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第2章
第43話 情報収集
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「町に潜んでいるというなら、探し出さないと……」
限の言葉を聞いて、受付の女性は慌てて書類に目を通し始めた。
恐らく、町に残っている冒険者に捜索の依頼を出そうと思っているのだろう。
「無駄だな……」
「えっ?」
今から捜索依頼を出そうとしている受付女性の行為に、限は止めに入る。
町中にいるというなら、探し出さないと被害が治まらない。
そのために動こうとしているのに、どうして止めるのかと受付女性は首を傾げた。
「俺が思いつくようなことは、冒険者なら気付いていた者もいるはずだ。それが見つけられていないのだから、そう簡単に見つかる所にはいないはずだ」
冒険者を狙う魔物が町中に潜んでいるという可能性は、被害状況を考えれば思いついた人間が少なからずいるはずだ。
それなのにギルドの人間に伝えられていないというのであれば、それはまだ見つけられていないということなのだろう。
ここの町の冒険者のレベルは分からないが、それでも見つけられていないということなら、何かしら探知を逃れる対策が取られているのかもしれない。
「では、どうやって見つけ出せばいいと?」
冒険者しか狙わないとは言っても、被害が起きないとは限らない。
もしかしたら、冒険者の次は市民にまで被害が及ぶようになるのかもしれない。
そう考えると、このまま放置しておく訳にもいかない。
町中にいるその魔物の発見もしくは討伐をする方法がないか、困った受付女性は限に問いかけてきた。
「夜に出現するんだろ? だったら俺たちが囮になればいい」
「それは危険です!! これまでこの町でも上位にいる冒険者が殺されているんです!!」
襲撃に遭った冒険者は、もれなく命を落としていて、A級目前の実力者もやられてしまったという話だ。
限たちのランクはたいして高くない。
というより、依頼とは違う仕事をしたりしているため、ランクは1つしか上がっていない。
駆け出しではないとは言っても、Ⅽランクの冒険者では荷が重い。
そのため、受付女性は限の提案を必死になって止めようとした。
「大丈夫だ。殺されないようにする」
「しかし……」
A級が強いというのは分からなくもないが、これまで自分以上の人間を見たことがない。
それ以上の実力を持つ自分なら死ぬこともないだろうし、もしもの時には逃げ切ることもできるだろう。
自信ありげに限が言うが、それでも受付の女性は承知しかねるような反応をしている。
「いいから少しでもその魔物の情報をくれ!」
「……はい」
これ以上話していても先に進まない。
止めてもどうせやるのだから、さっさと情報が欲しい。
若干イラ立ちながら話しかけると、女性も折れたのか俯くようにして頷いた。
「亡くなった冒険者の最期の言葉によると、熊という話でした」
「熊か……」
どんな魔物なのかと思っていたら、熊という話だった。
熊系の魔物は結構いて、どれも結構危険な種類だ。
腕力が強く、爪や牙の攻撃を食らえば、普通の人間なんて1撃で殺されてしまうだろう。
しかし、知能の高い熊なんて見たことがない。
人を見つけた段階で襲い掛かってくるのが、熊の魔物の大半がおこなう反応だ。
なので、ただの熊ではないということなのだろう。
「とりあえず、今夜から試してみる」
「気を付けてくださいね」
「あぁ……」
町のどこに現れるとかのデータはないらしく、冒険者に反応して出てくるということしか分かっていない。
低ランクの冒険者に反応するのかは分からないが、そもそもどうやって冒険者と判断しているのか分からないのだから、夜に出歩いてみるしかない。
とりあえず、限は町中を歩いてみることにした。
心配そうに見送る受付の女性に背を向け、限たちはその場から去っていった。
「アルバ! お前の鼻で探せるか?」
「ワンッ……」
「そうか……」
ギルドの建物があった場所から少し離れ、限は従魔である白狼のアルバに問いかける。
狼の鼻なら何か臭いを探れると思ったのだが、匂いを消されているのかアルバは首を横に振った。
申し訳なさそうな表情だが、ちょっとした期待だったので、気にしなくていいというように、限はアルバの頭を撫でて慰めた。
「限様の探知でも見つけられませんか?」
「あぁ、だからアルバに試してもらったんだがダメだそうだ」
「そうですか……」
話を聞いて町中に魔力探知をしてみたのだが、それらしい反応がなかった。
そのため、レラの問いに首を振って答えを返す。
それもあってのアルバの鼻だったのだが、それもダメとなってしまった。
それを聞いたレラも、残念そうな表情へと変わった。
「とりあえず宿屋の予約を取ろう」
「はい!」
魔物が出るという夜までは時間がある。
それまでは、ここまでの旅の疲れを取ろうと、限たちは宿屋へ向かうことにした。
「俺やアルバの探知に反応しないのだから、敵の強さが分からない。だからレラはアルバたちと後方待機だ」
「はい……」
空いている宿屋も見つかり、限たちは部屋の中で今後のことを話し始めた。
敵の強さが分かれば、レラも使って敵をおびき寄せるということも考えるが、今回は探知に反応していない。
そもそも単独犯なのかも分からないため、もしものことも考えてアルバたちと共に援護に回ってもらうことにした。
自分だけなら、もしもの時には逃げることくらいは可能だろうという考えによる判断だ。
その提案を受けて、レラは少し表情を曇らせる。
まだ自分は、限の役に立てるレベルではないのだといわれていると感じたからだろう。
「俺はこれから情報収集に町を回ってみるつもりだ。レラはアルバたちと離れた位置で見守っていてくれ」
「分かりました!」
一番危険な役を限にやらせることになり心苦しい思いがするが、指示に従わないという選択はレラの中ではあり得ない。
もしもの時にはすぐにでも助けに入ろうと考えつつ、レラは限のいうことを聞くことにした。
「最近冒険者を襲っている魔物のことを知らないか?」
「……お客さんも探してんのかい?」
「やっぱり、他にも探しているのがいたか……」
情報収集と言ったら酒場。
そんな事を考えた限は、酒場のカウンターに座って注文をした後、店のマスターに話しかけた。
その質問に、マスター少し渋い表情をして限に問いかけ返した。
どうやら、限が思っていたように魔物を捜索している冒険者がいたようだ。
同じ内容の質問をされたことで、すぐに最近話題の魔物のことだと気が付いたようだ。
「やめた方が良い。以前同じ質問をした冒険者は命を落としてしまったよ」
同じ質問をして来たということは、限が魔物の捜索をしているということだろう。
しかし、死にかけの人間の言葉から出た熊という情報以外何の情報もない。
限がその人間と同じようになってしまうかもしれないと、マスターの男は気を使って魔物の捜索の中止を限に促してきた。
「……何もないのか?」
マスターの男が止めるからと言って、限はやめるつもりはない。
単純に何もないというなら仕方がない。
他を当たろうかと、限は注文したエールを飲み干した。
「……ないこともない。被害に遭った冒険者のように、色々な酒場で情報収集していれば襲ってくるって話だ」
「なるほど、ありがとさん!」
犯人は自分の捜索をしている人間を狙っているらしい。
冒険者しか襲わないのだから、普通の市民が捜索をしているはずがない。
捜索している人間は冒険者であるという考えなのかもしれない。
もしも冒険者でなくても、それはそれで構わず殺してしまえばいいという考えなのだろう。
情報収集していれば襲ってくる可能性が高いのなら、限としては願ったり叶ったりだ。
良い話を聞けたことに感謝し、限は金を払って店から退出していったのだった。
限の言葉を聞いて、受付の女性は慌てて書類に目を通し始めた。
恐らく、町に残っている冒険者に捜索の依頼を出そうと思っているのだろう。
「無駄だな……」
「えっ?」
今から捜索依頼を出そうとしている受付女性の行為に、限は止めに入る。
町中にいるというなら、探し出さないと被害が治まらない。
そのために動こうとしているのに、どうして止めるのかと受付女性は首を傾げた。
「俺が思いつくようなことは、冒険者なら気付いていた者もいるはずだ。それが見つけられていないのだから、そう簡単に見つかる所にはいないはずだ」
冒険者を狙う魔物が町中に潜んでいるという可能性は、被害状況を考えれば思いついた人間が少なからずいるはずだ。
それなのにギルドの人間に伝えられていないというのであれば、それはまだ見つけられていないということなのだろう。
ここの町の冒険者のレベルは分からないが、それでも見つけられていないということなら、何かしら探知を逃れる対策が取られているのかもしれない。
「では、どうやって見つけ出せばいいと?」
冒険者しか狙わないとは言っても、被害が起きないとは限らない。
もしかしたら、冒険者の次は市民にまで被害が及ぶようになるのかもしれない。
そう考えると、このまま放置しておく訳にもいかない。
町中にいるその魔物の発見もしくは討伐をする方法がないか、困った受付女性は限に問いかけてきた。
「夜に出現するんだろ? だったら俺たちが囮になればいい」
「それは危険です!! これまでこの町でも上位にいる冒険者が殺されているんです!!」
襲撃に遭った冒険者は、もれなく命を落としていて、A級目前の実力者もやられてしまったという話だ。
限たちのランクはたいして高くない。
というより、依頼とは違う仕事をしたりしているため、ランクは1つしか上がっていない。
駆け出しではないとは言っても、Ⅽランクの冒険者では荷が重い。
そのため、受付女性は限の提案を必死になって止めようとした。
「大丈夫だ。殺されないようにする」
「しかし……」
A級が強いというのは分からなくもないが、これまで自分以上の人間を見たことがない。
それ以上の実力を持つ自分なら死ぬこともないだろうし、もしもの時には逃げ切ることもできるだろう。
自信ありげに限が言うが、それでも受付の女性は承知しかねるような反応をしている。
「いいから少しでもその魔物の情報をくれ!」
「……はい」
これ以上話していても先に進まない。
止めてもどうせやるのだから、さっさと情報が欲しい。
若干イラ立ちながら話しかけると、女性も折れたのか俯くようにして頷いた。
「亡くなった冒険者の最期の言葉によると、熊という話でした」
「熊か……」
どんな魔物なのかと思っていたら、熊という話だった。
熊系の魔物は結構いて、どれも結構危険な種類だ。
腕力が強く、爪や牙の攻撃を食らえば、普通の人間なんて1撃で殺されてしまうだろう。
しかし、知能の高い熊なんて見たことがない。
人を見つけた段階で襲い掛かってくるのが、熊の魔物の大半がおこなう反応だ。
なので、ただの熊ではないということなのだろう。
「とりあえず、今夜から試してみる」
「気を付けてくださいね」
「あぁ……」
町のどこに現れるとかのデータはないらしく、冒険者に反応して出てくるということしか分かっていない。
低ランクの冒険者に反応するのかは分からないが、そもそもどうやって冒険者と判断しているのか分からないのだから、夜に出歩いてみるしかない。
とりあえず、限は町中を歩いてみることにした。
心配そうに見送る受付の女性に背を向け、限たちはその場から去っていった。
「アルバ! お前の鼻で探せるか?」
「ワンッ……」
「そうか……」
ギルドの建物があった場所から少し離れ、限は従魔である白狼のアルバに問いかける。
狼の鼻なら何か臭いを探れると思ったのだが、匂いを消されているのかアルバは首を横に振った。
申し訳なさそうな表情だが、ちょっとした期待だったので、気にしなくていいというように、限はアルバの頭を撫でて慰めた。
「限様の探知でも見つけられませんか?」
「あぁ、だからアルバに試してもらったんだがダメだそうだ」
「そうですか……」
話を聞いて町中に魔力探知をしてみたのだが、それらしい反応がなかった。
そのため、レラの問いに首を振って答えを返す。
それもあってのアルバの鼻だったのだが、それもダメとなってしまった。
それを聞いたレラも、残念そうな表情へと変わった。
「とりあえず宿屋の予約を取ろう」
「はい!」
魔物が出るという夜までは時間がある。
それまでは、ここまでの旅の疲れを取ろうと、限たちは宿屋へ向かうことにした。
「俺やアルバの探知に反応しないのだから、敵の強さが分からない。だからレラはアルバたちと後方待機だ」
「はい……」
空いている宿屋も見つかり、限たちは部屋の中で今後のことを話し始めた。
敵の強さが分かれば、レラも使って敵をおびき寄せるということも考えるが、今回は探知に反応していない。
そもそも単独犯なのかも分からないため、もしものことも考えてアルバたちと共に援護に回ってもらうことにした。
自分だけなら、もしもの時には逃げることくらいは可能だろうという考えによる判断だ。
その提案を受けて、レラは少し表情を曇らせる。
まだ自分は、限の役に立てるレベルではないのだといわれていると感じたからだろう。
「俺はこれから情報収集に町を回ってみるつもりだ。レラはアルバたちと離れた位置で見守っていてくれ」
「分かりました!」
一番危険な役を限にやらせることになり心苦しい思いがするが、指示に従わないという選択はレラの中ではあり得ない。
もしもの時にはすぐにでも助けに入ろうと考えつつ、レラは限のいうことを聞くことにした。
「最近冒険者を襲っている魔物のことを知らないか?」
「……お客さんも探してんのかい?」
「やっぱり、他にも探しているのがいたか……」
情報収集と言ったら酒場。
そんな事を考えた限は、酒場のカウンターに座って注文をした後、店のマスターに話しかけた。
その質問に、マスター少し渋い表情をして限に問いかけ返した。
どうやら、限が思っていたように魔物を捜索している冒険者がいたようだ。
同じ内容の質問をされたことで、すぐに最近話題の魔物のことだと気が付いたようだ。
「やめた方が良い。以前同じ質問をした冒険者は命を落としてしまったよ」
同じ質問をして来たということは、限が魔物の捜索をしているということだろう。
しかし、死にかけの人間の言葉から出た熊という情報以外何の情報もない。
限がその人間と同じようになってしまうかもしれないと、マスターの男は気を使って魔物の捜索の中止を限に促してきた。
「……何もないのか?」
マスターの男が止めるからと言って、限はやめるつもりはない。
単純に何もないというなら仕方がない。
他を当たろうかと、限は注文したエールを飲み干した。
「……ないこともない。被害に遭った冒険者のように、色々な酒場で情報収集していれば襲ってくるって話だ」
「なるほど、ありがとさん!」
犯人は自分の捜索をしている人間を狙っているらしい。
冒険者しか襲わないのだから、普通の市民が捜索をしているはずがない。
捜索している人間は冒険者であるという考えなのかもしれない。
もしも冒険者でなくても、それはそれで構わず殺してしまえばいいという考えなのだろう。
情報収集していれば襲ってくる可能性が高いのなら、限としては願ったり叶ったりだ。
良い話を聞けたことに感謝し、限は金を払って店から退出していったのだった。
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