ただいま、入札中【短編】

ジェリージュンジュン

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「あぁ……暇だな……」


 俺の名前は吉永明(よしながあきら)

年は29歳。

 現在、無職。

プチ引きこもり期間、約半年。

 時間だけを無駄に浪費する、完全なる社会からの脱落者だ。

そりゃ、仕事を辞めたすぐは、次への未来に満ち溢れていたさ。

 新しい自分を見つけようと必死だった。


ちなみに、俺の前職は広告代理店でのクリエイティブ職。

 簡単に言えば、広告のデザインやキャッチコピーを作ったりという、はた目には華やかに映る職業。

どれぐらい、この職場で働いていただろう?

 大学を卒業してからだから、かれこれ7年ほど働いていたことになるのかな。


 「あぁ……あの頃は良かったな……」


 俺は、無精髭をはやした顔のまま、新商品のチョコレートパフェ味のアイスをかじった。

 今日も、コンビニへ買い物に行っただけ。

 甘党の俺にとっては、お菓子を買うことだけが外に出る楽しみだ。

 入社してから2年ほどは、何も問題はなかったが、不況の煽りを受けて、会社の経営の悪化に伴い、社員への待遇も悪くなってきた。

まあ、簡単に言えば、俺からその会社に見切りをつけたってわけだ。

 今まで培ってきた経験があれば、よそでもやっていける。

 俺は、もっと成功できる。

そう思っていた。


 「くそっ……」


だが、うまくはいかなかった。

なかなか、再就職は難しい作業だった。

 何社も何社も面接で落ち続けるうちに、もう気力が全部吸い取られてしまった。

そして、今に至り、もっぱら、俺の唯一の友達はネット。

 色々なサイトを眺める毎日になってしまった。

ちなみに最近は、オークションサイトにはまっている。

たまに商品を落札したり、出品されてる珍しい物を眺めるのが面白くてたまらなかった。


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