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本編

それは突然に 2

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攻略対象は12人。


攻略対象の区別の仕方は、名字。


昔の日本の月の読み方で構成されたメンバーだ。


もちろん、その中に柊聖も入っている。



『恋月』は、ヒロインである少女が2年生に転入してくるところから始まる。


そして、ヒロインが月ごとにイベントをするのだ。


攻略対象には、それぞれ月がある。


例えば、柊聖の場合。


柊聖の名字は水無月だ。


水無月は、今で言えば六月。


六月になると、柊聖とヒロインのイベントが主体となってくる・・・・・・といったところだ。


そして、ひと月ずつ違う攻略対象と愛を育んだあと、訪れるのは誰と恋人になるかの選択だ。


最終イベントは、3月に行われる卒業パーティーでヒロインと攻略対象の1人が結ばれるという話だ。




「・・・・・・ということで、頑張ってね」


「いやいやいやいや、ちょっと待て!良くないだろ!これ、良くないだろ!」


「何が?」


「何が?じゃねーよ!生徒と教師の恋愛があっていいと思ってるのか!?」


「そこは・・・ほら!乙女ゲームだし」


「何でもありなのかよ!」


「そゆことー」




発狂し続ける柊聖に、私はため息をついた。




「柊聖ー。もう仕方ないんだよー。諦めなって」


「俺は諦めない!そもそも、なんでお前はそう乗り気なんだ!?」


「彼女いない柊聖にやっと彼女を見るとができるー、と思うと楽しくて」


「我ながら従兄弟として最低だよな・・・」



ガックリと項垂れる柊聖を見ていると、突然扉が開いた。




「ただいまー。・・・って、柊聖。いたのか」


「ん・・・。ああ・・・蘭々か・・・」


「どうしたの、こいつ」


「ほっとけばいいよ」




ボサボサの髪に、ヨレヨレのTシャツとビロビロのズボン。


こいつこそ私の兄、東雲蘭だ。




「今すぐにでも、富士の樹海に行きそうなんだけど・・・」


「大丈夫だって。人生の分岐点に立たされただけだから」


「・・・それって、大丈夫なのか?」




そんな兄と話していると、項垂れていた柊聖が起き上がった。




「・・・凛々、お前に頼みがある」


「んー?私を使うの?高いぞー」


「なんでもいいから・・・。俺を助けろ!」




ーーーその日で、私と柊聖の間に約束ができた。
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