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102 会議2

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「どうして消えた旅人が獣人だとわかったんですか?」

 テオの質問にランベール樣は軽く頷いて答えてくれる。

「まず残された荷物をジョスに見てもらったところ、持ち主が獣人だと判明した。それに以前に比べて動物を連れて町を出る人が増えたらしい」

 つまり獣人を攫ったあと獣の姿に変身させて町を出たと言う事か?

「そこで国内を調査したところ、ギェルマン王国との境にあるペルランの町に動物を連れた人が頻繁に出入りしている事が判明した。町に入る時には動物を連れているのに出て行く時には一人だとか…」 

 つまり意図的にペルランの町に獣人が集められているという事だ。

「ギェルマン王国って獣人をベットとして飼うのを許可していましたよね。そのせいで獣人がギェルマン王国からいなくなったと聞きました。ペルランに集められた獣人はギェルマン王国の貴族に売られるって事ですか?」

 ジョスと同じグループのダニエルの発言に僕は衝撃を受けた。

 まさかそんな国が存在しているなんて、考えた事もなかったからだ。

 僕達獣人はどこまで迫害されるのだろうか。

「行方不明になっているのが獣人だけである以上、その可能性が高いだろう。ただ、問題はどうやって獣人を見分けているかという事だ。私達人間には獣人を見分ける能力はない。それなのにどうやって獣人だけを攫う事が出来るのかわかっていないのだ。そんな場所に君達を向かわせるのは危険だとわかってはいるのだが…」

 このガヴェニャック王国でも獣人の扱いが良いとは言えない。

 共存を勧めて行こうとするファビアン様が王位に就いたとはいえ、改革は始まったばかりだ。

 この王都でも正体を隠して暮らしている獣人がほとんどだ。

 実際、この場にいるテオ達だって人間としてこの国で生活をしている。

 僕達が獣人だと知っているのは王宮でもファビアン樣とランベール樣に仕える者達だけらしい。

 だからこそ、今回の件も僕達に話が回ってきたのだろう。

「それは仕方がありません。今まで獣人と関わった事のない人々にいきなり交流を持つ事なんて出来ません。それに急激な変化は国民の反発を招きかねません。代替わりしたばかりの今、それは悪手にしか過ぎません。自分達の仲間を救いに行くんですから喜んで行きますよ」 

 テオが思いを述べると他の皆もランベール樣に向かって力強く頷く。

「ありがとう。君達の為にも必ずこの国を獣人達と共存出来る国に変えてみせるよ。ファビアン、いや陛下も同じ考えだ」 

 あの断罪の日以来、ファビアン樣には会えていないがかなりお忙しいようだ。

 まだ独身であるため、国内外から婚姻の打診が相次いでいるらしいが、それは補佐を務めるランベール樣も同様らしい。

 もう少し落ち着いてからと突っぱねているらしいが、いつまでもそんな言い訳は通用しないだろうね。

 ファビアン樣もだけど、僕としては辛い経験をしてきたランベール樣には幸せになってもらいたいな。

「それではペルランにはテオとシリル、それにダニエルとドニに行って貰う。他の者達はそれぞれ別の町の門で動物を連れた人物の精査を頼む」 

 ランベール樣の指示によりジョスは何処に誰を向かわせるか割り当てていた。

 僕はテオと一緒にダニエルとドニの所へ向かう。

「シリルは久しぶりだな。っていうか俺の事覚えてる?」

 ダニエルに問われて僕はコクリと頷いた。

「最初にエリクに連れて行かれたアジトにおられましたよね。お久しぶりです」

 ドニもあの時、あそこにいた人だ。

 二人共、直接話すのは今日が初めてだ。

「シリルのお陰で首輪を解除出来た仲間がいるんだ、ありがとな。それでペルランにはどう行くんだ?」

 ダニエルは熊の獣人だが、ドニは犬の獣人だそうだ。

 ドニはともかくダニエルはあまり早く走れそうもないかな?

「とりあえず俺とシリルが先にペルランに行って情報収集しているよ。その後は二人と合流してから決めよう」 

「助かるよ。力仕事は得意だが、走るのはちょっと苦手でね」

 ダニエルが軽くウインクを僕に寄越す。

 僕達はテオの家に戻ると旅の支度を整えてペルランに向かった。


 
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