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第3章
第52話
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ルイスの指導によってできた豆乳チーズは、みんなに好評だ。
一番喜んでいるのはケイだ。
「今日はカルボナーラだ」
「わ~、美味しい!」
前世でもそうだったが、ケイは麺類が結構好きだ。
なので、パスタは昔からよく作っている。
といっても、小麦粉がないので米粉で代用している。
米粉麺のうどんも作るのだが、醤油の代わりに魚醤を使っているのと、酒とみりんがないので、ケイとしてはちょっとしっくり来ていない。
ただ、美花はまあまあ気に入っているようだ。
ケイが作るのは、テレビで見て作ってみたら気に入った本場式のカルボナーラだ。
牛乳、生クリームを入れるのは、アメリカから伝わったレシピで、言い換えればアメリカ式といったところだろうか。
牛乳や生クリームの代わりに豆乳を入れる場合があるが、これは日本式だろう。
本来それらを入れないのが本場のカルボナーラだ。
ルイスがチーズ作りを始めて大して立っていないため、まだカッテージチーズしかないが、本当ならカッテージチーズのようなフレッシュチーズよりハードタイプのチーズ方が良い気がするが、無い物ねだりはできないので我慢するしかない。
そしてできたカルボナーラは、好評だった。
特に子供たちが気に入っているようで、レイナルドはお替りしていた。
喜んでもらえ、ケイとしても作った甲斐があった。
パスタで思い出したが、よく女性がスプーンを使って巻いているが、マナー的に言うと駄目らしい。
スプーンを使うのはちゃんと巻くことができない子供がやること、日本で言うなら箸をちゃんと持てないのと同じだそうだ。
当然だが、うどんやラーメンのようにすすって食べるのは駄目。
ついでに言うと、ちゃんとしたイタリアンレストランで、ナイフとフォークがある場合、ピザを手で食べるのもマナーとして宜しくない。
ナイフとフォークで食べるのが正式だそうだ。
「ケイさん。チーズを分けていただけますか?」
「もちろんいいよ」
チーズ料理にハマったケイは、頻繁にカッテージチーズを作っている。
ルイスはハードタイプのチーズを作ることを試しているようだ。
そのため、頼むより作った方が早いと思い、自分で作っている。
その作業中、アレシアが話しかけてきた。
多めに作ったので、分けるくらい全然構わない。
なので、ケイはアレシアに必要な分だけ渡した。
「もしかしてパンに使うのか?」
「はい」
以前パン作りをした時、アレシアは納得いった味にならなかったのが引っかかったままだったらしく、最近はアレシアに任せている。
生地の練り方など、ケイは細かいことなど気にせず作ったのが悪かったのか、アレシアの造ったパンの方が味が良かった。
最近、朝食はパンになる日が増えている。
それはともかく、パンにチーズなんて素晴らしい考えだ。
どんなものができるのか、今から楽しみで仕方がない。
成人したての獣人のイバンとリリアナだが、彼らの家は元々村では農家をしていたらしい。
そのため、農作業を中心に行ってもらっているのだが、耕すのはケイの魔法であっという間に終わってしまうので、作物の手入れをしてもらうのが基本となっている。
ただ、今は冬なので農作業の仕事がない。
そのため時間があるからか、イバンはルイスのチーズ作り、リリアナはアレシアのパン作りの手伝いをいているのを見る機会が多い。
美花はケイやルイスがチーズを作るのに必要なので、豆乳を作る仕事が増えた。
レイナルドとセレナには、カルロスの遊び相手をしてもらっている。
冬はやることがなく暇になることが多いので、みんな何もすることないよりは何か作っている方が気分的に楽なのかもしれない。
チーズができるようになったからか、豆の消費が増えた。
そのため、来年からはもっと畑を広げるの必要がありそうだ。
みんな働き者が多いようだが、ダンジョンへ行くのも好きなようだ。
男女関係なく日々訓練をしている。
身体能力だけで強力な戦闘力を誇る獣人族のみんなだが、別に魔力が無いわけではない。
人族に比べれば少ないが、この魔力を使わない戦い方はどうなのだろうとケイは思った。
生身でもちょっとやそっとでは大怪我しないのだから、魔力を使って攻撃力を上げるのも手ではないだろうか。
そう思って、ルイスに試してもらった所、
“ドゴンッ!!”
かなり太い機が拳一つでへし折れた。
元々生身でも強力な攻撃力ではあるが、もう1ランク強力になったようだ。
軽い気持ちで言ったのに、どうやら正解だったようだ。
「……魔力のコントロールを練習してみたら?」
「……そうですね」
ルイスもこんな方法があるとは思ってもいなかったので、驚きの方が強かった。
確かに攻撃力が上がったのは良かったが、ルイスは樹を殴った手を痛めていた。
魔力のコントロールが不十分だったせいか、魔力を込めすぎて反動が来たのだろう。
回復薬ですぐ治ったので良かったが、どうやら練習が必要そうだ。
他の獣人のみんなもルイスの一撃を見ていたので、自分たちにも教えてほしいと言ってきた。
魔力のコントロールは美花もできるので、女性は美花が、男性はケイが教えることになった。
コントロールができるようになったら、今のダンジョンでは物足りなくなってしまうのではないかと、ケイは今から心配している。
一番喜んでいるのはケイだ。
「今日はカルボナーラだ」
「わ~、美味しい!」
前世でもそうだったが、ケイは麺類が結構好きだ。
なので、パスタは昔からよく作っている。
といっても、小麦粉がないので米粉で代用している。
米粉麺のうどんも作るのだが、醤油の代わりに魚醤を使っているのと、酒とみりんがないので、ケイとしてはちょっとしっくり来ていない。
ただ、美花はまあまあ気に入っているようだ。
ケイが作るのは、テレビで見て作ってみたら気に入った本場式のカルボナーラだ。
牛乳、生クリームを入れるのは、アメリカから伝わったレシピで、言い換えればアメリカ式といったところだろうか。
牛乳や生クリームの代わりに豆乳を入れる場合があるが、これは日本式だろう。
本来それらを入れないのが本場のカルボナーラだ。
ルイスがチーズ作りを始めて大して立っていないため、まだカッテージチーズしかないが、本当ならカッテージチーズのようなフレッシュチーズよりハードタイプのチーズ方が良い気がするが、無い物ねだりはできないので我慢するしかない。
そしてできたカルボナーラは、好評だった。
特に子供たちが気に入っているようで、レイナルドはお替りしていた。
喜んでもらえ、ケイとしても作った甲斐があった。
パスタで思い出したが、よく女性がスプーンを使って巻いているが、マナー的に言うと駄目らしい。
スプーンを使うのはちゃんと巻くことができない子供がやること、日本で言うなら箸をちゃんと持てないのと同じだそうだ。
当然だが、うどんやラーメンのようにすすって食べるのは駄目。
ついでに言うと、ちゃんとしたイタリアンレストランで、ナイフとフォークがある場合、ピザを手で食べるのもマナーとして宜しくない。
ナイフとフォークで食べるのが正式だそうだ。
「ケイさん。チーズを分けていただけますか?」
「もちろんいいよ」
チーズ料理にハマったケイは、頻繁にカッテージチーズを作っている。
ルイスはハードタイプのチーズを作ることを試しているようだ。
そのため、頼むより作った方が早いと思い、自分で作っている。
その作業中、アレシアが話しかけてきた。
多めに作ったので、分けるくらい全然構わない。
なので、ケイはアレシアに必要な分だけ渡した。
「もしかしてパンに使うのか?」
「はい」
以前パン作りをした時、アレシアは納得いった味にならなかったのが引っかかったままだったらしく、最近はアレシアに任せている。
生地の練り方など、ケイは細かいことなど気にせず作ったのが悪かったのか、アレシアの造ったパンの方が味が良かった。
最近、朝食はパンになる日が増えている。
それはともかく、パンにチーズなんて素晴らしい考えだ。
どんなものができるのか、今から楽しみで仕方がない。
成人したての獣人のイバンとリリアナだが、彼らの家は元々村では農家をしていたらしい。
そのため、農作業を中心に行ってもらっているのだが、耕すのはケイの魔法であっという間に終わってしまうので、作物の手入れをしてもらうのが基本となっている。
ただ、今は冬なので農作業の仕事がない。
そのため時間があるからか、イバンはルイスのチーズ作り、リリアナはアレシアのパン作りの手伝いをいているのを見る機会が多い。
美花はケイやルイスがチーズを作るのに必要なので、豆乳を作る仕事が増えた。
レイナルドとセレナには、カルロスの遊び相手をしてもらっている。
冬はやることがなく暇になることが多いので、みんな何もすることないよりは何か作っている方が気分的に楽なのかもしれない。
チーズができるようになったからか、豆の消費が増えた。
そのため、来年からはもっと畑を広げるの必要がありそうだ。
みんな働き者が多いようだが、ダンジョンへ行くのも好きなようだ。
男女関係なく日々訓練をしている。
身体能力だけで強力な戦闘力を誇る獣人族のみんなだが、別に魔力が無いわけではない。
人族に比べれば少ないが、この魔力を使わない戦い方はどうなのだろうとケイは思った。
生身でもちょっとやそっとでは大怪我しないのだから、魔力を使って攻撃力を上げるのも手ではないだろうか。
そう思って、ルイスに試してもらった所、
“ドゴンッ!!”
かなり太い機が拳一つでへし折れた。
元々生身でも強力な攻撃力ではあるが、もう1ランク強力になったようだ。
軽い気持ちで言ったのに、どうやら正解だったようだ。
「……魔力のコントロールを練習してみたら?」
「……そうですね」
ルイスもこんな方法があるとは思ってもいなかったので、驚きの方が強かった。
確かに攻撃力が上がったのは良かったが、ルイスは樹を殴った手を痛めていた。
魔力のコントロールが不十分だったせいか、魔力を込めすぎて反動が来たのだろう。
回復薬ですぐ治ったので良かったが、どうやら練習が必要そうだ。
他の獣人のみんなもルイスの一撃を見ていたので、自分たちにも教えてほしいと言ってきた。
魔力のコントロールは美花もできるので、女性は美花が、男性はケイが教えることになった。
コントロールができるようになったら、今のダンジョンでは物足りなくなってしまうのではないかと、ケイは今から心配している。
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