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55 商人との面会
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待っている事に退屈しかけた頃、扉をノックする音が聞こえた。
「はい」
「フェリシア様、アシェトン公爵家のパトリシア様がお見えです」
扉が開いてアガサが頭を下げる前を悠然とパトリシアが入って来た。
「お待たせいたしました、フェリシア様。アシェトン家のパトリシアでございます」
アガサがいるせいか、妙にかしこまった口調でパトリシアが私に挨拶をする。
「ようこそいらっしゃいました。本日はよろしくお願いいたします」
立ち上がってパトリシアを迎える。
今朝別れたばかりなのに、見知らぬ人達が多いこの王宮で、パトリシアの顔を見て妙に安心している自分がいる。
パトリシアに着席を促すと私の向かいにふわりと腰を下ろした。
もしかしたらハミルトンが一緒かもと思っていたが、どうやら一人で来たようだ。
「ハミルトン様はご一緒ではなかったんですね」
「連れて来られるわけがありませんわ。絶対にユージーン様と一悶着起こすのが目に見えていますもの」
…ですよねー。
「だからハミルトンには王宮に来る事は内緒で出て来ましたわ。今頃は私の代わりに仕事に追われているでしょうね」
ホホホッと楽しそうに笑うパトリシアに私は曖昧に笑ってみせた。
アガサが入れてくれたお茶を飲んでいると、「商人が到着しました」と他の侍女が知らせに来た。
パトリシアが私の隣に席を移動すると、アガサが商人を招き入れた。
「はじめまして、フェリシア様。ドレスの仕立てを行いますバクスター商会と申します。以後お見知りおきを」
最初に訪れたのは仕立て屋だった。
女性が二人、入室してきたが、どうやらパトリシアとは知り合いのようだ。
「パトリシア様もお久しぶりでございます。それでは早速ドレスのデザインについてお話をいたしましょう」
私はドレスの流行なんてまるきりわからないから、ほぼパトリシアに丸投げの状態だった。
デザインが決まると今度は採寸だ。
いつの間にか準備されていた衝立の陰で下着姿になって採寸をされた。
「二週間後にはフェリシア様のお披露目を行うと聞いております。それまでには仕上げてちょうだい」
お披露目?
そんな話は聞いていないんだけど、どうしてパトリシアが知っているの?
「承知いたしました。それでは来週には仮縫いが出来るようにしておきます」
仕立て屋が退室してホッとする間もなく、今度は宝石商が応接室に通された。
「お初にお目にかかります、フェリシア様。宝石商のオールストンと申します」
今度は男性二人がやってきた。
宝石商という割には何も持っていないんだけど、どうしてかしら?
不思議に思っていると、もう一人の男性が何も無いはずの空間からアタッシュケースを取り出した。
もしかして収納魔法?
そういう魔法を使える人がいるのね。ちっとも知らなかったわ。
そういえば私の部屋の本棚に魔法に関する本があったような…。
後で確かめてみなくちゃ。
もしかしたら私にも収納魔法が使えるかもしれないものね。
宝石商の男性は次から次へとアタッシュケースから宝飾品を取り出していく。
パトリシアは値段も聞かずにあれでもない、これでもないと宝石をよりわけていく。
まるで迷いがないから普段からそういう買い物の仕方をしているみたいね。
「フェリシア様。何かお気に入りの物はございますか?」
突然宝石商の男性に問われたけれど、特に気に入った物はない。
ただ正直に告げるわけにもいかないので、選ぶふりをしてあれこれ装飾品を見ていった。
それにしても収納魔法でどれだけの物が入るのかしら?
パトリシアが宝飾品を見終わる度にアタッシュケースが取り替えられていく。
最初は数を覚えていたけれど、そのうち面倒になって数えるのを止めた。
見ているだけで神経が疲弊していく中、ようやく最後のアタッシュケースが仕舞われた。
今、私の目の前に並べられているのはパトリシアが選んだ物ばかりだ。
「フェリシア様、こちらでよろしいでしょうか?」
これ全部買っちゃうの?
何回パーティーに出席しないといけないのかしらね。
「はい」
「フェリシア様、アシェトン公爵家のパトリシア様がお見えです」
扉が開いてアガサが頭を下げる前を悠然とパトリシアが入って来た。
「お待たせいたしました、フェリシア様。アシェトン家のパトリシアでございます」
アガサがいるせいか、妙にかしこまった口調でパトリシアが私に挨拶をする。
「ようこそいらっしゃいました。本日はよろしくお願いいたします」
立ち上がってパトリシアを迎える。
今朝別れたばかりなのに、見知らぬ人達が多いこの王宮で、パトリシアの顔を見て妙に安心している自分がいる。
パトリシアに着席を促すと私の向かいにふわりと腰を下ろした。
もしかしたらハミルトンが一緒かもと思っていたが、どうやら一人で来たようだ。
「ハミルトン様はご一緒ではなかったんですね」
「連れて来られるわけがありませんわ。絶対にユージーン様と一悶着起こすのが目に見えていますもの」
…ですよねー。
「だからハミルトンには王宮に来る事は内緒で出て来ましたわ。今頃は私の代わりに仕事に追われているでしょうね」
ホホホッと楽しそうに笑うパトリシアに私は曖昧に笑ってみせた。
アガサが入れてくれたお茶を飲んでいると、「商人が到着しました」と他の侍女が知らせに来た。
パトリシアが私の隣に席を移動すると、アガサが商人を招き入れた。
「はじめまして、フェリシア様。ドレスの仕立てを行いますバクスター商会と申します。以後お見知りおきを」
最初に訪れたのは仕立て屋だった。
女性が二人、入室してきたが、どうやらパトリシアとは知り合いのようだ。
「パトリシア様もお久しぶりでございます。それでは早速ドレスのデザインについてお話をいたしましょう」
私はドレスの流行なんてまるきりわからないから、ほぼパトリシアに丸投げの状態だった。
デザインが決まると今度は採寸だ。
いつの間にか準備されていた衝立の陰で下着姿になって採寸をされた。
「二週間後にはフェリシア様のお披露目を行うと聞いております。それまでには仕上げてちょうだい」
お披露目?
そんな話は聞いていないんだけど、どうしてパトリシアが知っているの?
「承知いたしました。それでは来週には仮縫いが出来るようにしておきます」
仕立て屋が退室してホッとする間もなく、今度は宝石商が応接室に通された。
「お初にお目にかかります、フェリシア様。宝石商のオールストンと申します」
今度は男性二人がやってきた。
宝石商という割には何も持っていないんだけど、どうしてかしら?
不思議に思っていると、もう一人の男性が何も無いはずの空間からアタッシュケースを取り出した。
もしかして収納魔法?
そういう魔法を使える人がいるのね。ちっとも知らなかったわ。
そういえば私の部屋の本棚に魔法に関する本があったような…。
後で確かめてみなくちゃ。
もしかしたら私にも収納魔法が使えるかもしれないものね。
宝石商の男性は次から次へとアタッシュケースから宝飾品を取り出していく。
パトリシアは値段も聞かずにあれでもない、これでもないと宝石をよりわけていく。
まるで迷いがないから普段からそういう買い物の仕方をしているみたいね。
「フェリシア様。何かお気に入りの物はございますか?」
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ただ正直に告げるわけにもいかないので、選ぶふりをしてあれこれ装飾品を見ていった。
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見ているだけで神経が疲弊していく中、ようやく最後のアタッシュケースが仕舞われた。
今、私の目の前に並べられているのはパトリシアが選んだ物ばかりだ。
「フェリシア様、こちらでよろしいでしょうか?」
これ全部買っちゃうの?
何回パーティーに出席しないといけないのかしらね。
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