89 / 179
第4章
第89話 刀狩り
しおりを挟む
「敷島の人間といっても、菱山家は雑魚の集まりなようだな……」
帝国の鎧を着た限は、警戒してかかってくる者がいなくなったため、近くにいる若い敷島兵を挑発する言葉を投げかける。
何故その兵を挑発したのかと言うと、敷島にいた子供の頃、何度か見たことある顔だったからだ。
たいした関わりがあった訳ではないが、短気だという薄っすらとした記憶から、ターゲットにしたのだ。
「なっ!! 帝国の兵ごときが調子に乗るな!!」
「ま、待てっ!!」
限の記憶は正しかったらしく、挑発を受けた兵は仲間の制止を無視して襲いかかってきた。
その浅はかな思考回路に、限は内心でほくそ笑んだ。
「死ねーー!!」
「お前そんなんでよく島の外に出れたな?」
「なっ!!」
接近と共に上段から刀を振り下ろしてくる敷島兵。
移動と攻撃の速度はたしかに速いが、限には通用しない。
振り下ろされた刀は、あっさりと限の横を通り抜けた。
大振りをして隙だらけになった若い敷島兵に、限は純粋な疑問を問いかける。
当の本人は、あっさりと躱されことに驚きの声を上げた。
「シッ!!」
「がっ!?」
攻撃後の隙だらけの状態を逃す訳もなく、限は抜刀と共に若い敷島兵の首を斬り裂いた。
頸動脈を斬られた若い敷島兵は、崩れるようにしてその場に倒れ伏した。
「よしっと」
襲い掛かってきた相手を斬り殺した限は、先程倒した敷島兵の時と同じように、落とした刀を拾い上げ、魔法の指輪の中に収納した。
「馬鹿が!」
挑発に乗った上にあっさりと殺され、先ほど制止の言葉をかけた敷島の兵は、眉間に皺を寄せつつ呟いた。
相手の帝国兵は、敷島の中でも上位に位置する実力者でないと一騎打ちで勝てるような相手ではないことは、動きを見れば分かるはずだ。
それなのに、感情に任せて斬りかかるなど愚の骨頂。
自分から死にに行ったも同然だ。
「分かっているな? 1人で突っ込めば、あいつのようになるぞ」
「了解!」
自分たちを囲んでいた帝国兵を始末し、ひとまず手の空いた敷島兵たちは集まる。
そして、敷島の兵たちをものともしないような実力を目の当たりにしたことで、集団での戦闘を決意した。
先程殺された若い敷島兵の例を反面教師にし、打ち合わせを始めた。
「行くぞ!!」
「「「「「おうっ!!」」」」」
「んっ? やっと来る気になったか?」
打ち合わせを済ませた敷島兵たちが、限へと構えをとったのを、限はわざと見逃していた。
彼らがどう攻めてくるのか、そして、彼らを相手に自分がどれだけ戦えるのか気になっていたからだ。
ようやく敷島の兵たちが本気になった顔を見て、限は腰を落としていつでも対応できる体制で待ち構えた。
「「ハーッ!!」」
6人が同時に動き出し、前を走る2人が限の正面へと迫る。
「ハッ!!」
「セイッ!!」
「ムッ!!」
カウンターによる攻撃をさせないためか、2人は僅かにタイミングをずらして斬りかかってくる。
これまで相手にした連中よりも刀の振りが鋭いところを見る限り、どうやら実力が上なようだ。
上段からの振り下ろしと刺突を放つ2人の攻撃を、限はバックステップをして躱した。
「ハーッ!!」「だりゃ!!」
「おっと!」
攻撃を躱した限を待っていたかのように、2人が左右から斬りかかってくる。
着地を狙ったような攻撃で、2人共胴を斬り裂くように刀を振ってきた。
前後から迫る刀に、限は跳び上がることで攻撃を回避した。
「もらった!!」「死ねっ!!」
彼らの狙いは、限を跳び上がらせる事だったらしい。
残った2人が、魔法による風の刃を空中にいる限へ放ってきた。
「フッ!」
「「なっ!?」」
迫る風の刃に対し、限は笑みを浮かべて回避する。
魔力の板を空中に作り、それを足場にして空中で方向転換したのだ。
空中では対応できないとでも思っていたのだろうか。
魔法を放った2人は、限が攻撃を回避したことに驚きの声を上げだ。
「魔力を足場にするなんて、当たり前のことだろ?」
「くっ!!」
6人の連続攻撃を躱して地峡に降りた限は、驚いている彼らに話しかける。
たしかに、空中で方向転換するのは難しい技術ではある。
戦闘中の流れで咄嗟に使うには、魔力のコントロールがしっかりできていないと、失敗する可能性がある。
昔は魔力がなかったため限は使えなかったが、敷島の者なら子供の時に空中移動の指導を受けているはずだ。
実際のところ、限は敷島の人間なのだが、他国の人間でこの技術を使用する人間がいたとしても不思議ではないはずだ。
「さて、今度はこっちから攻めさせてもらおう」
「舐めるなよ!!」
わざわざ攻撃を仕掛けるということを告げ、限はゆっくりと歩を進め始める。
小さい頃から暗殺術を仕込まれている自分たちに対し、ゆっくりと正面から迫ってくるなんて冗談でしかない。
しかし、彼らは先程殺した若い敷島兵とは違い、警戒をしつつ刀を構えた。
“フッ!!”
「っっっ!!」
一番近くにいた敷島兵に近付く限。
間合いの中に入るまであと少しという所で、突如姿を消す。
「……えっ?」
姿が消えたことに驚いていると、限が横に立っていることに気付く。
そのため、そちらに首を振ろうとしたが、その敷島兵は出来なかった。
何故か首のない体が目に映る。
それが自分の体だと気付いた時には、一瞬にして意識が無くなっていった。
「速……!!」
「違うな。お前たちが遅いんだ!」
「がっ!!」
消えたと思ったら、いつの間にか1人が斬られていた。
そのことに驚く間も与えないとばかりに、限は次の標的に近付き、そのまま胴を斬り裂いた。
斬られた敷島兵は、大量の出血をして前のめりに崩れた。
「このっ!!」
「おぉ!」
仲間があっさりと殺されても、残った敷島兵たちは恐怖で動けなくなることない。
2人の死を無駄にするわけにはいかないと、1人の敷島兵が斬り終わった限へ刀を振る。
その切り替えの良さに感心しながら、限はその攻撃を刀で防いだ。
そうするのを期待していたのか、攻撃を防がれた敷島兵は、そのまま鍔迫り合いの状態に持ち込んだ。
「チャンス!!」「ハーッ!!」「くたばれ!!」
仲間が限の刀を抑えた。
それを見て、残りの3人が一斉に限へと斬りかかる。
「甘いな……」
“パンッ!!”“パンッ!!”“パンッ!!”
「うっ!!」「がっ!!」「ごっ!!」
迫り来る3人に対し、限は小さく呟く。
そして、空いている左手を、銃のような形にして順番に3人に向ける。
たったそれだけで、迫り来る3人の脳天には風穴があいた。
「……えっ? えっ?」
鍔迫り合いの状態になっている敷島兵は、一瞬で仲間が殺られたことに驚きを隠せない。
限が何をしたのか分からなかったからだ。
「魔力の弾丸を飛ばしただけだ」
「がっ!!」
驚いている敷島兵に、限は種明かしをしてやる。
そして、それが言い終わると共に彼にも左手を向けて魔力弾を放ち、心臓を撃ち抜いた。
「大量、大量! ハハッ、なんか刀狩りしてるみたいだな……」
6人を難なく殺した限は、死体となった彼らから戦利品として刀を奪う。
そうしている姿を客観的に考えると、刀狩りをしているかのように思えて、思わず笑えたのだった。
帝国の鎧を着た限は、警戒してかかってくる者がいなくなったため、近くにいる若い敷島兵を挑発する言葉を投げかける。
何故その兵を挑発したのかと言うと、敷島にいた子供の頃、何度か見たことある顔だったからだ。
たいした関わりがあった訳ではないが、短気だという薄っすらとした記憶から、ターゲットにしたのだ。
「なっ!! 帝国の兵ごときが調子に乗るな!!」
「ま、待てっ!!」
限の記憶は正しかったらしく、挑発を受けた兵は仲間の制止を無視して襲いかかってきた。
その浅はかな思考回路に、限は内心でほくそ笑んだ。
「死ねーー!!」
「お前そんなんでよく島の外に出れたな?」
「なっ!!」
接近と共に上段から刀を振り下ろしてくる敷島兵。
移動と攻撃の速度はたしかに速いが、限には通用しない。
振り下ろされた刀は、あっさりと限の横を通り抜けた。
大振りをして隙だらけになった若い敷島兵に、限は純粋な疑問を問いかける。
当の本人は、あっさりと躱されことに驚きの声を上げた。
「シッ!!」
「がっ!?」
攻撃後の隙だらけの状態を逃す訳もなく、限は抜刀と共に若い敷島兵の首を斬り裂いた。
頸動脈を斬られた若い敷島兵は、崩れるようにしてその場に倒れ伏した。
「よしっと」
襲い掛かってきた相手を斬り殺した限は、先程倒した敷島兵の時と同じように、落とした刀を拾い上げ、魔法の指輪の中に収納した。
「馬鹿が!」
挑発に乗った上にあっさりと殺され、先ほど制止の言葉をかけた敷島の兵は、眉間に皺を寄せつつ呟いた。
相手の帝国兵は、敷島の中でも上位に位置する実力者でないと一騎打ちで勝てるような相手ではないことは、動きを見れば分かるはずだ。
それなのに、感情に任せて斬りかかるなど愚の骨頂。
自分から死にに行ったも同然だ。
「分かっているな? 1人で突っ込めば、あいつのようになるぞ」
「了解!」
自分たちを囲んでいた帝国兵を始末し、ひとまず手の空いた敷島兵たちは集まる。
そして、敷島の兵たちをものともしないような実力を目の当たりにしたことで、集団での戦闘を決意した。
先程殺された若い敷島兵の例を反面教師にし、打ち合わせを始めた。
「行くぞ!!」
「「「「「おうっ!!」」」」」
「んっ? やっと来る気になったか?」
打ち合わせを済ませた敷島兵たちが、限へと構えをとったのを、限はわざと見逃していた。
彼らがどう攻めてくるのか、そして、彼らを相手に自分がどれだけ戦えるのか気になっていたからだ。
ようやく敷島の兵たちが本気になった顔を見て、限は腰を落としていつでも対応できる体制で待ち構えた。
「「ハーッ!!」」
6人が同時に動き出し、前を走る2人が限の正面へと迫る。
「ハッ!!」
「セイッ!!」
「ムッ!!」
カウンターによる攻撃をさせないためか、2人は僅かにタイミングをずらして斬りかかってくる。
これまで相手にした連中よりも刀の振りが鋭いところを見る限り、どうやら実力が上なようだ。
上段からの振り下ろしと刺突を放つ2人の攻撃を、限はバックステップをして躱した。
「ハーッ!!」「だりゃ!!」
「おっと!」
攻撃を躱した限を待っていたかのように、2人が左右から斬りかかってくる。
着地を狙ったような攻撃で、2人共胴を斬り裂くように刀を振ってきた。
前後から迫る刀に、限は跳び上がることで攻撃を回避した。
「もらった!!」「死ねっ!!」
彼らの狙いは、限を跳び上がらせる事だったらしい。
残った2人が、魔法による風の刃を空中にいる限へ放ってきた。
「フッ!」
「「なっ!?」」
迫る風の刃に対し、限は笑みを浮かべて回避する。
魔力の板を空中に作り、それを足場にして空中で方向転換したのだ。
空中では対応できないとでも思っていたのだろうか。
魔法を放った2人は、限が攻撃を回避したことに驚きの声を上げだ。
「魔力を足場にするなんて、当たり前のことだろ?」
「くっ!!」
6人の連続攻撃を躱して地峡に降りた限は、驚いている彼らに話しかける。
たしかに、空中で方向転換するのは難しい技術ではある。
戦闘中の流れで咄嗟に使うには、魔力のコントロールがしっかりできていないと、失敗する可能性がある。
昔は魔力がなかったため限は使えなかったが、敷島の者なら子供の時に空中移動の指導を受けているはずだ。
実際のところ、限は敷島の人間なのだが、他国の人間でこの技術を使用する人間がいたとしても不思議ではないはずだ。
「さて、今度はこっちから攻めさせてもらおう」
「舐めるなよ!!」
わざわざ攻撃を仕掛けるということを告げ、限はゆっくりと歩を進め始める。
小さい頃から暗殺術を仕込まれている自分たちに対し、ゆっくりと正面から迫ってくるなんて冗談でしかない。
しかし、彼らは先程殺した若い敷島兵とは違い、警戒をしつつ刀を構えた。
“フッ!!”
「っっっ!!」
一番近くにいた敷島兵に近付く限。
間合いの中に入るまであと少しという所で、突如姿を消す。
「……えっ?」
姿が消えたことに驚いていると、限が横に立っていることに気付く。
そのため、そちらに首を振ろうとしたが、その敷島兵は出来なかった。
何故か首のない体が目に映る。
それが自分の体だと気付いた時には、一瞬にして意識が無くなっていった。
「速……!!」
「違うな。お前たちが遅いんだ!」
「がっ!!」
消えたと思ったら、いつの間にか1人が斬られていた。
そのことに驚く間も与えないとばかりに、限は次の標的に近付き、そのまま胴を斬り裂いた。
斬られた敷島兵は、大量の出血をして前のめりに崩れた。
「このっ!!」
「おぉ!」
仲間があっさりと殺されても、残った敷島兵たちは恐怖で動けなくなることない。
2人の死を無駄にするわけにはいかないと、1人の敷島兵が斬り終わった限へ刀を振る。
その切り替えの良さに感心しながら、限はその攻撃を刀で防いだ。
そうするのを期待していたのか、攻撃を防がれた敷島兵は、そのまま鍔迫り合いの状態に持ち込んだ。
「チャンス!!」「ハーッ!!」「くたばれ!!」
仲間が限の刀を抑えた。
それを見て、残りの3人が一斉に限へと斬りかかる。
「甘いな……」
“パンッ!!”“パンッ!!”“パンッ!!”
「うっ!!」「がっ!!」「ごっ!!」
迫り来る3人に対し、限は小さく呟く。
そして、空いている左手を、銃のような形にして順番に3人に向ける。
たったそれだけで、迫り来る3人の脳天には風穴があいた。
「……えっ? えっ?」
鍔迫り合いの状態になっている敷島兵は、一瞬で仲間が殺られたことに驚きを隠せない。
限が何をしたのか分からなかったからだ。
「魔力の弾丸を飛ばしただけだ」
「がっ!!」
驚いている敷島兵に、限は種明かしをしてやる。
そして、それが言い終わると共に彼にも左手を向けて魔力弾を放ち、心臓を撃ち抜いた。
「大量、大量! ハハッ、なんか刀狩りしてるみたいだな……」
6人を難なく殺した限は、死体となった彼らから戦利品として刀を奪う。
そうしている姿を客観的に考えると、刀狩りをしているかのように思えて、思わず笑えたのだった。
10
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

転生して捨てられたけど日々是好日だね。【二章・完】
ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
おなじみ異世界に転生した主人公の物語。
転生はデフォです。
でもなぜか神様に見込まれて魔法とか魔力とか失ってしまったリウ君の物語。
リウ君は幼児ですが魔力がないので馬鹿にされます。でも周りの大人たちにもいい人はいて、愛されて成長していきます。
しかしリウ君の暮らす村の近くには『タタリ』という恐ろしいものを封じた祠があたのです。
この話は第一部ということでそこまでは完結しています。
第一部ではリウ君は自力で成長し、戦う力を得ます。
そして…
リウ君のかっこいい活躍を見てください。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話7話。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる