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67 ダンスの練習
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私のお披露目の準備をすると言われたけれど、私が準備するのはお辞儀の仕方や優雅に見える立ち居振る舞いだ。
それと忘れてはならないのが、ダンスの練習だった。
ダンスなんて前世でも踊った事がないのにハードルが高すぎない?
しかもいわゆる社交ダンスだから、一人で踊るんじゃなくてパートナーがいるんだよね。
当然、あのお父様とお兄様が私のダンスの先生に男の人を連れて来るはずがなく、講師は女の先生だった。
「はじめまして、フェリシア様。この度ダンスの指導をさせていただくステラ・ベインズと申します。どうかよろしくお願いいたします」
お父様よりは少し年上のおっとりとした女性だった。
「はじめまして、フェリシアと申します。こちらこそよろしくお願いします」
おっとりとした優しそうな先生に見えたのだけれど、いざレッスンが始まってみると中々のスパルタぶりだったわ。
「背筋を伸ばして!」
「足元を見てはいけません!」
「微笑みを忘れてますよ!」
注意される度に「はいっ!」と返事はしても、思うように動けないわ。
「一旦、休憩にいたしましょう」
そう言われた時には私は息も絶え絶えだったわ。
冷たいジュースで喉を潤しながら、私はベインズ先生に話しかけた。
「講師を引き受けてくださってありがとうございます。お父様がご無理を言ったんじゃありませんか?」
女性のパート部分を教えるだけでなく、私と踊る時は男性パートを踊らなければならないのだから大変だろう。
それなのにベインズ先生はニコリと笑って首を振る。
「大丈夫ですわ。他にも女性講師でないと駄目だと言う父親がおられますからね。皆さん、ご自分の娘に他の男性を近付けさせたくないようですよ」
なるほど。
どこの父親も考える事は一緒、と言うわけね。
「それならば、自分で教えてあげればいいような気もするんですが…」
昼間は仕事があって無理でも、夜には教えてあげられそうなのに、どうしてそれをしないのかしら?
ベインズ先生はやれやれとばかりに肩をすくめた。
「一番の理由は娘さんに断られるのが怖いからみたいですよ。それに練習で踊っていると、いざパーティーの時には踊ってもらえなくなりそうなのが嫌みたいですね」
どこの世界でも娘が父親をうとましく思うのは一緒みたいね。
私の場合は、まだ会ったばかりの父親をうとましく思ったりはしないけどね。
生まれた時からずっと一緒に過ごしていたら、うとましく思っていたりいたのかしらね。
休憩を挟んでまたベインズ先生を相手にダンスを踊った。
こんなふうに身体を密着させて踊るのならば、父親とは踊りたくないと思っても無理もないかしらね。
夕食の席では当然、ダンスの事が話題に上がった。
「フェリシア、ダンスの練習はどうだった? 上手く踊れるようになったかい?」
お父様がどこか探るような視線を私に投げかけてくる。
「まだ始めたばかりですから、すぐには上達しませんわ」
「う、うむ、そうか。…ところで、フェリシア。お披露目パーティーでは、私と踊ってくれるかな?」
やっぱりお父様はそれが聞きたかったのね。
まだ正式な婚約者もいない状態なのだから、ダンスの相手はお父様かお兄様になるはずなのに、私に断られるかもしれないと思っているのかしら?
「私に婚約者がいない以上、ダンスの相手はお父様になるんでしょう? もちろんですわ」
お父様に向かってニコリと微笑んだら、お兄様の声が割り込んできた。
「フェリシア、僕もフェリシアと踊りたいんだ。いいだろう?」
お兄様なら絶対そう言ってくると思っていたわ。
「勿論ですわ、お兄様」
笑い返すとお兄様はニンマリと笑みを浮かべる。
二人のこの様子だとハミルトンはおろか、他の男性を近付ける事すら出来なくしそうだわ。
一波乱起こしそうな二人に私はげんなりとした。
それと忘れてはならないのが、ダンスの練習だった。
ダンスなんて前世でも踊った事がないのにハードルが高すぎない?
しかもいわゆる社交ダンスだから、一人で踊るんじゃなくてパートナーがいるんだよね。
当然、あのお父様とお兄様が私のダンスの先生に男の人を連れて来るはずがなく、講師は女の先生だった。
「はじめまして、フェリシア様。この度ダンスの指導をさせていただくステラ・ベインズと申します。どうかよろしくお願いいたします」
お父様よりは少し年上のおっとりとした女性だった。
「はじめまして、フェリシアと申します。こちらこそよろしくお願いします」
おっとりとした優しそうな先生に見えたのだけれど、いざレッスンが始まってみると中々のスパルタぶりだったわ。
「背筋を伸ばして!」
「足元を見てはいけません!」
「微笑みを忘れてますよ!」
注意される度に「はいっ!」と返事はしても、思うように動けないわ。
「一旦、休憩にいたしましょう」
そう言われた時には私は息も絶え絶えだったわ。
冷たいジュースで喉を潤しながら、私はベインズ先生に話しかけた。
「講師を引き受けてくださってありがとうございます。お父様がご無理を言ったんじゃありませんか?」
女性のパート部分を教えるだけでなく、私と踊る時は男性パートを踊らなければならないのだから大変だろう。
それなのにベインズ先生はニコリと笑って首を振る。
「大丈夫ですわ。他にも女性講師でないと駄目だと言う父親がおられますからね。皆さん、ご自分の娘に他の男性を近付けさせたくないようですよ」
なるほど。
どこの父親も考える事は一緒、と言うわけね。
「それならば、自分で教えてあげればいいような気もするんですが…」
昼間は仕事があって無理でも、夜には教えてあげられそうなのに、どうしてそれをしないのかしら?
ベインズ先生はやれやれとばかりに肩をすくめた。
「一番の理由は娘さんに断られるのが怖いからみたいですよ。それに練習で踊っていると、いざパーティーの時には踊ってもらえなくなりそうなのが嫌みたいですね」
どこの世界でも娘が父親をうとましく思うのは一緒みたいね。
私の場合は、まだ会ったばかりの父親をうとましく思ったりはしないけどね。
生まれた時からずっと一緒に過ごしていたら、うとましく思っていたりいたのかしらね。
休憩を挟んでまたベインズ先生を相手にダンスを踊った。
こんなふうに身体を密着させて踊るのならば、父親とは踊りたくないと思っても無理もないかしらね。
夕食の席では当然、ダンスの事が話題に上がった。
「フェリシア、ダンスの練習はどうだった? 上手く踊れるようになったかい?」
お父様がどこか探るような視線を私に投げかけてくる。
「まだ始めたばかりですから、すぐには上達しませんわ」
「う、うむ、そうか。…ところで、フェリシア。お披露目パーティーでは、私と踊ってくれるかな?」
やっぱりお父様はそれが聞きたかったのね。
まだ正式な婚約者もいない状態なのだから、ダンスの相手はお父様かお兄様になるはずなのに、私に断られるかもしれないと思っているのかしら?
「私に婚約者がいない以上、ダンスの相手はお父様になるんでしょう? もちろんですわ」
お父様に向かってニコリと微笑んだら、お兄様の声が割り込んできた。
「フェリシア、僕もフェリシアと踊りたいんだ。いいだろう?」
お兄様なら絶対そう言ってくると思っていたわ。
「勿論ですわ、お兄様」
笑い返すとお兄様はニンマリと笑みを浮かべる。
二人のこの様子だとハミルトンはおろか、他の男性を近付ける事すら出来なくしそうだわ。
一波乱起こしそうな二人に私はげんなりとした。
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