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第13章
第326話
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「いたぞ! 奴だ!」
先に魔王と名乗る者と戦っていた仲間を助けるため、ドワーフ兵の援軍たちが集まってきた。
魔道具の武器や防具を装備し、初っ端から全力で戦う気満々だ。
「先発隊が倒れているぞ!」
「まずは彼らの生死の確認。それと安全地帯への避難を優先させろ!」
「「「「「了解!」」」」」
援軍の者たちが着くと、標的らしき者の周辺には先発隊の仲間が倒れているのが確認できる。
それを見て援軍に来た者たちは、まず仲間の安否確認と避難を優先させた。
警戒しつつ倒れている者たちを運び始めるが、敵は特に邪魔をする素振りもなく、ただ腕を組んで仁王立ちしていた。
「貴様が魔王とかいう奴か?」
「あぁ、魔王のアマドルという。魔王様もしくはアマドル様と呼べば良い」
「貴様などに様など着けるか!」
援軍の兵の1人が問いかけると、魔王を名乗る者は不遜な態度で名乗ってきた。
名をアマドルというらしい。
アマドルが腕を組みつつ偉そうに言って来るが、当然ドワーフたちは様付けを断り、武器を向けたのだった。
「おぉ、それがドワーフのおもちゃか?」
「おもちゃだと……」
ドワーフ兵たちが手に持ち身につけている武器と防具は、王のセベリノが開発に携わって作り上げたものだ。
ケイから魔王のことを聞いて、兵の戦闘力を強化するために開発してきたのだ。
この素晴らしい魔導兵器を見ておもちゃ呼ばわりされるのは、ドワーフとしては許しがたい発言だ。
その言葉を聞いたドワーフ兵たちは、一気に怒りが込み上げて来ていた。
「その言葉後悔させてやる!!」
「それは楽しみだ」
おもちゃ呼ばわりに腹を立てつつも、ドワーフ兵たちは冷静にアマドルの周囲を囲む。
それを見ても、アマドルは腕を組んだまま動かないでいた。
言葉通り、ドワーフ兵たちの持つ武器や防具の性能を見てみたいという、好奇心のこもった目を向けている。
「行くぞ!」
「「「「「おうっ!!」」」」」
ドワーフ兵たちが警戒しつつアマドルを見ていると、その言葉通り何をするのかを楽しみにするように立ち尽くしている。
襲い掛かってくる気配がないことを感じ取ったドワーフ兵たちは、取り出したある武器を肩に担いだ。
「放て!!」
「「「「「ハッ!!」」」」」
取り出した武器は、バズーカ砲。
内部に込められた魔力を利用し、高速の弾頭が発射される。
しかも、アマドルが動かないでいることを利用して、ギリギリまで近付いての発射をおこなう。
「っ!!」
前方の様々な方向から飛んで来る弾頭を防ぐ事など不可能だろう。
ドワーフ兵たちが思った通り、全弾がアマドルへと直撃して大爆発を起こした。
「やったか!?」
全弾直撃により勝利を確信したからか、ドワーフ兵の一人が言ってはいけないことを言う。
「フフフ……」
「なっ!?」
フラグの通り、攻撃を受けてもアマドルは生きていたらしく、笑い声が聞こえてきた。
魔力を使って弾丸を発射させるという、ケイの銃からヒントを得たバズーカ砲。
まともに食らったら、魔人族大陸の強力な魔物でも一撃で倒せるほどの威力を有している。
それを何発も食らって、生きているなんてことが信じられず、ドワーフ兵たちは唖然としたように爆発によって巻き起こった土煙が治まるのを待った。
「これがドワーフ自慢の武器か……」
「無傷……だと?」
土煙が治まって姿を現したアマドルを見て、ドワーフたちはまたも唖然とすることになる。
バズーカによる攻撃で死なないどころか、アマドルは攻撃を受けていないかのように傷を負っていなかった。
これだけの威力の攻撃を受けて、無傷でいられる生物がいるなんて考えたこともなかった。
そのせいか、ドワーフ兵たちは追撃をするのが遅れた。
「お返しだ!」
「まずっ……!!」
バズーカの攻撃を受けたアマドルは、組んでいた手をほどき、ドワーフ兵たちに向けた。
驚きから解放された時には遅く、気付いた時にはアマドルの放った竜巻が、ドワーフ兵たちを飲み込んで行った。
「ぐわっ!」「うっ!」「くあっ!」
アマドルの竜巻により、多くのドワーフ兵が上空へと巻き上げられる。
回転に巻き込まれている間に細かく切り傷を負わされた兵たちが、上空から落ちてくる。
多くの細かい怪我を負ってはいるが、みんな何とか着地をする事に成功した。
誰も死ななかったのは、ドワーフ兵たちが着ている魔法攻撃へ対抗するために作られた防具のお陰だろう。
「このっ!!」
「おっと!」
仲間が攻撃を受けたことで焦った若いドワーフ兵は、バズーカの砲口を向けて発射する。
アマドルは迫り来るその砲弾を、今度は魔力の障壁を出現させて防いだ。
その障壁により砲弾は防がれ、またも攻撃は無傷に終わった。
「くそっ!! やっぱり奴には効かないのか……」
これでドワーフの自慢の兵器が通用していないことが確実になったため、みんな悔しい気持ちで表情を歪めた。
「いや、そうとも限らないですよ……」
「「「「「っ!?」」」」」
これからどう戦うか悩んでいたドワーフ兵たちへ、急に背後から声がかけられた。
ドワーフ兵たちは何者かと、そちらに目を向ける。
「ラファエル殿!?」
「どうも!」
そこにいたのは、魔人大陸にあるエナグア王国の戦闘部隊の隊長になったラファエルだった。
20歳になったと同時に戦闘部隊の隊長になるなんて、エナグア王国史上初の出来事といわれている。
ドワーフ王国国王のセベリノから援軍の要請を受けて、一番速くに到着したのだ。
自分のことに気付いたドワーフ兵たちに、ラファエルは軽く頭を下げた。
「先程のそうとも限らないとは?」
「あぁ……」
現状が現状のため、挨拶もそこそこにし、ドワーフ兵の一人はすぐに戦闘のことに話を変える。
ラファエルが言ったことが気になったのもあるだろう。
「ここに来る途中で戦闘を探知していましたが、最初の攻撃を受けても平気だったのが、2度目は魔法障壁を張って守っていました」
ドワーフ王国からエナグア王国までの距離は近い。
速鳥による救援の要請も、一番早く到着した。
ケイから聞かされていた魔王の出現と聞いて、ことがことなのでラファエルは魔人兵たちより先に行動を開始した。
ケイに秘匿として教わっていた転移魔法を使い、あっという間にドワーフ王国へと到着したのだ。
「えぇ、それが……?」
たしかにアマドルは、さっきの若いドワーフ兵の攻撃を防いだ。
それがどうしたということだろう。
「もしかしたら、最初の攻撃は無傷だったのではなく、怪我を受けてもすぐに治ったという可能性があります」
「なっ!! 本当ですか!?」
「あくまで可能性です!」
たしかに攻撃を受けても無傷だったのなら、別に守る必要などないように思える。
ラファエルの言うように、もしかしたら最初のバズーカ攻撃は効いていたのかもしれない。
「自分が隙を作ります。皆さんはその隙を狙ってください」
「わ、分かりました!」
普通にドワーフ兵たちが攻撃しても、魔力障壁で防がれてしまうかもしれない。
そのため、ラファエルは自分がアマドルと戦ってみることにした。
軽い準備運動をしたラファエルは、武器の刀を手にアマドルへと近付いて行ったのだった。
先に魔王と名乗る者と戦っていた仲間を助けるため、ドワーフ兵の援軍たちが集まってきた。
魔道具の武器や防具を装備し、初っ端から全力で戦う気満々だ。
「先発隊が倒れているぞ!」
「まずは彼らの生死の確認。それと安全地帯への避難を優先させろ!」
「「「「「了解!」」」」」
援軍の者たちが着くと、標的らしき者の周辺には先発隊の仲間が倒れているのが確認できる。
それを見て援軍に来た者たちは、まず仲間の安否確認と避難を優先させた。
警戒しつつ倒れている者たちを運び始めるが、敵は特に邪魔をする素振りもなく、ただ腕を組んで仁王立ちしていた。
「貴様が魔王とかいう奴か?」
「あぁ、魔王のアマドルという。魔王様もしくはアマドル様と呼べば良い」
「貴様などに様など着けるか!」
援軍の兵の1人が問いかけると、魔王を名乗る者は不遜な態度で名乗ってきた。
名をアマドルというらしい。
アマドルが腕を組みつつ偉そうに言って来るが、当然ドワーフたちは様付けを断り、武器を向けたのだった。
「おぉ、それがドワーフのおもちゃか?」
「おもちゃだと……」
ドワーフ兵たちが手に持ち身につけている武器と防具は、王のセベリノが開発に携わって作り上げたものだ。
ケイから魔王のことを聞いて、兵の戦闘力を強化するために開発してきたのだ。
この素晴らしい魔導兵器を見ておもちゃ呼ばわりされるのは、ドワーフとしては許しがたい発言だ。
その言葉を聞いたドワーフ兵たちは、一気に怒りが込み上げて来ていた。
「その言葉後悔させてやる!!」
「それは楽しみだ」
おもちゃ呼ばわりに腹を立てつつも、ドワーフ兵たちは冷静にアマドルの周囲を囲む。
それを見ても、アマドルは腕を組んだまま動かないでいた。
言葉通り、ドワーフ兵たちの持つ武器や防具の性能を見てみたいという、好奇心のこもった目を向けている。
「行くぞ!」
「「「「「おうっ!!」」」」」
ドワーフ兵たちが警戒しつつアマドルを見ていると、その言葉通り何をするのかを楽しみにするように立ち尽くしている。
襲い掛かってくる気配がないことを感じ取ったドワーフ兵たちは、取り出したある武器を肩に担いだ。
「放て!!」
「「「「「ハッ!!」」」」」
取り出した武器は、バズーカ砲。
内部に込められた魔力を利用し、高速の弾頭が発射される。
しかも、アマドルが動かないでいることを利用して、ギリギリまで近付いての発射をおこなう。
「っ!!」
前方の様々な方向から飛んで来る弾頭を防ぐ事など不可能だろう。
ドワーフ兵たちが思った通り、全弾がアマドルへと直撃して大爆発を起こした。
「やったか!?」
全弾直撃により勝利を確信したからか、ドワーフ兵の一人が言ってはいけないことを言う。
「フフフ……」
「なっ!?」
フラグの通り、攻撃を受けてもアマドルは生きていたらしく、笑い声が聞こえてきた。
魔力を使って弾丸を発射させるという、ケイの銃からヒントを得たバズーカ砲。
まともに食らったら、魔人族大陸の強力な魔物でも一撃で倒せるほどの威力を有している。
それを何発も食らって、生きているなんてことが信じられず、ドワーフ兵たちは唖然としたように爆発によって巻き起こった土煙が治まるのを待った。
「これがドワーフ自慢の武器か……」
「無傷……だと?」
土煙が治まって姿を現したアマドルを見て、ドワーフたちはまたも唖然とすることになる。
バズーカによる攻撃で死なないどころか、アマドルは攻撃を受けていないかのように傷を負っていなかった。
これだけの威力の攻撃を受けて、無傷でいられる生物がいるなんて考えたこともなかった。
そのせいか、ドワーフ兵たちは追撃をするのが遅れた。
「お返しだ!」
「まずっ……!!」
バズーカの攻撃を受けたアマドルは、組んでいた手をほどき、ドワーフ兵たちに向けた。
驚きから解放された時には遅く、気付いた時にはアマドルの放った竜巻が、ドワーフ兵たちを飲み込んで行った。
「ぐわっ!」「うっ!」「くあっ!」
アマドルの竜巻により、多くのドワーフ兵が上空へと巻き上げられる。
回転に巻き込まれている間に細かく切り傷を負わされた兵たちが、上空から落ちてくる。
多くの細かい怪我を負ってはいるが、みんな何とか着地をする事に成功した。
誰も死ななかったのは、ドワーフ兵たちが着ている魔法攻撃へ対抗するために作られた防具のお陰だろう。
「このっ!!」
「おっと!」
仲間が攻撃を受けたことで焦った若いドワーフ兵は、バズーカの砲口を向けて発射する。
アマドルは迫り来るその砲弾を、今度は魔力の障壁を出現させて防いだ。
その障壁により砲弾は防がれ、またも攻撃は無傷に終わった。
「くそっ!! やっぱり奴には効かないのか……」
これでドワーフの自慢の兵器が通用していないことが確実になったため、みんな悔しい気持ちで表情を歪めた。
「いや、そうとも限らないですよ……」
「「「「「っ!?」」」」」
これからどう戦うか悩んでいたドワーフ兵たちへ、急に背後から声がかけられた。
ドワーフ兵たちは何者かと、そちらに目を向ける。
「ラファエル殿!?」
「どうも!」
そこにいたのは、魔人大陸にあるエナグア王国の戦闘部隊の隊長になったラファエルだった。
20歳になったと同時に戦闘部隊の隊長になるなんて、エナグア王国史上初の出来事といわれている。
ドワーフ王国国王のセベリノから援軍の要請を受けて、一番速くに到着したのだ。
自分のことに気付いたドワーフ兵たちに、ラファエルは軽く頭を下げた。
「先程のそうとも限らないとは?」
「あぁ……」
現状が現状のため、挨拶もそこそこにし、ドワーフ兵の一人はすぐに戦闘のことに話を変える。
ラファエルが言ったことが気になったのもあるだろう。
「ここに来る途中で戦闘を探知していましたが、最初の攻撃を受けても平気だったのが、2度目は魔法障壁を張って守っていました」
ドワーフ王国からエナグア王国までの距離は近い。
速鳥による救援の要請も、一番早く到着した。
ケイから聞かされていた魔王の出現と聞いて、ことがことなのでラファエルは魔人兵たちより先に行動を開始した。
ケイに秘匿として教わっていた転移魔法を使い、あっという間にドワーフ王国へと到着したのだ。
「えぇ、それが……?」
たしかにアマドルは、さっきの若いドワーフ兵の攻撃を防いだ。
それがどうしたということだろう。
「もしかしたら、最初の攻撃は無傷だったのではなく、怪我を受けてもすぐに治ったという可能性があります」
「なっ!! 本当ですか!?」
「あくまで可能性です!」
たしかに攻撃を受けても無傷だったのなら、別に守る必要などないように思える。
ラファエルの言うように、もしかしたら最初のバズーカ攻撃は効いていたのかもしれない。
「自分が隙を作ります。皆さんはその隙を狙ってください」
「わ、分かりました!」
普通にドワーフ兵たちが攻撃しても、魔力障壁で防がれてしまうかもしれない。
そのため、ラファエルは自分がアマドルと戦ってみることにした。
軽い準備運動をしたラファエルは、武器の刀を手にアマドルへと近付いて行ったのだった。
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