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「最近ニコル先生の体調が戻ったんだ!エネも心配してあの日先生に言ってくれたんだよね!!有難う!!」
ワンスター薬局でトーイが嬉しそうに教えてくれた。
ニコル先生がやっと休暇願いを出してくれて開発部門で働いている人達もとても安心したそうだ。
そしてまた精力的に開発を進めているが、もう睡眠時間は確保したいと遅くまで続けずに帰るらしい。
「それは良かったよ。俺もあの時は心配していたから」
「それでね、赤内傷の内服薬もほぼ完成しているし、今は実証実験中だから先生が大変だった時からは脱したから安心してよ」
「分かった。先生は本当に凄い人だよね……」
先生はそんな凄い人なんだよ。俺はそんな先生に告白されて舞い上がっているが……自分と比較したらダメだけど……卑屈になってしまうよなぁ……
「どうしたのエネ。そんなに暗い顔してさ……何かあったかい?」
トーイに顔が暗いと言われてしまった。そんなに俺の気持ちが今顔に出てた?でもトーイにちょっと聞いて見たい
「トーイ、もしさ……自分の身の丈に合っていないと思う相手を好きになってしまったらどうする?」
俺がそう言ったらトーイは何故だかとても驚いてこちらを見ていた
「エ、エネ……それって恋の悩み相談なの?!エネは、エネは好きな人ができたのかい?」
「いや……そう言う訳じゃあーないんだけど……トーイだったらどうするのかなっと思って……」
「エネに何かが起きたんだね。うーん……僕だったらかー……そういう事はエネにアドバイスしたくないなぁ。だってエネがその思う人と上手くいったら嫌だもん。僕に相談して来た時点で僕じゃ無いし!!!」
トーイは何やら俺の言葉で間に障ったのかプリプリしている。
「ええっ!!好きな人だなんてまだ分からないじゃないか!!トーイは意外と意地悪な所があるんだね!!」
「エネ、ウソだよ!!じゃあエネ、今日店が終わったら、ちゃんと話したいから今日はエネの家まで送っていいかい?」
「うんいいよ。トーイは遠回りになっちゃうけど良いのかい?」
「全然いいよ。じゃあ今日は一緒に帰ろう」
帰り道、俺の相談に乗ってくれると思っていたトーイはその話をしないで薬局の話をしている。
俺も勉強の為に土曜日だけ店長代理をさせて貰っているせいか、お店の売上や利益率、薬品の消費期限や売れなかった薬品の廃棄にかかる費用とか……お店1つ経営するにも色々大変なんだと話し合った。
経営を勉強しているトーイに「1店舗だけでも大変だよね」と言ったら、トーイが急に立ち止まって言った。
「だからエネみたいな信頼できる人間が必要なんだ!!エネ……うちのお店をこれからも僕と一緒にやってくれないだろうか?」
「うん?勿論だよ!!これからも宜しくね!!」
と言ったらトーイは黙って下を向いてしまった。あれっ?俺何かおかしい事言ったかな……
「トーイどうしたの?俺何かおかしな事言ったかい?」
「そうか。分かっていたけどエネにはしっかり言わないと伝わらないな……エネ!!」
トーイがいきなり俺の両手を持った。
「僕はね、エネの事が好きなんだ。将来は一緒にこの薬局を盛り立ててやっていきたいと思っているんだ。僕が先に卒業するから……頑張って経営の勉強するよ。
それで、エネが卒業したら……結婚を申し込みたい。だから結婚を前提に付き合って欲しい」
「へっ……ト、トーイ……俺の事好きって」
「ああ、エネの事が大好きだよ。最初に薬剤学部の教室でエネと出会った時から大好きだったんだ。エネと一緒に勉強できたお陰で俺も頑張れて薬剤師になれたと思っているよ。君と一緒にいると僕も力が湧いてくるんだ」
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