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23 旅路
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食堂を出た僕はそのまま町の外に通じる門を目指す。
ガヴエニャック王国との国境へはあと2つの町を通過しないといけない。
門で冒険者カードを提示するとすんなりと通して貰えた。
何処の町でも出て行くより入る方が審査が厳しかったりする。
何処の町だって問題を抱えているような人間を受け入れたくはないんだろう。
それに特に町中で問題も発生していなかったので尚更出て行くのに注意を払われなかった。
街道をしばらく進み、人目がないのを確認するとまた脇の茂みに身を隠して狐の姿へと変わる。
そのまま次の町に向かって走り出したが、やがて前方に魔獣がいるのに気付いた。
知らん顔して通り過ぎようかと思ったが、大して強くもないのがわかったので倒してしまう事にした。
ギルドに持っていけば多少は旅の旅費の足しになるだろう。
目の前に現れたのはイタチのような魔獣だった。
姿形はイタチにそっくりだが、鋭い爪と牙を持っていて僕を威嚇してくる。
僕も負けじと牙を見せて応戦すると、逃げ出すどころか飛びかかってきた。
好戦的な奴だが僕の相手では無かった。
あっと言う間に僕の牙の餌食になっていた。
ちょっと失敗したな。
狐の姿で戦ったはいいが、噛み付いて倒したせいで、口の周りから前足にかけて血だらけになってしまった。
血まみれになったところをクリーン魔法で綺麗にして獲物を亜空間にしまってから、また隣町に向かって走り出す。
今度は前方を馬車が走っているのが目に付いた。
さて、どうしよう。
このまま森の中を街道に沿って走ると、茂みを揺らす音が響いてしまう。
少し迂回をするように街道から外れた場所を走っていけば大丈夫かな。
その分、隣町に着くのが遅れるかもしれないが、仕方がないだろう。
僕は少しだけ森の奥に足を踏み入れると、そのまま森の中を走って行った。
その途中で出会った魔獣を倒したりしたので余計に時間がかかってしまった。
ようやく隣町の門に着いた時は辺りは暗くなり始めていた。
門の手前ギリギリまで狐の姿で走りながら、後は人間の姿になって全力疾走をした。
ようやく門に辿り着いた時には閉門作業をしている時だった。
「…っ、す、すみま…せん! 入れて…ください!」
息も絶え絶えになって門に駆け込むと閉門作業をしていた騎士が忌々しそうに舌打ちをした。
「なんだなんだ! ギリギリに入ってきやがって!」
「まぁ、待て。若いから冒険者になったばかりなんだろう。今日は特別に通してやるから次からは気を付けろよ」
もう一人の騎士が取りなしてくれたおかけで僕は町の中に何とか入れてもらった。
「あ、ありがとう…ございます。…ところで宿はどの辺りにありますか?」
何とか野宿を回避する事が出来てホッとしたが、宿に部屋はあるんだろうか?
門番に教えてもらった宿屋を訪ねたが、運良く部屋は空いていた。
宿を決めてから情報収集のために食事に行く事にした。
食堂は既に大勢のお客で賑わっていた。
しばらく待たされた後で、テーブルに案内される。
待っている間も人々の話に耳を傾けていたが、ガヴエニャック王国に関する話題は何もなかった。
あるにはあったが既に知っている話しか出てこなかった。
がっかりしつつもゆっくりと食事を終えて宿屋に戻る。
宿屋の中でも話を聞けるようにしようかと思ったが、聞きたくもないラブシーンなどが聞こえてきても困るのでそれは止めにした。
明日はいよいよ国境に近い町に着く。
絶対に何か情報が得られるはずだ。
僕は期待に胸を膨らませながら眠りについた。
ガヴエニャック王国との国境へはあと2つの町を通過しないといけない。
門で冒険者カードを提示するとすんなりと通して貰えた。
何処の町でも出て行くより入る方が審査が厳しかったりする。
何処の町だって問題を抱えているような人間を受け入れたくはないんだろう。
それに特に町中で問題も発生していなかったので尚更出て行くのに注意を払われなかった。
街道をしばらく進み、人目がないのを確認するとまた脇の茂みに身を隠して狐の姿へと変わる。
そのまま次の町に向かって走り出したが、やがて前方に魔獣がいるのに気付いた。
知らん顔して通り過ぎようかと思ったが、大して強くもないのがわかったので倒してしまう事にした。
ギルドに持っていけば多少は旅の旅費の足しになるだろう。
目の前に現れたのはイタチのような魔獣だった。
姿形はイタチにそっくりだが、鋭い爪と牙を持っていて僕を威嚇してくる。
僕も負けじと牙を見せて応戦すると、逃げ出すどころか飛びかかってきた。
好戦的な奴だが僕の相手では無かった。
あっと言う間に僕の牙の餌食になっていた。
ちょっと失敗したな。
狐の姿で戦ったはいいが、噛み付いて倒したせいで、口の周りから前足にかけて血だらけになってしまった。
血まみれになったところをクリーン魔法で綺麗にして獲物を亜空間にしまってから、また隣町に向かって走り出す。
今度は前方を馬車が走っているのが目に付いた。
さて、どうしよう。
このまま森の中を街道に沿って走ると、茂みを揺らす音が響いてしまう。
少し迂回をするように街道から外れた場所を走っていけば大丈夫かな。
その分、隣町に着くのが遅れるかもしれないが、仕方がないだろう。
僕は少しだけ森の奥に足を踏み入れると、そのまま森の中を走って行った。
その途中で出会った魔獣を倒したりしたので余計に時間がかかってしまった。
ようやく隣町の門に着いた時は辺りは暗くなり始めていた。
門の手前ギリギリまで狐の姿で走りながら、後は人間の姿になって全力疾走をした。
ようやく門に辿り着いた時には閉門作業をしている時だった。
「…っ、す、すみま…せん! 入れて…ください!」
息も絶え絶えになって門に駆け込むと閉門作業をしていた騎士が忌々しそうに舌打ちをした。
「なんだなんだ! ギリギリに入ってきやがって!」
「まぁ、待て。若いから冒険者になったばかりなんだろう。今日は特別に通してやるから次からは気を付けろよ」
もう一人の騎士が取りなしてくれたおかけで僕は町の中に何とか入れてもらった。
「あ、ありがとう…ございます。…ところで宿はどの辺りにありますか?」
何とか野宿を回避する事が出来てホッとしたが、宿に部屋はあるんだろうか?
門番に教えてもらった宿屋を訪ねたが、運良く部屋は空いていた。
宿を決めてから情報収集のために食事に行く事にした。
食堂は既に大勢のお客で賑わっていた。
しばらく待たされた後で、テーブルに案内される。
待っている間も人々の話に耳を傾けていたが、ガヴエニャック王国に関する話題は何もなかった。
あるにはあったが既に知っている話しか出てこなかった。
がっかりしつつもゆっくりと食事を終えて宿屋に戻る。
宿屋の中でも話を聞けるようにしようかと思ったが、聞きたくもないラブシーンなどが聞こえてきても困るのでそれは止めにした。
明日はいよいよ国境に近い町に着く。
絶対に何か情報が得られるはずだ。
僕は期待に胸を膨らませながら眠りについた。
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