復讐、報復、意趣返し……とにかくあいつらぶっ殺す!!

ポリ 外丸

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第3章

第66話 復讐開始

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「っ!?」「なっ!!」

“ドッ!! バキッ!!”

 限の予想通り、転移の魔道具を使うと、領主邸の地下にある研究施設の一室に転移で来た。
 転移した途端、その場にいた領兵らしき2人が限に武器を構えた。
 どうやら、転移の魔道具を勝手に使用する者がいないか確認する役割の者たちようだ。
 あちらの転移魔道具の方にもいたため、この可能性を予想していた限はすぐさま動き、大きな声を出すより速く2人を昏倒させた。

「………………」

 限が兵を倒してから少しして、レラたちが転移してきた。
 それを確認することなく、限は目を瞑って集中した。

「どうですか?」

「……居た。数人確認した」

 限が目を見開いたのを確認して、レラが問いかける。
 その問いに、限は笑みを浮かべて返答した。
 限がおこなっていたのは、この施設にいるのが本当に自分を人体実験した研究員かを確認するためだ。
 領主邸の地下に研究施設があったことは確認できたが、その施設の中にいる者が復讐対象かは完全には確認できていなかった。
 その確認のために、この部屋の外にいる者たちを探知して見た。
 そして、限がアデマス王国の研究施設にいた時に、見た記憶のある研究員が数人いることが確認できた。

「これがこの施設のマップだ」

「ありがとうございます」

 見覚えのある研究員の捜索のついでに、限はこの地下施設のマップを確認していた。
 探知によって得た情報からをそのまま紙に地図を描き、各々の部屋の説明を簡単に記し、その紙をレラへと渡した。

「……ここから2手に分かれるが、出来る限り迅速にことを済ませて脱出するように」

「分かりました」

 限はアルバと共に自分を人体実験した研究員たちを始末しに、レラはニールと共にこの施設にある研究資料全てを消滅させるために2手に分かれる。
 転移前に交わしていた作戦を再確認し、限たちは行動を開始することにした。

「行くぞ! 皆殺しだ!」

「はい!」

 この部屋の外には、復讐対象の研究員たちがいる。
 その者たちを始末できると思うと、自然と笑みが浮かんできた。
 腰に差した刀の鞘に手をかけ、限はこの部屋のドアノブを開けた。

「……?」「何だ?」

 扉が勢いよく開くと、廊下にいた白衣を着た人間がすぐに限に気付く。
 しかし、戦闘に無縁の研究員だからか、警戒心が薄く、すぐに侵入者だということに気付かない。
 そのため、

「かっ!?」「ふへっ!?」

 限がもう抜刀して首を斬ったことにも気づいておらず、反応した頃にはおかしな声と共に2人の頭部が床に転がり、頭部を失った肉体はそのまま崩れ落ちた。
 大量の血が噴き出し、あっという間に床が血の海へと変わる。
 それを確認することなく、俊輔は次の獲物へと移動を開始した。

「……では!」

「あぁ」

 扉を出て廊下を少し歩くと、丁字路に突き当たる。
 そこでレラは限へ声をかける。
 予定通り、ここからは別行動だ。
 返事をした限は左へ、レラは右へと移動していった。

「な……」

 次に見つけた研究員の心臓を、限は抜いた刀で突きさし仕留める。
 その研究員はある意味幸せなのかもしれない。
 ほとんど痛みを感じることなく、この世を去ることができたのだから。
 そして、限はある部屋の前に立ち、扉を開いた。

「っ!?」「何だ!?」

 そこには7人くらいの研究員が集まっており、何やら薬品を扱っていた。
 急に入ってきた限に、彼らはみんな手を止めて様子を窺う。

「な、何だ君は?」

「………………」

 部屋の中で、一番近くにいた男が現に話しかける。
 しかし、限は僅かに笑みを浮かべたまま何の言葉も返さない

「……ヒッ!!」

 答えを返さない現に訝しんでいると、その研究員は限が持つ刀に気が付く。
 その刀にはベッタリと血が付いており、床に滴り落ちえいた。
 何の血か分からないが、それを見た研究員は短く悲鳴を上げた。

「ぎゃあ!!」「たすっ……!!」「ぐえっ!!」

 部屋の中から多様な悲鳴が響き渡る。
 外からは分からないが、限が7人を血祭りにあげることによるものだ。

「……おいっ! 何か変な声が聞こえなかったか?」

「えっ? 聞こえなかったけど……」

「俺も……」

 限が7人の研究員を仕留めている部屋から少し離れた場所にある部屋で、5人の研究員が魔物の解剖をおこなっていた。
 そのなかで、出入り口となる扉に近かった男が反応した。
 外から何か人の声が聞こえたような気がしたからだ。
 しかし、他の人間は外の声なんて気付かず、すぐにまた作業を開始した。

「……気のせいか?」 
 
 この部屋の扉は、解剖用の魔物が暴れて逃げ出さないように扉が厚くなっている。
 そのため、外からの声は余程大声でない限り聞こえることはない。
 この施設に残っている者で、そんな大声出すようなことなんてなかなかない。
 大声を出すとすれば、むしろここにいる自分たちが解剖用の魔物に暴れられた時ぐらいだろう。
 しかし、その魔物も、もう内臓を取り出されて死んでいる状態だ。
 そのため、声なんて出すことはない。
 そう考えたこの研究員は、自分の気のせいだったとすることにした。
 次の瞬間、

“ボンッ!!”

 5人のいる部屋の扉から、突如魔法が撃ち込まれる。
 扉をぶち破り、そのまま部屋の中央に光の球のような物が飛来すると爆発を起こし、部屋の中に居た5人を一瞬にしてバラバラの肉片へと変えたのだった。

「15人……」

 研究所は広い。
 色々な所に分散しているため、地道に殺して回らないといけない。
 そんな手間も楽しむように、限は殺した人数を数えながら廊下を進んでいった。

「さっきの何の音だ?」

「とにかく行ってみよう」

 解剖をおこなっていた5人を殺すために、爆発系の魔法を使用したのは失敗だった。
 この地下施設をなるべく破壊しないように威力を抑えたのだが、廊下にいた何人かがその音に気付いて、音のしたこちらへ向かってきたからだ。
 いや、むしろ限は気付かせるのが目的だったのかもしれない。
 獲物の方から殺されに向かって来てくれたのだから。





「21人……」

 音に気浮いた人間は6人。
 その6人が解剖室に駆け寄ってくるのを、色々な魔物の内臓や体がホルマリン漬けにされている部屋に身を隠して待ち受けた限は、背後から襲い掛かる。
 その6人を仕留めた限は、先程と同じように殺した人間の数を呟く。
 そして、

「あと43人……」

 探知で数えたこの施設内の人数をから、殺した人数を計算し、限は残りの人数を呟いたのだった。

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