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第 64 話
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「今回は助かったわ! ありがとう!」
「いや、困った時はお互いさまっていうだろ? だから気にするな」
行方不明になっていた仲間が戻ってきた。
自分たちでは手がかりすらつかめなかったというのに、エルヴィーノたちに頼んだら、数日であっという間に犯人の捕縛に成功したため、彼らに頼んで正解だったと心の底から思ったクラン【鷹の羽】のリーダーであるオフェーリアは、笑顔で右手を差し出してきた。
それを受け、エルヴィーノは彼女と握手を交わした。
「そう言ってもらえると、こちらとしてもありがたい」
セラフィーナとも握手を交わしたオフェーリアに続き、【鷹の羽】の副リーダーであるグスターヴォもエルヴィーノたちと握手を交わす。
彼も仲間の帰還に安堵している様子だ。
「捕まっていた者たちは大丈夫か?」
「えぇ……、でも、うちのじゃないけど、女性の冒険者の何人かは……」
「そりゃそうだろ……」
誘拐犯たちに捕まっていた冒険者をエルヴィーノが助けた時、抵抗したためか多くの者が怪我を負っていた。
そのため、エルヴィーノは回復薬を使用して傷の治療をしておいた。
しかし、誘拐されていた冒険者の中には女性もいた。
あそこに居た犯人たちによって性被害を受けていた様子もあったため、外傷は治療できたかもしれないが、心に深い傷を負っている者がいるようだ。
エルヴィーノとしても予想できたことのため、そうなってしまうことが仕方ない。
「……やっぱ殺しておけばよかった!」
「俺もそう思うが、落ち着け」
自分が捕まえた犯人たちが、そういった女性たちに性暴力をおこなっていた可能性が高い。
そう考えると、捕縛なんて生易しいことなどせず、殺しておけばよかったと殺気をみなぎらせた。
その殺気に当てられ、オフェーリアとグスターヴォは一瞬にして顔を青くする。
そんな2人に気付いたエルヴィーノは、すぐにセラフィーナのことを諫めた。
「結局、奴らは何が狙いで冒険者を攫ったんだ?」
子供を誘拐したりするのは身代金を手に入れるためなどの理由が思いつくが、大人の冒険者を誘拐するなんて、そんなハイリスクを負って、どんなリターンがあるのだろうか。
エルヴィーノは話を変えるため、牢に捕えている犯人たちを尋問した結果をギルドから聞いているオフェーリアたちに犯行理由を問いかけた。
「ハンソー王国の貴族からの依頼だったそうだ」
キタン側を境に、カンリーン王国の西側に位置するハンソー王国。
そのハンソー王国は、王が崩御し、2人の王子による跡目争いで内乱が起きている状況だ。
どちらの王子の派閥の貴族だか分からないが、戦争に使用するための兵を求め、隣国のカンリーン王国にまで触手を伸ばしてきたようだ。
「……もしかして、戦争に使用する奴隷兵としてか?」
「……さすがだな。その通りだ……」
兵を集めるだけなら、自国民を徴兵すればいい。
しかし、それはただ数を増やすためだけであって、それを鍛えるとなると時間が掛かる。
その時間短縮のために、戦闘経験のある冒険者を誘拐して奴隷化して戦いに使用しようと考えたのだろう。
理由を聞いて、その貴族の狙いにすぐに思い至ったエルヴィーノに、グスターヴォは感嘆の声を上げた。
「最初に言ったように今回は本当に助かりました。そちらがお困りの際、私どもで協力できることが合ったらお声がけください」
「とはいっても、あなたたちならそんなこと滅多にないとは思うけどな」
エルヴィーノたちは、子供の誘拐事件を解決する時に協力した借りを返し協力したつもりのようだが、【鷹の羽】としては少し協力しただけに過ぎない。
今回のことでその借りを返してもらうどころか、こちらの方が大きな借りができた。
それを返すためにも、何かあった時のことをオフェーリアとグスターヴォが話した。
「なら早速……」
「「えっ?」」
エルヴィーノたちが困るようなことなど、自分たちでどれほど協力できるかは分からない。
そのつもりで言ったのだが、エルヴィーノからすぐに返答があったため、オフェーリアとグスターヴォの2人は短く戸惑いの声を上げた。
「この子の親を探しているんだが、もしも情報が得られたら教えてほしい」
「そう言えばそんなこと言ってたわね」
エルヴィーノたちが欲しいのは、オルフェオに関する情報だ。
オルフェオを親元に返すために、エルヴィーノは【鷹の羽】に協力を求めた。
今回の顔合わせの時に話していたため、オフェーリアもすぐにその理由に納得した。
「人の家の前に置いて行くなんて、どんな親だよ……」
「別にあなたたちが親になってしまえば良いんじゃないの?」
「そうですよ!」
エルヴィーノがオルフェオを引き取った時のことを説明すると、グスターヴォが不機嫌そうに呟く。
理由はどうあれ、オルフェオを捨てた親のことが気に入らないらしい。
オフェーリアもグスターヴォと同じ思いなのか、このままエルヴィーノが引き取ることを勧める。
それにセラフィーナも同意の声を上げる。
2人よりも強くだ。
「確かに引き取っても構わないが、それは相手に会って理由を聞いてからだ。だから協力を頼む」
「分かったわ」
「了解した」
子供を育てた経験もあり、収入に関しても特に問題ないため、このままオルフェオを引き取ることはできる。
しかし、理由次第では親元に返しても良いと思っているため、エルヴィーノは再度【鷹の羽】の2人に協力を求めたのだった。
「いや、困った時はお互いさまっていうだろ? だから気にするな」
行方不明になっていた仲間が戻ってきた。
自分たちでは手がかりすらつかめなかったというのに、エルヴィーノたちに頼んだら、数日であっという間に犯人の捕縛に成功したため、彼らに頼んで正解だったと心の底から思ったクラン【鷹の羽】のリーダーであるオフェーリアは、笑顔で右手を差し出してきた。
それを受け、エルヴィーノは彼女と握手を交わした。
「そう言ってもらえると、こちらとしてもありがたい」
セラフィーナとも握手を交わしたオフェーリアに続き、【鷹の羽】の副リーダーであるグスターヴォもエルヴィーノたちと握手を交わす。
彼も仲間の帰還に安堵している様子だ。
「捕まっていた者たちは大丈夫か?」
「えぇ……、でも、うちのじゃないけど、女性の冒険者の何人かは……」
「そりゃそうだろ……」
誘拐犯たちに捕まっていた冒険者をエルヴィーノが助けた時、抵抗したためか多くの者が怪我を負っていた。
そのため、エルヴィーノは回復薬を使用して傷の治療をしておいた。
しかし、誘拐されていた冒険者の中には女性もいた。
あそこに居た犯人たちによって性被害を受けていた様子もあったため、外傷は治療できたかもしれないが、心に深い傷を負っている者がいるようだ。
エルヴィーノとしても予想できたことのため、そうなってしまうことが仕方ない。
「……やっぱ殺しておけばよかった!」
「俺もそう思うが、落ち着け」
自分が捕まえた犯人たちが、そういった女性たちに性暴力をおこなっていた可能性が高い。
そう考えると、捕縛なんて生易しいことなどせず、殺しておけばよかったと殺気をみなぎらせた。
その殺気に当てられ、オフェーリアとグスターヴォは一瞬にして顔を青くする。
そんな2人に気付いたエルヴィーノは、すぐにセラフィーナのことを諫めた。
「結局、奴らは何が狙いで冒険者を攫ったんだ?」
子供を誘拐したりするのは身代金を手に入れるためなどの理由が思いつくが、大人の冒険者を誘拐するなんて、そんなハイリスクを負って、どんなリターンがあるのだろうか。
エルヴィーノは話を変えるため、牢に捕えている犯人たちを尋問した結果をギルドから聞いているオフェーリアたちに犯行理由を問いかけた。
「ハンソー王国の貴族からの依頼だったそうだ」
キタン側を境に、カンリーン王国の西側に位置するハンソー王国。
そのハンソー王国は、王が崩御し、2人の王子による跡目争いで内乱が起きている状況だ。
どちらの王子の派閥の貴族だか分からないが、戦争に使用するための兵を求め、隣国のカンリーン王国にまで触手を伸ばしてきたようだ。
「……もしかして、戦争に使用する奴隷兵としてか?」
「……さすがだな。その通りだ……」
兵を集めるだけなら、自国民を徴兵すればいい。
しかし、それはただ数を増やすためだけであって、それを鍛えるとなると時間が掛かる。
その時間短縮のために、戦闘経験のある冒険者を誘拐して奴隷化して戦いに使用しようと考えたのだろう。
理由を聞いて、その貴族の狙いにすぐに思い至ったエルヴィーノに、グスターヴォは感嘆の声を上げた。
「最初に言ったように今回は本当に助かりました。そちらがお困りの際、私どもで協力できることが合ったらお声がけください」
「とはいっても、あなたたちならそんなこと滅多にないとは思うけどな」
エルヴィーノたちは、子供の誘拐事件を解決する時に協力した借りを返し協力したつもりのようだが、【鷹の羽】としては少し協力しただけに過ぎない。
今回のことでその借りを返してもらうどころか、こちらの方が大きな借りができた。
それを返すためにも、何かあった時のことをオフェーリアとグスターヴォが話した。
「なら早速……」
「「えっ?」」
エルヴィーノたちが困るようなことなど、自分たちでどれほど協力できるかは分からない。
そのつもりで言ったのだが、エルヴィーノからすぐに返答があったため、オフェーリアとグスターヴォの2人は短く戸惑いの声を上げた。
「この子の親を探しているんだが、もしも情報が得られたら教えてほしい」
「そう言えばそんなこと言ってたわね」
エルヴィーノたちが欲しいのは、オルフェオに関する情報だ。
オルフェオを親元に返すために、エルヴィーノは【鷹の羽】に協力を求めた。
今回の顔合わせの時に話していたため、オフェーリアもすぐにその理由に納得した。
「人の家の前に置いて行くなんて、どんな親だよ……」
「別にあなたたちが親になってしまえば良いんじゃないの?」
「そうですよ!」
エルヴィーノがオルフェオを引き取った時のことを説明すると、グスターヴォが不機嫌そうに呟く。
理由はどうあれ、オルフェオを捨てた親のことが気に入らないらしい。
オフェーリアもグスターヴォと同じ思いなのか、このままエルヴィーノが引き取ることを勧める。
それにセラフィーナも同意の声を上げる。
2人よりも強くだ。
「確かに引き取っても構わないが、それは相手に会って理由を聞いてからだ。だから協力を頼む」
「分かったわ」
「了解した」
子供を育てた経験もあり、収入に関しても特に問題ないため、このままオルフェオを引き取ることはできる。
しかし、理由次第では親元に返しても良いと思っているため、エルヴィーノは再度【鷹の羽】の2人に協力を求めたのだった。
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