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第10章
第215話
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「魔闘術も使えないのに1人で来たのか?」
魔闘術の使い方を教えてほしいと言われたケイは、思ったことを善貞に尋ねることにした。
猪の魔物は、ケイは簡単に倒しているが、普通の人だと戦うのはかなり危険だ。
その数が増えているような所に1人で来るなんて、考え無しも良いところだ。
「1対1なら何とかなるかと思って……」
「考えが甘いな……」
魔闘術が使えなくても猪を倒せる人間はいるだろうが、安全を期すためには集団で戦うのが1番だ。
善貞の実力がどんなものか分からないが、変な自信だけで挑もうなんて考えが甘すぎる。
一人で戦って、怪我でもしたらただでは済まないだろう。
そのことも考えないなんて、浅はか過ぎる。
「じゃあ、やって貰おうか?」
「えっ?」
その自信が本物かどうか確認しないと、まずは判断できない。
本人も戦う気で来たのだろうし、とりあえずやらせてみるのが手っ取り早い。
なので、ケイは善貞の実力のほどを見るために、猪と戦わせてみることにした。
「この方向から猪が来ている。お前が相手してみろよ」
「わ、分かった」
ケイの探知に、また猪の反応が引っかかった。
丁度いいので、ケイは反応のあった北の方角を指さし、善貞に戦うように指示した。
本当なら自分で見つけて退治するのが普通なのだが、それは一先ず置いておく。
単純に善貞のレベルを見るためだ。
【大丈夫かな?】「ワウッ?」
キュウとクウは、善貞が怪我をしないか気になるようだ。
匂いなどから善貞は悪い奴ではないように思えるが、猪を倒せるほど強いかは微妙な気がする。
「危なくなったら助けるよ」
【じゃあ、大丈夫だね!】「ワフッ!」
ケイが見ているなら大丈夫だろう。
安心したキュウとクウは、落ち着いて見ていることにした。
流石に知り合いが死ぬのを、ただ黙って見ているほどケイは冷酷ではない。
多少の怪我なら治せばいい。
大怪我しそうな時だけ助けるつもりだ。
「で、でかっ!」
「……バカ!」
静かに樹々の中を進んで行くと、先程ケイが指さした方角に猪の姿を発見した。
緊張感が足りないのか、その瞬間善貞は声を出してしまう。
見つからないように接近して初撃を与えるのが基本なのに、それすら知らないかのようだ。
案の定善貞の声に反応した猪は、こちらに向けて突進し始めた。
ケイは単純なミスをした善貞に、一言ツッコむ。
「くっ!?」
ケイたちは離れた所にいるからか、猪が向かってくることはないが、善貞は完全にターゲットになったようだ。
向かってきた猪の突進を、善貞は上手く横に跳んで回避する。
通り抜けた猪は、ターンしてまた善貞へと突進する。
「ハッ!」
「プギッ!?」
何度か猪の攻撃を回避した善貞は、抜刀して猪の側面を斬りつける。
善貞の斬撃は、浅くだが猪に傷を付ける。
斬られた方の猪は、悲鳴を上げて鼻息を荒らげる。
そして、血走った目で善貞へ襲い掛かる。
「はっ!!」
「避けるのは上手いみたいだな……」
猪の攻撃はたしかに早いが、善貞はその速度に慣れたのだろう。
攻撃を躱してから刀で攻撃するを繰り返す。
すると、多数の斬り傷によって、大量の血液を失った猪が横倒しになって動かなくなる。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
止めを刺して勝利を治めたが、攻撃を躱すのに集中し、ほとんどずっと無酸素運動をしていた善貞は、息切れをして座り込む。
体力の限界に来たのだろう。
「もう、だめ、だ……」
「確かに1対1なら何とかなったが、しばらく動けないみたいだな……」
息を切らしながら言葉を発する善貞。
有言実行を果たしはしたが、これでは次の猪を倒せそうにない。
「ったく。こんなんでよくここに来たな」
今のように、戦い終わった後にもう1頭が近寄って来たらどうするつもりだったのだろうか。
剣術は指導を受けていたのか、しっかりしている。
しかし、それ以外が良くないが、一応及第点といったところだ。
「キュウ! クウ! 善貞を見ててくれ」
【うん!】「ワウッ!」
近寄ってくる猪の相手は、ケイがすることにした。
体力切れで座り込んでいる善貞は、キュウたちに保護をしてもらうことにした。
ケイの指示を聞いたキュウたちは、素直に返事をした。
「おっ!?」
ケイが見事な隠形を行ない、猪の視界に入らないように接近する。
しかし、猪は魔物の勘とでも言うのだろうか、ケイがいることに気が付いたようだ。
すると、有無を言わずにケイへと接近してくる。
「っと!」
突っ込んでくる猪を、ケイはジャンプして躱す。
そしてそのまま腰から1丁銃を抜く。
「食らえ!」
“パンッ!”“パンッ!”
「プギャーー!!」
銃口を向けられても、猪にとっては何をしているのかは分からない。
怯むことなくケイに突っ込んで来た猪だったが、ケイの2発の銃弾を食らって脳天に風穴を開ける。
「これで今日は大丈夫だろう」
探知を広げてみるが、猪の反応はない。
今日の所はこれで終わりにしても良いようだ。
「お前、野宿する準備はしてきたのか?」
「……持ってない」
食料を持ってこなかった上に、テントなども用意していなかったようだ。
「仕方がない。こいつを使え」
別にこんな時のためではないが、古くなり予備にとっておいたテントを、ケイは善貞に渡した。
「ありがとう!」
そのテントを受け取り、作り上げた善貞はすぐに中に入って大人しくなる。
いつの間にか眠りにはいってしまったらしく、起こそうとしても全然起きないから、ケイたちが見張りを行なうことになってしまった。
猪など、魔物は何も出なかった。
魔闘術の使い方を教えてほしいと言われたケイは、思ったことを善貞に尋ねることにした。
猪の魔物は、ケイは簡単に倒しているが、普通の人だと戦うのはかなり危険だ。
その数が増えているような所に1人で来るなんて、考え無しも良いところだ。
「1対1なら何とかなるかと思って……」
「考えが甘いな……」
魔闘術が使えなくても猪を倒せる人間はいるだろうが、安全を期すためには集団で戦うのが1番だ。
善貞の実力がどんなものか分からないが、変な自信だけで挑もうなんて考えが甘すぎる。
一人で戦って、怪我でもしたらただでは済まないだろう。
そのことも考えないなんて、浅はか過ぎる。
「じゃあ、やって貰おうか?」
「えっ?」
その自信が本物かどうか確認しないと、まずは判断できない。
本人も戦う気で来たのだろうし、とりあえずやらせてみるのが手っ取り早い。
なので、ケイは善貞の実力のほどを見るために、猪と戦わせてみることにした。
「この方向から猪が来ている。お前が相手してみろよ」
「わ、分かった」
ケイの探知に、また猪の反応が引っかかった。
丁度いいので、ケイは反応のあった北の方角を指さし、善貞に戦うように指示した。
本当なら自分で見つけて退治するのが普通なのだが、それは一先ず置いておく。
単純に善貞のレベルを見るためだ。
【大丈夫かな?】「ワウッ?」
キュウとクウは、善貞が怪我をしないか気になるようだ。
匂いなどから善貞は悪い奴ではないように思えるが、猪を倒せるほど強いかは微妙な気がする。
「危なくなったら助けるよ」
【じゃあ、大丈夫だね!】「ワフッ!」
ケイが見ているなら大丈夫だろう。
安心したキュウとクウは、落ち着いて見ていることにした。
流石に知り合いが死ぬのを、ただ黙って見ているほどケイは冷酷ではない。
多少の怪我なら治せばいい。
大怪我しそうな時だけ助けるつもりだ。
「で、でかっ!」
「……バカ!」
静かに樹々の中を進んで行くと、先程ケイが指さした方角に猪の姿を発見した。
緊張感が足りないのか、その瞬間善貞は声を出してしまう。
見つからないように接近して初撃を与えるのが基本なのに、それすら知らないかのようだ。
案の定善貞の声に反応した猪は、こちらに向けて突進し始めた。
ケイは単純なミスをした善貞に、一言ツッコむ。
「くっ!?」
ケイたちは離れた所にいるからか、猪が向かってくることはないが、善貞は完全にターゲットになったようだ。
向かってきた猪の突進を、善貞は上手く横に跳んで回避する。
通り抜けた猪は、ターンしてまた善貞へと突進する。
「ハッ!」
「プギッ!?」
何度か猪の攻撃を回避した善貞は、抜刀して猪の側面を斬りつける。
善貞の斬撃は、浅くだが猪に傷を付ける。
斬られた方の猪は、悲鳴を上げて鼻息を荒らげる。
そして、血走った目で善貞へ襲い掛かる。
「はっ!!」
「避けるのは上手いみたいだな……」
猪の攻撃はたしかに早いが、善貞はその速度に慣れたのだろう。
攻撃を躱してから刀で攻撃するを繰り返す。
すると、多数の斬り傷によって、大量の血液を失った猪が横倒しになって動かなくなる。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
止めを刺して勝利を治めたが、攻撃を躱すのに集中し、ほとんどずっと無酸素運動をしていた善貞は、息切れをして座り込む。
体力の限界に来たのだろう。
「もう、だめ、だ……」
「確かに1対1なら何とかなったが、しばらく動けないみたいだな……」
息を切らしながら言葉を発する善貞。
有言実行を果たしはしたが、これでは次の猪を倒せそうにない。
「ったく。こんなんでよくここに来たな」
今のように、戦い終わった後にもう1頭が近寄って来たらどうするつもりだったのだろうか。
剣術は指導を受けていたのか、しっかりしている。
しかし、それ以外が良くないが、一応及第点といったところだ。
「キュウ! クウ! 善貞を見ててくれ」
【うん!】「ワウッ!」
近寄ってくる猪の相手は、ケイがすることにした。
体力切れで座り込んでいる善貞は、キュウたちに保護をしてもらうことにした。
ケイの指示を聞いたキュウたちは、素直に返事をした。
「おっ!?」
ケイが見事な隠形を行ない、猪の視界に入らないように接近する。
しかし、猪は魔物の勘とでも言うのだろうか、ケイがいることに気が付いたようだ。
すると、有無を言わずにケイへと接近してくる。
「っと!」
突っ込んでくる猪を、ケイはジャンプして躱す。
そしてそのまま腰から1丁銃を抜く。
「食らえ!」
“パンッ!”“パンッ!”
「プギャーー!!」
銃口を向けられても、猪にとっては何をしているのかは分からない。
怯むことなくケイに突っ込んで来た猪だったが、ケイの2発の銃弾を食らって脳天に風穴を開ける。
「これで今日は大丈夫だろう」
探知を広げてみるが、猪の反応はない。
今日の所はこれで終わりにしても良いようだ。
「お前、野宿する準備はしてきたのか?」
「……持ってない」
食料を持ってこなかった上に、テントなども用意していなかったようだ。
「仕方がない。こいつを使え」
別にこんな時のためではないが、古くなり予備にとっておいたテントを、ケイは善貞に渡した。
「ありがとう!」
そのテントを受け取り、作り上げた善貞はすぐに中に入って大人しくなる。
いつの間にか眠りにはいってしまったらしく、起こそうとしても全然起きないから、ケイたちが見張りを行なうことになってしまった。
猪など、魔物は何も出なかった。
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