ただいま、入札中【短編】

ジェリージュンジュン

文字の大きさ
上 下
2 / 16

しおりを挟む



「あぁ……暇だな……」


 俺の名前は吉永明(よしながあきら)

年は29歳。

 現在、無職。

プチ引きこもり期間、約半年。

 時間だけを無駄に浪費する、完全なる社会からの脱落者だ。

そりゃ、仕事を辞めたすぐは、次への未来に満ち溢れていたさ。

 新しい自分を見つけようと必死だった。


ちなみに、俺の前職は広告代理店でのクリエイティブ職。

 簡単に言えば、広告のデザインやキャッチコピーを作ったりという、はた目には華やかに映る職業。

どれぐらい、この職場で働いていただろう?

 大学を卒業してからだから、かれこれ7年ほど働いていたことになるのかな。


 「あぁ……あの頃は良かったな……」


 俺は、無精髭をはやした顔のまま、新商品のチョコレートパフェ味のアイスをかじった。

 今日も、コンビニへ買い物に行っただけ。

 甘党の俺にとっては、お菓子を買うことだけが外に出る楽しみだ。

 入社してから2年ほどは、何も問題はなかったが、不況の煽りを受けて、会社の経営の悪化に伴い、社員への待遇も悪くなってきた。

まあ、簡単に言えば、俺からその会社に見切りをつけたってわけだ。

 今まで培ってきた経験があれば、よそでもやっていける。

 俺は、もっと成功できる。

そう思っていた。


 「くそっ……」


だが、うまくはいかなかった。

なかなか、再就職は難しい作業だった。

 何社も何社も面接で落ち続けるうちに、もう気力が全部吸い取られてしまった。

そして、今に至り、もっぱら、俺の唯一の友達はネット。

 色々なサイトを眺める毎日になってしまった。

ちなみに最近は、オークションサイトにはまっている。

たまに商品を落札したり、出品されてる珍しい物を眺めるのが面白くてたまらなかった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

未来への転送

廣瀬純一
SF
未来に転送された男女の体が入れ替わる話

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

我らの輝かしきとき ~拝啓、坂の上から~

華研えねこ
歴史・時代
講和内容の骨子は、以下の通りである。 一、日本の朝鮮半島に於ける優越権を認める。 二、日露両国の軍隊は、鉄道警備隊を除いて満州から撤退する。 三、ロシアは樺太を永久に日本へ譲渡する。 四、ロシアは東清鉄道の内、旅順-長春間の南満洲支線と、付属地の炭鉱の租借権を日本へ譲渡する。 五、ロシアは関東州(旅順・大連を含む遼東半島南端部)の租借権を日本へ譲渡する。 六、ロシアは沿海州沿岸の漁業権を日本人に与える。 そして、1907年7月30日のことである。

御懐妊

戸沢一平
歴史・時代
 戦国時代の末期、出羽の国における白鳥氏と最上氏によるこの地方の覇権をめぐる物語である。  白鳥十郎長久は、最上義光の娘布姫を正室に迎えており最上氏とは表面上は良好な関係であったが、最上氏に先んじて出羽国の領主となるべく虎視淡々と準備を進めていた。そして、天下の情勢は織田信長に勢いがあると見るや、名馬白雲雀を献上して、信長に出羽国領主と認めてもらおうとする。  信長からは更に鷹を献上するよう要望されたことから、出羽一の鷹と評判の逸物を手に入れようとするが持ち主は白鳥氏に恨みを持つ者だった。鷹は譲れないという。  そんな中、布姫が懐妊する。めでたい事ではあるが、生まれてくる子は最上義光の孫でもあり、白鳥にとっては相応の対応が必要となった。

独裁者・武田信玄

いずもカリーシ
歴史・時代
国を、民を守るために、武田信玄は独裁者を目指す。 独裁国家が民主国家を数で上回っている現代だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。 【第壱章 独裁者への階段】 純粋に国を、民を憂う思いが、粛清の嵐を巻き起こす 【第弐章 川中島合戦】 甲斐の虎と越後の龍、激突す 【第参章 戦争の黒幕】 京の都が、二人の英雄を不倶戴天の敵と成す 【第四章 織田信長の愛娘】 清廉潔白な人々が、武器商人への憎悪を燃やす 【最終章 西上作戦】 武田家を滅ぼす策略に抗うべく、信長と家康打倒を決断す この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。 (前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です))

神護の猪(しし)

有触多聞(ありふれたもん)
SF
あんたはなア、貴族の血を継いでるさかいに……」 そう語った婆やは既に亡くなり、男は退屈の日々を過ごしていた。そんな折、彼は夜の街の中に見慣れないバーを見かける。光に導かれるままに中へと入ると、そこには女が佇んでいた。 「あなたには、話しておかなくちゃ……」 彼はいつしか眠りに落ち、目が覚めるとそこは奈良時代の日本であった。女は、自身の正体が幾千年と生きる狐であることを明かすと、父について徐に語り始める。父とは、かの大悪人、弓削道鏡であった。  

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...