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⑫
しおりを挟む「いや、待てよ……」
だが、俺はすぐに気がついた。
その値札の横には『レジにて20%オフ』のシールが貼ってある。
「180円の20%オフってことは……あっ!」
俺は目を見開いた。
そう。
ぴったり『144円』になったのだ。
「すごい、すごいぞ!」
「だから言ったでしょ~。どんな形かは分からないけど、絶対に返ってくるのよ~」
「ありがとう! この貯金箱は最高だよ!」
俺は大きくガッツポーズ。
そして、胸のドキドキが止まらない中――
「よし……」
唾を飲み込み、再び貯金箱にお金を投入。
今度は『チャリン』という小さな音はしない。
なぜなら、1万円札を入れたからだ。
「これで……5千円が手に入るのか……」
俺は、胸の鼓動が早くなるのを抑えるのに必死だった。
──数日後。
再び、貯金箱の効果は如実に現れた。
実は1万円を入れた2日後、会社の送別会があり、飲み会に参加した。
自由参加だったが、転勤する上司にお世話になったため俺も出席。
そして、終盤に差し掛かり、トイレから帰ってきたら、もうお開きムードだった。
そこで、幹事が酔っ払っていたせいもあってか、俺のワリカンの飲み代、5千円を徴収し忘れていた。
なぜ、レジで気づかなかったかというと、足りない分は、その上司が払ってくれたらしい。
結局、俺は最後まで、上司にお世話になることに。
とまあ、こんな感じで、貯金箱に1万円を入れた次の日に、半分の5千円を手にすることになった。
さらに、もう一つ面白いことを発見した。
本棚の整理をしている時、偶然にも携帯用ゲーム機のソフト『レジェンド・クエスト4』が貯金箱に入ってしまった。
すると、以前ハガキで応募していた懸賞があたり、ソフトが届いた。
それは『レジェンド・クエスト2』
『4』よりも面白さが半分ぐらいという評価の『2』だった。
これは、とても興味深いデータだ。
やはり、ジェリックが言っていたように『どんな形で返ってくるかは分からない』というのは本当のようだ。
なるほど。
この貯金箱は、お金以外でも可能ということか。
物を入れても、何かしらの形で半分になって戻ってくるということか。
すごい!
この貯金箱は本当にすごいぞ!
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