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プロローグ【気まぐれな美しさ】
【3】
しおりを挟むハルトもやさしく目覚めの挨拶をプレゼント。
「おはよう」
どこから見ても、日曜の新婚夫婦の朝のように、爽やかなワンシーン。
そして、女性は、
「……」
無表情で軽く会釈をしたあと、周りを見渡しながらポツリと言った。
「……ナンダ、ここ、汚い部屋だナア」
あまり、言葉遣いはよくない。
しかし、残念ながらその女性が言ったように、この研究室の散らかり具合は誰の目にも明らか。
ハルトは、ごまかすように頭をかき始める。
「そ、そう? そんなことないよ」
まるで、バレバレの嘘をしらばっくれる浮気夫のような振る舞い。
そして、女性は体を乗り出し、何かを気にするようにハルトの目を覗き込んだ。
「ン? おまえの目……」
「な、なに?」
「目やについてるゾ」
「あ! ごめん!」
子供のように慌てて目をこするハルト。
その姿が女性には、
(フフ……面白い奴ダナ……)
かなり滑稽に映っていた。
無表情だった顔に、少し笑みがプラスされ始める。
女性にとって、この世で初めての笑顔をハルトに披露した記念の瞬間だった。
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