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しおりを挟む返事と言われると中々言葉が出てこなくなってしまうが、デートもやめなくてはいけないし、リーアスの返事もずっとうやむやにしていたのでニコル先生の事やトーイの告白は良いきっかけになったかもしれない。
「リーアスとはデートはこれで終わりにしたいんだ。それで結婚も……将来リーアスとは結婚するつもりはないよ」
「はっ??デートはもうダメなのは何でなんだ?あと、まだ結婚については俺は急いでないし、エネに結婚の返事を急がして無かっただろ?今決断する必要なんかないじゃないか?」
リーアスが焦って俺の両肩をつかんでこっちを見た。俺の方は何故が驚く事もなくなすがままにされているが……心は冷静でいた。
「うん。デートについてはリーアスも俺とデートしている事で一定の成果が出ていると思うんだ。
後の事はリーアスのこれからの行動が大事だと思う。それにもう俺は他の人に誤解されたくない」
「はあっ?別に誤解されたって良いだろう?本当になれば誤解じゃなくなるんだし。俺はこれからもエネとこうして一緒に会いたい」
「でも俺はもう誤解されたくないんだよ。リーアス分かって欲しい。もしまたデートする時は本当の時だ」
「………分かった。それがエネの望みなら仕方がない。だけど結婚は?今決断しなくても良いんだ!!」
「うん……でも曖昧じゃなくて一度返事をしたいと思ったんだ。俺もリーアスも先に進む為に……俺リーアスとは結婚は考えられないよ。……ごめん」
「そんな!!」
俺の両肩にぐぐっと力を込められた。
「ウソだ!!お前誰かに脅されるとかないか?それとも騙されてないか!!なあっ!!」
両肩が痛い!!
「リーアス肩が痛いよ!!あのねー誰にも脅されてもいないし、誰にも騙されていないよ。
リーアス……今思ったんだけど、今俺はリーアスに脅されているし、騙されている気がする……」
「はあっ!!何言ってるんだよ。エネの事をこんなに好きで好きで仕方がないのに騙している訳ないだろう?」
「…………リーアス!!……初めて俺の事好きって言ってくれた……」
「はあ?……いつも言ってただろう?」
「ううん……初めて聞いた……」
「そうだったか?俺はいつも言ってたぞ!!」
「…………俺はリーアスが俺の事を好きじゃ無いまま結婚を迫られていると思っていたんだ」
「あのなー好きじゃない相手に結婚したいとか言う訳ないだろう?貴族でもあるまいし。
エネの事が好きで将来はエネと結婚したいと思っている。エネはまだ誰かを好きと思った事がないかもしれないが……俺と結婚したら田舎も一緒だし、俺の両親もミネラおばさんも安心するぞ。ここを卒業したら一緒に田舎町に帰ろうぜ!!」
「えっ?リーアスは王都騎士団に入るつもりじゃなかったのか?」
「ああ……俺はエネがいればどっちでも良いんだ。すぐに田舎に帰れるって訳には行かないかもしれないけど、最初は王都騎士団に入ってそれから父さんみたいに、田舎町にエネと帰るのも良いなと思っている。だから気長に返事を待たせて欲しい。俺の気持ちは変わらないけどな!!」
「…………」
「エネ、肩を強く掴んでごめんな。さってとっ!エネからの返事を今貰うと悪い返事しか返ってこなさそうだからもう帰るわ。デートをしないのも分かった。これからは俺自分で断るよ。今まで有難うなエネ!!次に会いたい時には校舎の伝言で頼む」
「リーアス……」
「エネ、じゃあな」
「ああ……またね!」
「おうっ!!」
リーアスとは思っていたより呆気なくデートが終わった。リーアスに協力するつもりで一緒にデートを重ねたけれど、確かに俺だって楽しかった事もあった。
カネレのお店も美味しかった。王都に来てからやりたい事が全部できたのはリーアスのお陰だったのだから。
それで……多分リーアスに初めて告白された。結婚も断ろうと思っていたのにちゃんと返事が出来なかったな。
リーアスは本当に俺の事を好きだったんだ。俺から確認しても良かったけれど、臆病な俺はどうしても自分から確認する事が出来ないでいたんだ。
そしてリーアスも……将来の事を考えていた。
その将来には俺と自分の親と俺の親の事までいる世界を描いている。
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