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81 テオの家で
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帰りは一人だったせいか王都には夕方には辿り着いた。
そのままテオの家を訪ねると、一人で戻ってきた僕を見てテオが驚いていた。
「どうした? もっとゆっくりしてくるかと思ったのに…。それにビリーも一緒に戻ってきたんじゃないのか?」
テオに質問されて答えようとしたが、それをテオのお母さんが遮った。
「話は後でゆっくり聞きなさい。シリルもお腹が空いたでしょ? 先に夕食にしましょう」
テオも僕がずっと走ってきた事に思い至ったのか、母親に反論するのは愚策だと思ったのかわからないがそれ以上は何も言わなかった。
夕食を終えると僕はテオと一緒に僕に与えられた部屋へと移動した。
ほんの少し前にビリー兄さんと一緒に過ごした部屋だけど今度は一人で使う事になる。
テオがソファーに腰掛けたので僕は必然的にベッドに腰掛ける事になった。
「それで、ビリーはどうしたんだ? 里には無事に着いたんだろう?」
テオの様子から察するに僕とビリー兄さんが喧嘩別れをしたんじゃないかと気遣っているようだ。
「ちゃんと里には辿り着いたよ。だけど僕とビリー兄さんとでは体格が違うだろう? だからビリー兄さんは自分が足手まといになると判断したんだ」
狐の姿になって走るのに、兄さんと同じ大きさになろうとしたが、兄さんがそれを拒んだ。
大人の姿になれるんだから、お前はその姿で走れと言われた。
その結果、兄さんは僕に追いつけずに少しずつ遅れていっては、僕が兄さんを待つという事が続いた。
肩で息をする兄さんに何度かヒールをかけてやる場面もあった。
兄さんにしてみれば僕と旅をすると言うことはテオ達とも旅をするという事だ。
テオ達は狼の獣人で僕よりも体格が大きいのはわかっている事だ。
僕と旅が出来ないのならば、テオ達とは尚更無理だろう。
それを実感したからこそ、里に残ると決意を固めたに違いない。
テオもある程度は感じとっていたのだろう。特に反論はしなかった。
「まあ、お前は大きさが変えられるがビリーは普通の狐の獣人だ。この先僕達と旅をするのは厳しいんじゃないかと思っていたんだ。だけど僕達からそれを告げていいものかどうか迷っていた。むしろビリーがそう決断してくれてホッとしているよ」
どうやらテオは僕とビリー兄さんが戻ってきたらビリー兄さんには同行を辞退するように告げるつもりだったようだ。
その場合、この家でビリー兄さんを預かるか、エリクの所に連れて行くか迷っていたらしい。
もっともエリクの所に連れて行くのはエリクが絶対に嫌がっただろうけどね。
ファビアン様とランベール様から連絡があるまではしばらくはここで待機する事になるらしい。
「立て続けにあちこち行ったからシリルも疲れているだろう。少しゆっくりするといい。王都を見て回りたいなら案内するよ」
テオはそれだけ言うと立ち上がり、僕の頭をポンポンと軽く叩くと部屋を出て行った。
一人部屋に取り残された僕はそのままゴロリとベッドに寝転んだ。
その途端にどっと疲れが僕の体に押し寄せてくる。
少しだけ目を瞑ったつもりが、気がついた時には既に朝になっていた。
ガバっと身を起こすと当時に部屋をノックする音に気付いた。
「はい」と返事をすると扉が開かれてテオのお母さんが顔を覗かせた。
「シリル、起きてる? 朝ご飯が出来てるけど食べるかしら?」
「はい、今行きます」
ベッドから下りて昨夜はお風呂に入っていない事を思い出し、クリーン魔法で体を綺麗にした。
食堂には既にテオとテオのお父さんが食卓に着いていた。
「おはよう、シリル。まだ寝てても良かったのに、母さんに無理矢理起こされたんだろ?」
「おはようございます。そんな事はありませんよ。ちょうど目が覚めたところだったので…」
それに後で一人で食事をするよりも、こうしてみんなで食卓を囲むのはやはり嬉しい。
家族を思い出してちょっとしんみりしてしまう事もあるけれど、とりあえずビリー兄さんを見つけられたのだから、きっとすぐにみんなに会えるはずだ。
僕は席に着くとひとときの楽しい時間を過ごした。
そのままテオの家を訪ねると、一人で戻ってきた僕を見てテオが驚いていた。
「どうした? もっとゆっくりしてくるかと思ったのに…。それにビリーも一緒に戻ってきたんじゃないのか?」
テオに質問されて答えようとしたが、それをテオのお母さんが遮った。
「話は後でゆっくり聞きなさい。シリルもお腹が空いたでしょ? 先に夕食にしましょう」
テオも僕がずっと走ってきた事に思い至ったのか、母親に反論するのは愚策だと思ったのかわからないがそれ以上は何も言わなかった。
夕食を終えると僕はテオと一緒に僕に与えられた部屋へと移動した。
ほんの少し前にビリー兄さんと一緒に過ごした部屋だけど今度は一人で使う事になる。
テオがソファーに腰掛けたので僕は必然的にベッドに腰掛ける事になった。
「それで、ビリーはどうしたんだ? 里には無事に着いたんだろう?」
テオの様子から察するに僕とビリー兄さんが喧嘩別れをしたんじゃないかと気遣っているようだ。
「ちゃんと里には辿り着いたよ。だけど僕とビリー兄さんとでは体格が違うだろう? だからビリー兄さんは自分が足手まといになると判断したんだ」
狐の姿になって走るのに、兄さんと同じ大きさになろうとしたが、兄さんがそれを拒んだ。
大人の姿になれるんだから、お前はその姿で走れと言われた。
その結果、兄さんは僕に追いつけずに少しずつ遅れていっては、僕が兄さんを待つという事が続いた。
肩で息をする兄さんに何度かヒールをかけてやる場面もあった。
兄さんにしてみれば僕と旅をすると言うことはテオ達とも旅をするという事だ。
テオ達は狼の獣人で僕よりも体格が大きいのはわかっている事だ。
僕と旅が出来ないのならば、テオ達とは尚更無理だろう。
それを実感したからこそ、里に残ると決意を固めたに違いない。
テオもある程度は感じとっていたのだろう。特に反論はしなかった。
「まあ、お前は大きさが変えられるがビリーは普通の狐の獣人だ。この先僕達と旅をするのは厳しいんじゃないかと思っていたんだ。だけど僕達からそれを告げていいものかどうか迷っていた。むしろビリーがそう決断してくれてホッとしているよ」
どうやらテオは僕とビリー兄さんが戻ってきたらビリー兄さんには同行を辞退するように告げるつもりだったようだ。
その場合、この家でビリー兄さんを預かるか、エリクの所に連れて行くか迷っていたらしい。
もっともエリクの所に連れて行くのはエリクが絶対に嫌がっただろうけどね。
ファビアン様とランベール様から連絡があるまではしばらくはここで待機する事になるらしい。
「立て続けにあちこち行ったからシリルも疲れているだろう。少しゆっくりするといい。王都を見て回りたいなら案内するよ」
テオはそれだけ言うと立ち上がり、僕の頭をポンポンと軽く叩くと部屋を出て行った。
一人部屋に取り残された僕はそのままゴロリとベッドに寝転んだ。
その途端にどっと疲れが僕の体に押し寄せてくる。
少しだけ目を瞑ったつもりが、気がついた時には既に朝になっていた。
ガバっと身を起こすと当時に部屋をノックする音に気付いた。
「はい」と返事をすると扉が開かれてテオのお母さんが顔を覗かせた。
「シリル、起きてる? 朝ご飯が出来てるけど食べるかしら?」
「はい、今行きます」
ベッドから下りて昨夜はお風呂に入っていない事を思い出し、クリーン魔法で体を綺麗にした。
食堂には既にテオとテオのお父さんが食卓に着いていた。
「おはよう、シリル。まだ寝てても良かったのに、母さんに無理矢理起こされたんだろ?」
「おはようございます。そんな事はありませんよ。ちょうど目が覚めたところだったので…」
それに後で一人で食事をするよりも、こうしてみんなで食卓を囲むのはやはり嬉しい。
家族を思い出してちょっとしんみりしてしまう事もあるけれど、とりあえずビリー兄さんを見つけられたのだから、きっとすぐにみんなに会えるはずだ。
僕は席に着くとひとときの楽しい時間を過ごした。
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