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91 ハミルトンとの再会
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お兄様に女性を紹介して私に執着するのを阻止しようとしているはずなのに、いざそういう人が現れると面白くないと思うなんて、私はなんて欲張りなのかしら?
セシリアは確かに申し分ない女性だったわ。
凛とした美しさがあって、お兄様と並んで立っていても見劣りしない。
それなのにどうしてこんなにモヤモヤするのかしら?
自分の気持ちの整理がつかないまま、私はフォスター侯爵家のパーティーに出席した。
パトリシアが選んでくれた招待状の中にあった貴族で、侯爵の位では一番権力を持っている家だそうだ。
お兄様にエスコートされて会場の中に足を踏み入れると、確かにお金がかかっているのが伺われた。
今日はこのフォスター侯爵家の末娘の社交界デビューのお披露目らしい。
公式の場ではないので私とお兄様も王族としてではなく一貴族としての出席だ。
主役であるご令嬢が登場するまで、私達は他の貴族達と挨拶を交わしていた。
「セシリア嬢、君も来ていたんだね」
お兄様が挨拶に来ていた貴族の中からセシリアを見つけてニコニコと笑いかけている。
「ユージーン様、フェリシア様。お久しぶりでございます」
「お久しぶりです、セシリア様。今日の装いもとても素晴らしいですわ」
そう言いながら私はセシリアの髪飾りにお兄様の瞳の色が使われているのを見つけた。
「ああ、やはり良く似合っているな。この髪飾りにして良かったよ」
「恐れ入ります、ユージーン様。私もこの髪飾りはとても気に入っていますわ」
どうやらあの髪飾りはお兄様がセシリアに贈った物のようだ。
これ以上二人のそばにいるとあてられそうなので、ジワジワと二人から距離を取っていると向こうからハミルトンが近付いてくるのが目に入った。
「ハミルトン様」
思わず名前を呼ぶとハミルトンが嬉しそうに足を早めてきた。
「フェリシア様、お久しぶりです。お変わりありませんか?」
「ええ。それよりも助けていただいたにも関わらずお見舞いに行けなくてごめんなさい。お父様が許可してくださらなくて…。もう体調はよろしいんですか?」
お見舞いに行けなかった事を謝ると、ハミルトンは苦笑混じりに告げる。
「魔術師の方達のおかげで怪我は治っていましたからね。貧血をおこしていただけですから、すぐに回復しました。それよりもあの騒動で私とフェリシア様の婚約発表が出来なかったのが残念です」
え?
私とハミルトンの婚約発表?
そんな話は初めて聞いたんだけど…。
「私とハミルトン様の婚約発表ですか? 今初めて聞きましたわ」
私の発言にハミルトンは目をパチクリとした後、フイッと顔を逸らすとポツリと呟いた。
「…あの狸親父め…」
それが誰を表すのかは明白だ。
私の知らない所でハミルトンはお父様に私との婚約を取り付けていたのだろう。
だけどミランダによる騒動でお父様はこれ幸いと、ハミルトンとの婚約発表をスルーしたに違いない。
「申し訳ありません。まさかお父様が婚約発表を私に黙っていたなんて知りませんでしたわ」
「いや、フェリシア様は悪くありません。どうか謝らないでいただきたい」
ハミルトンは私を気遣ってくれるけれど、ますますお父様への不満が募るばかりだわ。
そのうちに主役であるフォスター侯爵家のご令嬢の登場となった。
皆が注目する中、扉が開いて父親らしき人物にエスコートされて、ご令嬢が姿を現す。
「フォスター家ご令嬢、アンジェリカ様のご登場です。皆様、拍手でお迎えください」
皆が拍手で迎える中を、父親に寄り添って現れたご令嬢は、私より少し年下の可愛らしい少女だった。
ゆっくりと歩きながら皆に笑顔を振りまいていた彼女は、私の近くまで来るとピタリと足を止めた。
「ハミルトンお兄様、いらしてたのね。ここからはハミルトンお兄様にエスコートしていただきたいわ」
そう告げると父親から手を離して強引にハミルトンの腕を組んで歩き出した。
ハミルトンも主役のご令嬢に恥をかかせるわけにはいかないのか、そのまま彼女と歩き出した。
私は呆然と二人が歩きだすのを見ていたが、不意にアンジェリカがこちらを振り返った。
アンジェリカは私と目が合うとニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。
セシリアは確かに申し分ない女性だったわ。
凛とした美しさがあって、お兄様と並んで立っていても見劣りしない。
それなのにどうしてこんなにモヤモヤするのかしら?
自分の気持ちの整理がつかないまま、私はフォスター侯爵家のパーティーに出席した。
パトリシアが選んでくれた招待状の中にあった貴族で、侯爵の位では一番権力を持っている家だそうだ。
お兄様にエスコートされて会場の中に足を踏み入れると、確かにお金がかかっているのが伺われた。
今日はこのフォスター侯爵家の末娘の社交界デビューのお披露目らしい。
公式の場ではないので私とお兄様も王族としてではなく一貴族としての出席だ。
主役であるご令嬢が登場するまで、私達は他の貴族達と挨拶を交わしていた。
「セシリア嬢、君も来ていたんだね」
お兄様が挨拶に来ていた貴族の中からセシリアを見つけてニコニコと笑いかけている。
「ユージーン様、フェリシア様。お久しぶりでございます」
「お久しぶりです、セシリア様。今日の装いもとても素晴らしいですわ」
そう言いながら私はセシリアの髪飾りにお兄様の瞳の色が使われているのを見つけた。
「ああ、やはり良く似合っているな。この髪飾りにして良かったよ」
「恐れ入ります、ユージーン様。私もこの髪飾りはとても気に入っていますわ」
どうやらあの髪飾りはお兄様がセシリアに贈った物のようだ。
これ以上二人のそばにいるとあてられそうなので、ジワジワと二人から距離を取っていると向こうからハミルトンが近付いてくるのが目に入った。
「ハミルトン様」
思わず名前を呼ぶとハミルトンが嬉しそうに足を早めてきた。
「フェリシア様、お久しぶりです。お変わりありませんか?」
「ええ。それよりも助けていただいたにも関わらずお見舞いに行けなくてごめんなさい。お父様が許可してくださらなくて…。もう体調はよろしいんですか?」
お見舞いに行けなかった事を謝ると、ハミルトンは苦笑混じりに告げる。
「魔術師の方達のおかげで怪我は治っていましたからね。貧血をおこしていただけですから、すぐに回復しました。それよりもあの騒動で私とフェリシア様の婚約発表が出来なかったのが残念です」
え?
私とハミルトンの婚約発表?
そんな話は初めて聞いたんだけど…。
「私とハミルトン様の婚約発表ですか? 今初めて聞きましたわ」
私の発言にハミルトンは目をパチクリとした後、フイッと顔を逸らすとポツリと呟いた。
「…あの狸親父め…」
それが誰を表すのかは明白だ。
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だけどミランダによる騒動でお父様はこれ幸いと、ハミルトンとの婚約発表をスルーしたに違いない。
「申し訳ありません。まさかお父様が婚約発表を私に黙っていたなんて知りませんでしたわ」
「いや、フェリシア様は悪くありません。どうか謝らないでいただきたい」
ハミルトンは私を気遣ってくれるけれど、ますますお父様への不満が募るばかりだわ。
そのうちに主役であるフォスター侯爵家のご令嬢の登場となった。
皆が注目する中、扉が開いて父親らしき人物にエスコートされて、ご令嬢が姿を現す。
「フォスター家ご令嬢、アンジェリカ様のご登場です。皆様、拍手でお迎えください」
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「ハミルトンお兄様、いらしてたのね。ここからはハミルトンお兄様にエスコートしていただきたいわ」
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ハミルトンも主役のご令嬢に恥をかかせるわけにはいかないのか、そのまま彼女と歩き出した。
私は呆然と二人が歩きだすのを見ていたが、不意にアンジェリカがこちらを振り返った。
アンジェリカは私と目が合うとニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。
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