23 / 57
23 魔力の訓練
しおりを挟む
午前中は光魔法と水魔法を交互に使って、庭園の花達を元気にしていったが流石に疲れた。
花が元気になるにつれて僕は疲労が溜まっていくのだ。
何度か回復薬を飲みながら魔法をかけていったが、甘味を貰えたのは最初だけだった。
「甘い物の取り過ぎは体に良くないから我慢しなさい」
ニッコリと笑って僕を突き放す母上だった。だったら最初から甘味なんて出さなければいいと思うんだけどね。
優しいんだか、厳しいんだかわからない人である。
側で見学していたシヴァがボソリと告げた。
「優しそうな顔をして結構なスパルタ教育だな。あの公爵にお似合いだ」
ヘトヘトになった頃にようやく終わりを告げられ屋敷の中に戻った。
ソファーでぐったりしていると、やがて昼食の支度が出来たと呼ばれた。
食堂に父上の姿は無く、長いテーブルの席についたのは僕と母上だけだった。
「母上。父上はどちらですか?」
不思議に思って尋ねると母上は何でもない事のように答えた。
「今日は王宮にお仕事に行かれました」
王宮で仕事?
そう言えば公爵家だとは聞いていたが、父上が何の仕事をしているのかは聞いた事が無かった。
「あの、父上は何の仕事をされているのですか?」
僕の質問に母上はしばらく目を瞬かせていたが、すぐに納得したように告げた。
「あら、アルフレッド様から聞いていないのね。アルフレッド様はこの国の宰相をなさってますよ」
宰相って事はこの国の国政に関わっているって事か。まぁ、公爵家という立場を考えれば当然なのかもしれないな。
「あの、もしかして僕は後を継がないといけないのでしょうか?」
恐る恐る母上に尋ねてみる。今まで孤児として生きてきた僕が、この先国政に関わる事が出来るのだろうか?
「さぁ、どうでしょう。それを決めるのはわたくしではありませんわ」
母上ににべもなく告げられる。
昼食を終えると母上にニッコリと告げられる。
「お昼からはしっかり体を休めなさいね。それと午後からは家庭教師の先生がいらっしゃるからしっかりお勉強なさい」
つまりお昼からは体を休めて頭を働かせなさいと言う事か。
僕には母上に逆らうという選択肢はない。有り難く受け止める事にしよう。
午後からは家庭教師の先生がやってきた。
少しお年を召した老婦人だった。
文字の書き取りを練習させられたが、綺麗な文字を書かないと何度もやり直しをさせられた。
この先生もなかなかに厳しい人だった。
この家はスパルタ教育者の集まりなんだろうか。
夕食時には父上も王宮から戻って来ていて、母上から僕の教育の進捗状態を聞いて満足そうにしていた。
翌日は土魔法の使い方を教えられた。
庭の片隅で地面を盛り上がらせたり、元に戻したりというものだ。
今まで使ったことのない魔法なので、使い方がわからずに苦戦していた。
もちろん、あの不味い薬も飲まされながらの特訓である。
午後からはまた別の家庭教師によって計算の授業が始まった。
これに関しては前世の記憶があるので難なくこなすことが出来た。
雷魔法についてはシヴァが相手を務めてくれた。
手のひらを天にかざして、空から雷を集める。
これってつまり電気ってことじゃないのかな。感電死したりしないんだろうか?
その辺りの原理が良くわからないが、とりあえず言われた通りに雷を集めて、それをシヴァにぶつける。
最も僕が出す雷なんて、シヴァには全く通用しなかったけれどね。
但し、闇魔法に関しては何故か教えて貰う事は無かった。
何でも闇魔法は教えられる者が限られているらしい。
学院に通うようになったら教えて貰えると言う事だった。
この国の学院は11歳から通うようになるそうで、学院に通うのは貴族と富豪だけと決まっている。
11 ~13歳までは初等科、14~16歳までは中等科、そして17~18歳は高等科でこれは貴族のみが通うようになるそうだ。
そうして母上とシヴァに魔力の訓練を受けながら、やがて僕は11歳を迎える年になった。
花が元気になるにつれて僕は疲労が溜まっていくのだ。
何度か回復薬を飲みながら魔法をかけていったが、甘味を貰えたのは最初だけだった。
「甘い物の取り過ぎは体に良くないから我慢しなさい」
ニッコリと笑って僕を突き放す母上だった。だったら最初から甘味なんて出さなければいいと思うんだけどね。
優しいんだか、厳しいんだかわからない人である。
側で見学していたシヴァがボソリと告げた。
「優しそうな顔をして結構なスパルタ教育だな。あの公爵にお似合いだ」
ヘトヘトになった頃にようやく終わりを告げられ屋敷の中に戻った。
ソファーでぐったりしていると、やがて昼食の支度が出来たと呼ばれた。
食堂に父上の姿は無く、長いテーブルの席についたのは僕と母上だけだった。
「母上。父上はどちらですか?」
不思議に思って尋ねると母上は何でもない事のように答えた。
「今日は王宮にお仕事に行かれました」
王宮で仕事?
そう言えば公爵家だとは聞いていたが、父上が何の仕事をしているのかは聞いた事が無かった。
「あの、父上は何の仕事をされているのですか?」
僕の質問に母上はしばらく目を瞬かせていたが、すぐに納得したように告げた。
「あら、アルフレッド様から聞いていないのね。アルフレッド様はこの国の宰相をなさってますよ」
宰相って事はこの国の国政に関わっているって事か。まぁ、公爵家という立場を考えれば当然なのかもしれないな。
「あの、もしかして僕は後を継がないといけないのでしょうか?」
恐る恐る母上に尋ねてみる。今まで孤児として生きてきた僕が、この先国政に関わる事が出来るのだろうか?
「さぁ、どうでしょう。それを決めるのはわたくしではありませんわ」
母上ににべもなく告げられる。
昼食を終えると母上にニッコリと告げられる。
「お昼からはしっかり体を休めなさいね。それと午後からは家庭教師の先生がいらっしゃるからしっかりお勉強なさい」
つまりお昼からは体を休めて頭を働かせなさいと言う事か。
僕には母上に逆らうという選択肢はない。有り難く受け止める事にしよう。
午後からは家庭教師の先生がやってきた。
少しお年を召した老婦人だった。
文字の書き取りを練習させられたが、綺麗な文字を書かないと何度もやり直しをさせられた。
この先生もなかなかに厳しい人だった。
この家はスパルタ教育者の集まりなんだろうか。
夕食時には父上も王宮から戻って来ていて、母上から僕の教育の進捗状態を聞いて満足そうにしていた。
翌日は土魔法の使い方を教えられた。
庭の片隅で地面を盛り上がらせたり、元に戻したりというものだ。
今まで使ったことのない魔法なので、使い方がわからずに苦戦していた。
もちろん、あの不味い薬も飲まされながらの特訓である。
午後からはまた別の家庭教師によって計算の授業が始まった。
これに関しては前世の記憶があるので難なくこなすことが出来た。
雷魔法についてはシヴァが相手を務めてくれた。
手のひらを天にかざして、空から雷を集める。
これってつまり電気ってことじゃないのかな。感電死したりしないんだろうか?
その辺りの原理が良くわからないが、とりあえず言われた通りに雷を集めて、それをシヴァにぶつける。
最も僕が出す雷なんて、シヴァには全く通用しなかったけれどね。
但し、闇魔法に関しては何故か教えて貰う事は無かった。
何でも闇魔法は教えられる者が限られているらしい。
学院に通うようになったら教えて貰えると言う事だった。
この国の学院は11歳から通うようになるそうで、学院に通うのは貴族と富豪だけと決まっている。
11 ~13歳までは初等科、14~16歳までは中等科、そして17~18歳は高等科でこれは貴族のみが通うようになるそうだ。
そうして母上とシヴァに魔力の訓練を受けながら、やがて僕は11歳を迎える年になった。
30
お気に入りに追加
1,376
あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。

幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅
散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー
2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。
人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。
主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる