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「さあ、始まりました! 毎週水曜日、お昼の生放送『おくさま、ごきげんいかが?』の時間がやってきました! 司会は、わたくし、宮島誠一と!」
「アシスタントの喜多山あかりでお送りします」
「さてと、あかりちゃん、今日最初の話題は何?」
「はい! まずはこの話題からスタートです!」
~~~~~~~~~~~~~~~
あのアイドルは今!?
~~~~~~~~~~~~~~~
「宮島さん、誰だか分かります?」
「そうだね~、ジャニーズ系のタレントの誰かだよね・・・う~ん・・・」
「アハハハ、全然違いますね~。正解はコチラ!」
~~~~~~~~~~~~~~~
パンダのファンファン
故郷に戻って、リリアンと結婚!
~~~~~~~~~~~~~~~
「宮島さん、お分かりになりましたか?」
「あ~! ファンファンってタンポポ動物園にいたオスのパンダちゃんか!」
「そうなんですよ~! 宮島さん、ファンファンがタンポポ動物園にやって来たいきさつってご存知ですか?」
「いや、知らないね~」
「実は、こういう理由なんです!」
~~~~~~~~~~~~~~~
タンポポ動物園の
来園者を増やすために
アイドルとしてやってきた!
~~~~~~~~~~~~~~~
「こういう理由なんですね」
「なるほど。確かにパンダがいると、動物園は華やかさが出るよね」
「そうなんですよ~、それに加えて、ゆくゆくはお嫁さんを迎えて、赤ちゃんを産んでもらおうという計画もあったんですよね」
「そりゃ、賑やかになるね~、でもなんで故郷に帰っちゃったの?」
「それには、こういう理由があったんです」
~~~~~~~~~~~~~~~
ファンファンには
忘れられないパンダがいた!?
~~~~~~~~~~~~~~~
「という一途な恋物語が、そこにはあったんですよ」
「あかりちゃん、どういうこと?」
「実はですね、ファンファンは元々、国立パンダ研究所にいたんですよ」
「あ~、それって、2年前に設立された、あの施設だ」
「そうなんですよ。日本にもパンダを増やそうという国の計画の元、その施設には、現在も12頭のパンダが暮らしています」
「確か、中国やいろんな地域からやってきたんだよね」
「はい、ファンファンもその仲間だったんですね。そして、タンポポ動物園は、ファンファンを迎え入れたあと、結婚相手として、さらに1頭のパンダをその研究所からお引っ越しさせました」
「あれは、よくニュースで流れてたよね~。アイドルパンダ、ついに結婚か、なんてね」
「そうですね。でも、その婚約者と一緒に暮らし始めたファンファンは、ご飯もあまり食べなくなり、日に日に元気がなくなっていきました」
「確かにそうだったね」
「そこで、動物園側は、ファンファンの体調を優先し、研究所にいったん帰すことになりました。すると、そこで!」
~~~~~~~~~~~~~~
ファンファン、運命の再会!
~~~~~~~~~~~~~~
「と、なったわけです」
「そうだったんだ」
「研究所に戻ったファンファンは、真っ先に、その施設内にある広場に行こうとしたらしいです」
「広場?」
「はい。その広場は自然に近い作りになっており、芝生が綺麗で大きな桜の木が数本あるのが特徴です」
「へ~、そうなんだ」
「すると!」
~~~~~~~~~~~~
満開の桜の木の下に
リリアンがいた!
~~~~~~~~~~~~
「というわけなんです」
「そのリリアンという女の子のパンダとファンファンは仲が良かったわけ?」
「みたいですね。以前からいつも一緒に桜の木の下で寝転がってじゃれあっていたみたいです」
「そうなんだ~」
「研究所の飼育員さんの話では、1人になったリリアンは、いつも桜の木の下で淋しそうに他のパンダと遊ばずにポツンといることが多かったそうです」
「ファンファンがいなくなって、淋しかったんだね」
「そこで、飼育員さんは、リリアンのことを考え、他の男の子パンダと一緒に暮らさせました。でも何度か相手を変えてもリリアンは淋しい雰囲気を出したままだったんです」
「ひょっとして・・・」
「そうです!」
~~~~~~~~~~~~~
リリアンも
ずっと
ファンファンが好きだった!
~~~~~~~~~~~~~
「というわけなんですね」
「いい話だね~」
「そうでしょ。一途な恋物語ですよね。さらにこの話には続きがあるんです」
「何?」
「それはこちら!」
~~~~~~~~~~~~~
来年
ファンファンとリリアンの
赤ちゃんが誕生!
~~~~~~~~~~~~~
「というおめでたい出来事がおこったんですよ」
「いや~、これはいい話だね~。久しぶりに純愛を見たって感じだね」
「これからも見守っていきたいですね」
「そうだね。では次の話題にいこうか」
「その前にいったんCMで~す」
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