91 / 93
91
しおりを挟む返事と言われると中々言葉が出てこなくなってしまうが、デートもやめなくてはいけないし、リーアスの返事もずっとうやむやにしていたのでニコル先生の事やトーイの告白は良いきっかけになったかもしれない。
「リーアスとはデートはこれで終わりにしたいんだ。それで結婚も……将来リーアスとは結婚するつもりはないよ」
「はっ??デートはもうダメなのは何でなんだ?あと、まだ結婚については俺は急いでないし、エネに結婚の返事を急がして無かっただろ?今決断する必要なんかないじゃないか?」
リーアスが焦って俺の両肩をつかんでこっちを見た。俺の方は何故が驚く事もなくなすがままにされているが……心は冷静でいた。
「うん。デートについてはリーアスも俺とデートしている事で一定の成果が出ていると思うんだ。
後の事はリーアスのこれからの行動が大事だと思う。それにもう俺は他の人に誤解されたくない」
「はあっ?別に誤解されたって良いだろう?本当になれば誤解じゃなくなるんだし。俺はこれからもエネとこうして一緒に会いたい」
「でも俺はもう誤解されたくないんだよ。リーアス分かって欲しい。もしまたデートする時は本当の時だ」
「………分かった。それがエネの望みなら仕方がない。だけど結婚は?今決断しなくても良いんだ!!」
「うん……でも曖昧じゃなくて一度返事をしたいと思ったんだ。俺もリーアスも先に進む為に……俺リーアスとは結婚は考えられないよ。……ごめん」
「そんな!!」
俺の両肩にぐぐっと力を込められた。
「ウソだ!!お前誰かに脅されるとかないか?それとも騙されてないか!!なあっ!!」
両肩が痛い!!
「リーアス肩が痛いよ!!あのねー誰にも脅されてもいないし、誰にも騙されていないよ。
リーアス……今思ったんだけど、今俺はリーアスに脅されているし、騙されている気がする……」
「はあっ!!何言ってるんだよ。エネの事をこんなに好きで好きで仕方がないのに騙している訳ないだろう?」
「…………リーアス!!……初めて俺の事好きって言ってくれた……」
「はあ?……いつも言ってただろう?」
「ううん……初めて聞いた……」
「そうだったか?俺はいつも言ってたぞ!!」
「…………俺はリーアスが俺の事を好きじゃ無いまま結婚を迫られていると思っていたんだ」
「あのなー好きじゃない相手に結婚したいとか言う訳ないだろう?貴族でもあるまいし。
エネの事が好きで将来はエネと結婚したいと思っている。エネはまだ誰かを好きと思った事がないかもしれないが……俺と結婚したら田舎も一緒だし、俺の両親もミネラおばさんも安心するぞ。ここを卒業したら一緒に田舎町に帰ろうぜ!!」
「えっ?リーアスは王都騎士団に入るつもりじゃなかったのか?」
「ああ……俺はエネがいればどっちでも良いんだ。すぐに田舎に帰れるって訳には行かないかもしれないけど、最初は王都騎士団に入ってそれから父さんみたいに、田舎町にエネと帰るのも良いなと思っている。だから気長に返事を待たせて欲しい。俺の気持ちは変わらないけどな!!」
「…………」
「エネ、肩を強く掴んでごめんな。さってとっ!エネからの返事を今貰うと悪い返事しか返ってこなさそうだからもう帰るわ。デートをしないのも分かった。これからは俺自分で断るよ。今まで有難うなエネ!!次に会いたい時には校舎の伝言で頼む」
「リーアス……」
「エネ、じゃあな」
「ああ……またね!」
「おうっ!!」
リーアスとは思っていたより呆気なくデートが終わった。リーアスに協力するつもりで一緒にデートを重ねたけれど、確かに俺だって楽しかった事もあった。
カネレのお店も美味しかった。王都に来てからやりたい事が全部できたのはリーアスのお陰だったのだから。
それで……多分リーアスに初めて告白された。結婚も断ろうと思っていたのにちゃんと返事が出来なかったな。
リーアスは本当に俺の事を好きだったんだ。俺から確認しても良かったけれど、臆病な俺はどうしても自分から確認する事が出来ないでいたんだ。
そしてリーアスも……将来の事を考えていた。
その将来には俺と自分の親と俺の親の事までいる世界を描いている。
22
お気に入りに追加
912
あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。


オメガに転化したアルファ騎士は王の寵愛に戸惑う
hina
BL
国王を護るαの護衛騎士ルカは最近続く体調不良に悩まされていた。
それはビッチングによるものだった。
幼い頃から共に育ってきたαの国王イゼフといつからか身体の関係を持っていたが、それが原因とは思ってもみなかった。
国王から寵愛され戸惑うルカの行方は。
※不定期更新になります。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!

神子様のお気に入り!
荷稲 まこと
BL
異世界に召喚された主人公、百瀬瑠衣。
そこは女性が存在しないBLゲームの世界だった。
『神子様』と呼ばれイケメンたちにちやほやされる瑠衣であったが、彼はどうも不満そうで…。
長編の合間の息抜きに書きました。
ふわっと設定なのでふわわっと読んでください。
すけべシーンには※が付いてます。

王子様のご帰還です
小都
BL
目が覚めたらそこは、知らない国だった。
平凡に日々を過ごし無事高校3年間を終えた翌日、何もかもが違う場所で目が覚めた。
そして言われる。「おかえりなさい、王子」と・・・。
何も知らない僕に皆が強引に王子と言い、迎えに来た強引な婚約者は・・・男!?
異世界転移 王子×王子・・・?
こちらは個人サイトからの再録になります。
十年以上前の作品をそのまま移してますので変だったらすみません。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる