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第7章
第148話
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「何故だ!?」
玉座の前をうろつくサンダリオ。
エルフと獣人による王都襲撃から数日、この出来事は王都内だけでなくリシケサ王国内に広まりつつある。
同盟関係にある南のパテル王国はともかく、北と東にある国にこの事が広まるのは時間の問題だ。
しかし、それはどうしようもないことなので気にしてはいないが、それよりもまんまと逃げられたとしたら、その方が問題だ。
奴らが消えた方法が分からないが、逃げる方法があるというのであれば、また同じように強襲をしかけてくる可能性があるということだ。
「奴らはどうやって消えたというのだ!?」
「申し訳ありません。いまだ解明されておりません」
目の前で報告をおこなっているセブリアンに対し、サンダリオはどうしても語気が荒くなってしまう。
事件以降、兵たちは昼夜問わずエルフと獣人の行方と、使った逃走経路を捜索している。
だが、何の手掛かりも見つけられず、セブリアンは頭を下げることしかできないでいる。
「捜索範囲を、城内から王都中へと移行しております。ですが、いまだ怪しい集団の発見はされておりません」
「クソッ! 何が起きたというんだ!? 全員姿がなくなるなんてありえないだろ!!」
消えた方法も、あれだけの数の人間がどこに行ったのかということも分からない。
折角王になったというのに、これでは心配で夜も眠れない。
サンダリオは玉座に座り、何も分からないことにイラ立つことしかできなかった。
「予定通りに行きましたな?」
「そうですね」
少し時間は戻り、ベルトランの暗殺に成功したケイとリカルドたちは、リシケサ王国の王都から三日ほどの距離にある森の中に作った地下室で、体を休めつつ話をしていた。
話の通り、王城を取り囲まれて、どこからも逃げ出せなくなったケイたちが転移魔法で脱出する。
ケイたちを殲滅しようと城内に入った時には、もうそこはもぬけの殻。
これで明日、明後日と、人数を分けてアンヘル島に帰れば作戦終了となる。
「できれば、我々がいなくなって慌てふためいているリシケサの奴らの顔を見たかったですな」
「ハハハ……、それもそうですな」
ケイの言う通り、離れた場所に転移してしまっては、敵の驚く顔を見ることができない。
さも、みっともない顔をしている所だろう。
城に入った者たちのみっともない姿を想像し、リカルドは笑いが込み上げてきた。
「しかし……、サンダリオに逃げられたのは失敗しでしたな……」
リカルドの言う通り、今回の作戦の1番の目標は、ベルトランとサンダリオの殺害が目当てだ。
しかし、大がかりな作戦に失敗はつきものとは言っても、そのサンダリオに逃げられたのは残念だった。
「調査の期間が短かったことを考えれば、仕方がないのでは?」
リカルドの言いたいことも分かるが、ケイが言ったように調査期間が短かった。
その短い時間で、城の間取りなどの情報を集めた諜報員のハコボたちは、よくやったと思う。
「うむ……、そうですな」
リカルドも、短い期間ながらにかなりの情報を得てきたハコボたちを認めている。
しかし、それでも失敗は失敗。
やっぱり、成功させておきたかったところだ。
「島に戻ってしまえばもう追っ手を気にする必要もない」
翌日、翌々日に人を分け、ケイたちは島へと戻って来た。
帰りは休憩日を入れずに戻るので、ケイたち転移魔法を使う者には結構負担がかかり、島に着くとかなりの疲労感が襲ってきた。
「ケイ殿、島の探検でもしにいこうか?」
「……すいませんが、疲労がきついので、今日はお相手するのには無理です」
久々のアンヘル島に、リカルドは浮かれ気味だ。
以前あげた釣竿も、こんなこともあろうかと持ってきていたらしい。
随分用意周到だが、ケイは疲労で動きたくない。
なので、ケイは丁重に断りの返事をした。
「失礼!」
「おぉ、美花殿」
ケイとリカルドが話し合っていると、ケイの妻の美花が2人の下へ戻って来たのだった
今回の作戦に不参加の状態の美花に、何か用事だろうかと考えていた。
「アレシア様から、仕事があるのでリカルド様たちはすぐに戻してほしいと言われております」
「えっ?」
寝耳に水だ。
久々にアンヘル島で遊ぶ予定が、一気に崩れ落ちて行ったのだった。
「申し訳ありませんが、送らさせていただきます」
「そんな……」
「さすが母上……」「準備がいい……」
どうやらリカルドの行動を読んでいたのかもしれない。
今回の作戦に関わるのも少し否定的だったアレシアだが、さすがに1日くらいは勘弁してほしかった。
そのがっかりを感じながらリカルドとエリアスとファウストは王妃アレシアの意見に従い、がっかりしながら帰っていった。
「レイ! ちょっといいか?」
「んっ? 何だい?」
作戦から数日後、ケイたちはまた平和の生活が戻って来た。
島に乗り込んで来た敵のせいで、畑は潰されて食料の問題はある。
しかし、ケイがカンタルボスの国で購入してくるという最終手段があるため、食料問題はどうにでもなる。
それは一先ず置いておいて、ケイはレイナルドに声をかける。
「これからリシケサに向かおうと思う。転移魔法でちょっと送ってほしいんだ」
「えっ!? 何でまた?」
王と王城内の兵たちを殺しただけでは、エルフが脅威だと思わせるのは難しいだろう。
しかし、それはいいとして、ケイは思っていた事がある
「サンダリオを仕留めそこなったのが気に入らなくてな、ちょっとやってみたい事があるんだ」
それはサンダリオの処刑である。
かと言ってまたリカルドやカンタルボスの兵を使う訳にはいかない。
ケイとレイナルドだけでは、どうにもできないのではないだろう。
しかし、ケイには考えがある。
その考えを、レイナルドに説明した。
「……なるほど、それならこっちが何もしなくてもリシケサ口内は大混乱だね」
ケイの考えを聞いたレイナルドは、その作戦に乗っかることに開いたのだった。
「じゃあ、ちょっと行って来るか」
「あぁ……」
まるで近所に散歩にでも出かけるように、ケイとレイナルドは数日振りにリシケサへと転移していったのだった。
玉座の前をうろつくサンダリオ。
エルフと獣人による王都襲撃から数日、この出来事は王都内だけでなくリシケサ王国内に広まりつつある。
同盟関係にある南のパテル王国はともかく、北と東にある国にこの事が広まるのは時間の問題だ。
しかし、それはどうしようもないことなので気にしてはいないが、それよりもまんまと逃げられたとしたら、その方が問題だ。
奴らが消えた方法が分からないが、逃げる方法があるというのであれば、また同じように強襲をしかけてくる可能性があるということだ。
「奴らはどうやって消えたというのだ!?」
「申し訳ありません。いまだ解明されておりません」
目の前で報告をおこなっているセブリアンに対し、サンダリオはどうしても語気が荒くなってしまう。
事件以降、兵たちは昼夜問わずエルフと獣人の行方と、使った逃走経路を捜索している。
だが、何の手掛かりも見つけられず、セブリアンは頭を下げることしかできないでいる。
「捜索範囲を、城内から王都中へと移行しております。ですが、いまだ怪しい集団の発見はされておりません」
「クソッ! 何が起きたというんだ!? 全員姿がなくなるなんてありえないだろ!!」
消えた方法も、あれだけの数の人間がどこに行ったのかということも分からない。
折角王になったというのに、これでは心配で夜も眠れない。
サンダリオは玉座に座り、何も分からないことにイラ立つことしかできなかった。
「予定通りに行きましたな?」
「そうですね」
少し時間は戻り、ベルトランの暗殺に成功したケイとリカルドたちは、リシケサ王国の王都から三日ほどの距離にある森の中に作った地下室で、体を休めつつ話をしていた。
話の通り、王城を取り囲まれて、どこからも逃げ出せなくなったケイたちが転移魔法で脱出する。
ケイたちを殲滅しようと城内に入った時には、もうそこはもぬけの殻。
これで明日、明後日と、人数を分けてアンヘル島に帰れば作戦終了となる。
「できれば、我々がいなくなって慌てふためいているリシケサの奴らの顔を見たかったですな」
「ハハハ……、それもそうですな」
ケイの言う通り、離れた場所に転移してしまっては、敵の驚く顔を見ることができない。
さも、みっともない顔をしている所だろう。
城に入った者たちのみっともない姿を想像し、リカルドは笑いが込み上げてきた。
「しかし……、サンダリオに逃げられたのは失敗しでしたな……」
リカルドの言う通り、今回の作戦の1番の目標は、ベルトランとサンダリオの殺害が目当てだ。
しかし、大がかりな作戦に失敗はつきものとは言っても、そのサンダリオに逃げられたのは残念だった。
「調査の期間が短かったことを考えれば、仕方がないのでは?」
リカルドの言いたいことも分かるが、ケイが言ったように調査期間が短かった。
その短い時間で、城の間取りなどの情報を集めた諜報員のハコボたちは、よくやったと思う。
「うむ……、そうですな」
リカルドも、短い期間ながらにかなりの情報を得てきたハコボたちを認めている。
しかし、それでも失敗は失敗。
やっぱり、成功させておきたかったところだ。
「島に戻ってしまえばもう追っ手を気にする必要もない」
翌日、翌々日に人を分け、ケイたちは島へと戻って来た。
帰りは休憩日を入れずに戻るので、ケイたち転移魔法を使う者には結構負担がかかり、島に着くとかなりの疲労感が襲ってきた。
「ケイ殿、島の探検でもしにいこうか?」
「……すいませんが、疲労がきついので、今日はお相手するのには無理です」
久々のアンヘル島に、リカルドは浮かれ気味だ。
以前あげた釣竿も、こんなこともあろうかと持ってきていたらしい。
随分用意周到だが、ケイは疲労で動きたくない。
なので、ケイは丁重に断りの返事をした。
「失礼!」
「おぉ、美花殿」
ケイとリカルドが話し合っていると、ケイの妻の美花が2人の下へ戻って来たのだった
今回の作戦に不参加の状態の美花に、何か用事だろうかと考えていた。
「アレシア様から、仕事があるのでリカルド様たちはすぐに戻してほしいと言われております」
「えっ?」
寝耳に水だ。
久々にアンヘル島で遊ぶ予定が、一気に崩れ落ちて行ったのだった。
「申し訳ありませんが、送らさせていただきます」
「そんな……」
「さすが母上……」「準備がいい……」
どうやらリカルドの行動を読んでいたのかもしれない。
今回の作戦に関わるのも少し否定的だったアレシアだが、さすがに1日くらいは勘弁してほしかった。
そのがっかりを感じながらリカルドとエリアスとファウストは王妃アレシアの意見に従い、がっかりしながら帰っていった。
「レイ! ちょっといいか?」
「んっ? 何だい?」
作戦から数日後、ケイたちはまた平和の生活が戻って来た。
島に乗り込んで来た敵のせいで、畑は潰されて食料の問題はある。
しかし、ケイがカンタルボスの国で購入してくるという最終手段があるため、食料問題はどうにでもなる。
それは一先ず置いておいて、ケイはレイナルドに声をかける。
「これからリシケサに向かおうと思う。転移魔法でちょっと送ってほしいんだ」
「えっ!? 何でまた?」
王と王城内の兵たちを殺しただけでは、エルフが脅威だと思わせるのは難しいだろう。
しかし、それはいいとして、ケイは思っていた事がある
「サンダリオを仕留めそこなったのが気に入らなくてな、ちょっとやってみたい事があるんだ」
それはサンダリオの処刑である。
かと言ってまたリカルドやカンタルボスの兵を使う訳にはいかない。
ケイとレイナルドだけでは、どうにもできないのではないだろう。
しかし、ケイには考えがある。
その考えを、レイナルドに説明した。
「……なるほど、それならこっちが何もしなくてもリシケサ口内は大混乱だね」
ケイの考えを聞いたレイナルドは、その作戦に乗っかることに開いたのだった。
「じゃあ、ちょっと行って来るか」
「あぁ……」
まるで近所に散歩にでも出かけるように、ケイとレイナルドは数日振りにリシケサへと転移していったのだった。
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