」
あちらも気が付いたらしく、笑顔で話しかけて来た。
柊綾愛と杉山奈津希だ。
元々名門柊家の令嬢ということだけでも注目の的だったというのに、柊家の当主は去年魔族退治を2度もおこなった有名人だ。
綾愛自身も1年ながらに対抗戦を優勝してしまったのだから、なおも注目を集める存在になっている。
奈津希も、その身長的にも可愛らしいルックスで柊家関連の一族ということもあり、一部の男子と女子人気が高い。
そんな2人が、去年揉め事を起こした4人組の1人と話しているのだから、視線が集中して気まずい空気だ。
「何組だったの?」
「Ⅽ組だ」
「あら。同じクラスね」
「えっ? マジ……?」
奈津希の問いに返答すると、綾愛が少々びっくりしたように反応する。
掲示板を見てみると、たしかに女子の欄に2人の名前が同じⅭ組に書かれていた。
「1年よろしく」
「よろしくね」
「あぁ……」
伸のクラス確認をした2人は、周囲の視線を気にしたのか、すぐにその場から去っていった。
問題を起こす3人だけでなく、毎回柊家の仕事を手伝わせる綾愛と奈津希。
去年、学園に侵入した魔物と戦った者たちが、全てが同じクラスになったということだ。
『どう考えても平穏な日々は期待できないな……』
この厄介ごとに首を突っ込みたがる5人に囲まれて、自分が巻き込まれないわけがない。
きっと今年も何かしらの問題にかかわるに決まっている。
学園卒業まで大人しく過ごしたいところだが、それは無理そうだと伸は思うようになった。
「伸!」
「教室」
「行こうぜ!」
「……あぁ」
掲示板に集まっていた生徒たちが、少しずつ減っていく。
それぞれ自分の教室へと、向かって行ったのだ。
クラスが確認できたのだから、いつまでもこの場にいるわけにはいかない。
了、石、吉に促された伸は、3人の背中を追って教室へと向かうことにした。
『まぁ、今年も何とかなるだろ……』
去年は色々と巻き込まれることになったが、とり合えず何とかなったのだから今年も何とかなるはずだ。
5人共、1年の時よりも魔術師として確実に成長しているが、まだまだ自分には遠く届かない存在だ。
なので、問題が起きてもそれを自分が密かに対処すればいいだけのことと、伸は考えることにした。
教室に入り、問題児の3人と話すなか、伸は今年度こそ平和な生活をと望んだ。
しかし、そんな期待が崩れ去ることが、すぐに巻き起こることになる。
2度の魔族襲来という前代未聞の1学年から進級し、伸は2年生になった。
この学園では進級時にクラス編成がおこなわれるため、伸は自分が何組になったのかを確認しに掲示板へと向かった。
そして、掲示板に張り出された紙を見て、自分の名前を探した。
「これもタブレットで発表すればいいのに……」
自分の名前が見つからない伸は、独り言を呟く。
掲示板の情報は、タブレットにも送られてくるため、はっきり言って存在価値がない。
撤去しても問題ないのだが、学校という空間に掲示板という存在は、情緒的なものとして残されている。
昔のアニメや漫画を見れば確かにそうだが、今の時代に必要かといわれるとそうでもない。
使用するとしても、今回の様な時くらいしかないのが現状だ。
「お~い! 伸」
「よう。了」
クラス確認をしていたところに近付いてきた了に、伸は返答する。
了も確認に来たようだ。
「どのクラスになった?」
「まだ捜索中だよ」
「そうか……」
わざわざ見つけるのが面倒だから先に来ていた伸に尋ねたのだが、伸もまだどのクラスか分かっていないと聞いて、了はあからさまに面倒そうな表情をした。
それも仕方がないと諦め、了は伸と共に自分の名前の捜索を開始した。
「あった。了も同じクラスだ」
「マジッ? 本当だ」
先に名前を見つけたのは伸。
1年の時と同じようにⅭ組だった。
そして、自分の名前を見つけると共に、伸は了の名前も見つける。
そのことを告げると、了も自分の名前を見つけることができた。
「これで宿題の心配はいらないな」
「俺を頼んなよ。宿題位自分でやれよ」
「……善処するよ」
1年の時も同じクラスだった了はよく宿題を忘れて伸に写させてくれと何度も頭を下げてきた。
学年も上がったのだし、いい加減自力でやるべきだと思って伸が注意をすると、了は少し考えた後返答した。
その表情からすると、出来る限りは自力でやるが、もしもの時は頼る気満々といったようにも見える。
少しばかり頼られて嬉しい気分もあり、伸もそれ以上強く言うのはやめておくことにした。
「俺も宿題よろしくな」
「俺も」
「ゲッ! 石と吉も同じクラスかよ」
伸と了が話している所に、背後から2人組が話しかけて来た。
石塚と吉井の2人だ。
了と同じく、宿題を写させてくれと言ってきた。
その意味から、もしかしてと思って掲示板を見ると、思った通り自分と同じクラスだったため、伸は思わず表情を渋くすることになった。
「「ゲッ!」とは何だ! 「ゲッ!」とは……」
「そうだよ。俺たち一緒に魔物と戦った仲だろ?」
「……だからだよ。お前らといると、平穏な学園生活が崩れるだろうが!」
石と吉が言うように、彼らとは学園に侵入してきた魔物を共に退治した仲だ。
あの時、本来は大事にならずに魔物を倒すことが伸にはできた。
しかし、了・石・吉の3人によって、結局大事になることになってしまった。
そのことだけでなく、入学早々他のクラスの人間と揉めたりした。
全部自分は巻き込まれた感じだ。
そのことを思いだしたため、伸は渋い表情をするしかなかったのだ。
「今更平穏なんて無理だって」
「俺ら4人は、教師陣にはちょっとした問題児っぽく思われているんだし」
「そうだな。無理だ」
「お前ら……」
伸の言葉を否定するように、石、吉、了の順で話してくる。
入学早々に揉め事を起こしたからか、吉の言うようにこの4人は若干問題児扱いされている。
何故か4人でいると、教師に「問題を起こすなよ」と毎回言われるようになってしまったのだ。
3人はそれを受け入れているが、伸は巻き込まれただけでしかないため、いまいち納得できないでいた。
「んっ?」
4人でやり取りをしていると、伸は見知った顔が近付いてきたことに気付く。
「こんにちは」
「やっ!」
「……おっす」
あちらも気が付いたらしく、笑顔で話しかけて来た。
柊綾愛と杉山奈津希だ。
元々名門柊家の令嬢ということだけでも注目の的だったというのに、柊家の当主は去年魔族退治を2度もおこなった有名人だ。
綾愛自身も1年ながらに対抗戦を優勝してしまったのだから、なおも注目を集める存在になっている。
奈津希も、その身長的にも可愛らしいルックスで柊家関連の一族ということもあり、一部の男子と女子人気が高い。
そんな2人が、去年揉め事を起こした4人組の1人と話しているのだから、視線が集中して気まずい空気だ。
「何組だったの?」
「Ⅽ組だ」
「あら。同じクラスね」
「えっ? マジ……?」
奈津希の問いに返答すると、綾愛が少々びっくりしたように反応する。
掲示板を見てみると、たしかに女子の欄に2人の名前が同じⅭ組に書かれていた。
「1年よろしく」
「よろしくね」
「あぁ……」
伸のクラス確認をした2人は、周囲の視線を気にしたのか、すぐにその場から去っていった。
問題を起こす3人だけでなく、毎回柊家の仕事を手伝わせる綾愛と奈津希。
去年、学園に侵入した魔物と戦った者たちが、全てが同じクラスになったということだ。
『どう考えても平穏な日々は期待できないな……』
この厄介ごとに首を突っ込みたがる5人に囲まれて、自分が巻き込まれないわけがない。
きっと今年も何かしらの問題にかかわるに決まっている。
学園卒業まで大人しく過ごしたいところだが、それは無理そうだと伸は思うようになった。
「伸!」
「教室」
「行こうぜ!」
「……あぁ」
掲示板に集まっていた生徒たちが、少しずつ減っていく。
それぞれ自分の教室へと、向かって行ったのだ。
クラスが確認できたのだから、いつまでもこの場にいるわけにはいかない。
了、石、吉に促された伸は、3人の背中を追って教室へと向かうことにした。
『まぁ、今年も何とかなるだろ……』
去年は色々と巻き込まれることになったが、とり合えず何とかなったのだから今年も何とかなるはずだ。
5人共、1年の時よりも魔術師として確実に成長しているが、まだまだ自分には遠く届かない存在だ。
なので、問題が起きてもそれを自分が密かに対処すればいいだけのことと、伸は考えることにした。
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