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第13章
第342話
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「ってな具合かな?」
「そうか……、どうやら、個体差関係なく魔王たちに封印魔法しか通用しそうだな……」
「あぁ」
レイナルドから、魔王ソフロニオとの戦闘の説明を受けた。
エルフ王国の方は、これまでの計画通り人工島へ封印することに成功した。
ケイたちも無人島に魔王サンティアゴを封印してきたし、2体の魔王に通用したのだから、他の魔王たちにも通用するだろう。
あとは、ドワーフ王国と人族大陸に出現した魔王たちを封印するだけだ。
「父さんドワーフ王国に行かないと!」
カルロスとしては、ドワーフ王国の救援に向かっているであろう父の友人のリカルド、自分の友人のファウストのことが気になる。
怪我をさせてもすぐに再生してしまう魔王相手に、彼らも苦戦しているに違いない。
兄のレイナルドの説明で、魔王を相手にするのなら封印魔法しか通用しないのは分かった。
ならば、すぐに向かって、被害が広がらないうちに封印するしかない。
「止まれ、カルロス! 多分、そっちは多分大丈夫だ」
「どうして!?」
今にもドワーフ王国へ転移してしまいそうなカルロスを、レイナルドは止める。
少しでも早く助力に向かいたいカルロスとしては、兄のその行為に若干イラ立つ。
「ファビオたちがちょうどカンタルボスに行っている。帰って来ていない所を考えると、恐らく」
「えっ? そう言えば……」
魔王のソフロニオがエルフ王国に出現する前、レイナルドの息子2人はカンタルボス王国へ向かっていた。
そのことをレイナルドに言われたカルロスは、周囲を見渡してソフロニオと戦った戦士の中にファビオたちがいないことに気付いた。
まだまだ小国と言っても、ここは王国だ。
ケイやレイナルド、それにカルロスも年齢に反して見た目はまだまだ若い。
しかし、早いうちに次の王として長男のファビオをエルフ王国の王とする予定だ。
もちろん、ファビオに地位を譲ったとしても、この国のために働くつもりでいるが、ケイがそうだったように、レイナルドたちもあまり国王とか言うガラじゃないと思っているため、速いとこ隠居して孫や曾孫の相手をしたいというのが本音だ。
魔王が出て、もしもの時にはエルフの国の住民を連れてカンタルボスへ逃げ込むことも考えられる。
その時の許可を得るために、一応王太子のファビオが、現カンタルボス国王のエリアスに会いに行ったのだ。
弟のラウルは、妻であるルシアと共に子供を見せるため付いて行ったに過ぎない。
ラウルの妻であるルシアは、ケイの友人であるリカルドの娘だ。
父であるリカルドが孫を連れて来いと頻繁にラウルに言うので、それに従ったと言う所だ。
ルシアとしては、リカルドが孫を甘やかしすぎるので会わせたくないと思っていたが、だいぶ期間が空いたので久々に連れて行くことにしたのだ。
◆◆◆◆◆
時間は遡り、ファビオに付いて行く形で、ラウルとルシアは息子のカミロを連れてカンタルボスへと訪れていた。
父のリカルドが年齢を理由に生前退位したため、長男のエリアスが現カンタルボス国王の地位に即位した。
ファビオはそのエリアスに会いに来たが、ラウルたちは前国王のリカルドに会いに来た。
そのため、その用事を一度に済まそうと、玉座の間に集まって謁見することになった。
「おぉ!! よく来たカミロ!!」
「おひさしぶりでちゅ、おじいちゃま!」
「おぉ!! ちゃんと挨拶できて偉いぞ!!」
ファビオ、ラウル、ルシア、カミロが玉座の間に入ると、すぐさまリカルドが駆け寄ってきた。
自分に駆け寄ってきた祖父に対し、5歳のカミロは舌足らずな発音で丁寧な挨拶をした。
孫の可愛らしい挨拶に、リカルドはべた褒めしながら頭を撫でた。
リカルドの大きな手だと、優しく撫でているというのにカミロの髪の毛はあっという間にグシャグシャになってしまった。
「父上! この場にはカミロだけじゃないんですから……」
父の態度を見兼ねたエリアスは、強い口調で止めに入る。
この場にはカミロだけでなく、ファビオとラウル、それに妹のルシアもいる。
いくら彼らと仲が良く孫が可愛いにしても、ちゃんと挨拶をしてからにしてほしい。
「あぁ……、すまんすまん」
「ハハ……、祖父のケイも似たようなものなのでお気遣いなく」
久々に孫に会えたことが嬉しすぎて、テンションが上がってしまった。
エリアスにいわれてようやく我を取り戻したのか、リカルドはすぐにファビオたちに謝罪した。
それを受けて、ファビオは苦笑いをする。
祖父のケイも、曾孫のカミロを同じように甘やかしている時があるので、ファビオからするとそういうものなのだと思っている。
なので、別に気にするところではなかった。
「全くもう……!」
元王妃のアデリナも、カミロに会えて嬉しいのを耐えているのに、夫のリカルドが感情を抑えない行動にため息を吐いた。
「今回は、魔王出現の際の話だとか?」
「えぇ」
お互い簡単に挨拶を交わし、エリアスとファビオは2人で話し合うために部屋を変えた。
今頃、別部屋では、カミロがリカルドにもみくちゃにされていることだろう。
2人だけになった所で、エリアスは早々に今回ファビオが来ることになった理由を話し合うことにした。
「もしもの時には、我が国民のカンタルボスへの避難を許可願いたいのです」
「了解しました。許可します」
「ありがとうございます」
魔王が出現した場合、もしもの時の避難場所を決めておいた方が良い。
そのため、エルフ王国としては仲の良いカンタルボス王国へ避難することを選んだ。
その許可を得るため、ファビオはエリアスに会いに来たのだ。
エリアスもあらかじめその内容を聞いていたため、父のリカルドやファウストと相談していた。
父のリカルドはケイと、自分はレイナルドと、ファウストはカルロスと仲が良い。
それに、妹のルシアはラウルと結婚している。
お互い王族が親族関係でもあるため、突き放すわけにはいかない。
以前人族との戦争の時も受け入れたこともあったため、今回も許可を出すことに決定していた。
エリアスから許可が得られ、ファビオは感謝の言葉を述べた。
「大変です!! エリアス様!!」
「どうした!? 騒々しい!」
ファビオとエリアスが話し合っている部屋に、兵が慌てたように入ってきた。
話し合いの最中だというのに入ってきたため、エリアスはやや強い口調で兵へと理由を尋ねた。
「ドワーフ王国に魔王を名乗るものが現れたとのことです!」
「「っっっ!!」」
兵の報告にファビオとエリアスの2人は驚き、座っていた椅子から立ち上がったのだった。
「そうか……、どうやら、個体差関係なく魔王たちに封印魔法しか通用しそうだな……」
「あぁ」
レイナルドから、魔王ソフロニオとの戦闘の説明を受けた。
エルフ王国の方は、これまでの計画通り人工島へ封印することに成功した。
ケイたちも無人島に魔王サンティアゴを封印してきたし、2体の魔王に通用したのだから、他の魔王たちにも通用するだろう。
あとは、ドワーフ王国と人族大陸に出現した魔王たちを封印するだけだ。
「父さんドワーフ王国に行かないと!」
カルロスとしては、ドワーフ王国の救援に向かっているであろう父の友人のリカルド、自分の友人のファウストのことが気になる。
怪我をさせてもすぐに再生してしまう魔王相手に、彼らも苦戦しているに違いない。
兄のレイナルドの説明で、魔王を相手にするのなら封印魔法しか通用しないのは分かった。
ならば、すぐに向かって、被害が広がらないうちに封印するしかない。
「止まれ、カルロス! 多分、そっちは多分大丈夫だ」
「どうして!?」
今にもドワーフ王国へ転移してしまいそうなカルロスを、レイナルドは止める。
少しでも早く助力に向かいたいカルロスとしては、兄のその行為に若干イラ立つ。
「ファビオたちがちょうどカンタルボスに行っている。帰って来ていない所を考えると、恐らく」
「えっ? そう言えば……」
魔王のソフロニオがエルフ王国に出現する前、レイナルドの息子2人はカンタルボス王国へ向かっていた。
そのことをレイナルドに言われたカルロスは、周囲を見渡してソフロニオと戦った戦士の中にファビオたちがいないことに気付いた。
まだまだ小国と言っても、ここは王国だ。
ケイやレイナルド、それにカルロスも年齢に反して見た目はまだまだ若い。
しかし、早いうちに次の王として長男のファビオをエルフ王国の王とする予定だ。
もちろん、ファビオに地位を譲ったとしても、この国のために働くつもりでいるが、ケイがそうだったように、レイナルドたちもあまり国王とか言うガラじゃないと思っているため、速いとこ隠居して孫や曾孫の相手をしたいというのが本音だ。
魔王が出て、もしもの時にはエルフの国の住民を連れてカンタルボスへ逃げ込むことも考えられる。
その時の許可を得るために、一応王太子のファビオが、現カンタルボス国王のエリアスに会いに行ったのだ。
弟のラウルは、妻であるルシアと共に子供を見せるため付いて行ったに過ぎない。
ラウルの妻であるルシアは、ケイの友人であるリカルドの娘だ。
父であるリカルドが孫を連れて来いと頻繁にラウルに言うので、それに従ったと言う所だ。
ルシアとしては、リカルドが孫を甘やかしすぎるので会わせたくないと思っていたが、だいぶ期間が空いたので久々に連れて行くことにしたのだ。
◆◆◆◆◆
時間は遡り、ファビオに付いて行く形で、ラウルとルシアは息子のカミロを連れてカンタルボスへと訪れていた。
父のリカルドが年齢を理由に生前退位したため、長男のエリアスが現カンタルボス国王の地位に即位した。
ファビオはそのエリアスに会いに来たが、ラウルたちは前国王のリカルドに会いに来た。
そのため、その用事を一度に済まそうと、玉座の間に集まって謁見することになった。
「おぉ!! よく来たカミロ!!」
「おひさしぶりでちゅ、おじいちゃま!」
「おぉ!! ちゃんと挨拶できて偉いぞ!!」
ファビオ、ラウル、ルシア、カミロが玉座の間に入ると、すぐさまリカルドが駆け寄ってきた。
自分に駆け寄ってきた祖父に対し、5歳のカミロは舌足らずな発音で丁寧な挨拶をした。
孫の可愛らしい挨拶に、リカルドはべた褒めしながら頭を撫でた。
リカルドの大きな手だと、優しく撫でているというのにカミロの髪の毛はあっという間にグシャグシャになってしまった。
「父上! この場にはカミロだけじゃないんですから……」
父の態度を見兼ねたエリアスは、強い口調で止めに入る。
この場にはカミロだけでなく、ファビオとラウル、それに妹のルシアもいる。
いくら彼らと仲が良く孫が可愛いにしても、ちゃんと挨拶をしてからにしてほしい。
「あぁ……、すまんすまん」
「ハハ……、祖父のケイも似たようなものなのでお気遣いなく」
久々に孫に会えたことが嬉しすぎて、テンションが上がってしまった。
エリアスにいわれてようやく我を取り戻したのか、リカルドはすぐにファビオたちに謝罪した。
それを受けて、ファビオは苦笑いをする。
祖父のケイも、曾孫のカミロを同じように甘やかしている時があるので、ファビオからするとそういうものなのだと思っている。
なので、別に気にするところではなかった。
「全くもう……!」
元王妃のアデリナも、カミロに会えて嬉しいのを耐えているのに、夫のリカルドが感情を抑えない行動にため息を吐いた。
「今回は、魔王出現の際の話だとか?」
「えぇ」
お互い簡単に挨拶を交わし、エリアスとファビオは2人で話し合うために部屋を変えた。
今頃、別部屋では、カミロがリカルドにもみくちゃにされていることだろう。
2人だけになった所で、エリアスは早々に今回ファビオが来ることになった理由を話し合うことにした。
「もしもの時には、我が国民のカンタルボスへの避難を許可願いたいのです」
「了解しました。許可します」
「ありがとうございます」
魔王が出現した場合、もしもの時の避難場所を決めておいた方が良い。
そのため、エルフ王国としては仲の良いカンタルボス王国へ避難することを選んだ。
その許可を得るため、ファビオはエリアスに会いに来たのだ。
エリアスもあらかじめその内容を聞いていたため、父のリカルドやファウストと相談していた。
父のリカルドはケイと、自分はレイナルドと、ファウストはカルロスと仲が良い。
それに、妹のルシアはラウルと結婚している。
お互い王族が親族関係でもあるため、突き放すわけにはいかない。
以前人族との戦争の時も受け入れたこともあったため、今回も許可を出すことに決定していた。
エリアスから許可が得られ、ファビオは感謝の言葉を述べた。
「大変です!! エリアス様!!」
「どうした!? 騒々しい!」
ファビオとエリアスが話し合っている部屋に、兵が慌てたように入ってきた。
話し合いの最中だというのに入ってきたため、エリアスはやや強い口調で兵へと理由を尋ねた。
「ドワーフ王国に魔王を名乗るものが現れたとのことです!」
「「っっっ!!」」
兵の報告にファビオとエリアスの2人は驚き、座っていた椅子から立ち上がったのだった。
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