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しおりを挟む先生が俺の話を遮って話を重ねた。そして話し始めた。
「まずよく考えて見て欲しい。エネの基準で私と恋人になる相手となるならどういう人になるの?」
先生はそんな質問を俺に投げかけた。そりゃ先生はこの国でも数人しかいない上級薬剤師で、学園の教授で、薬局の監修も行っていて……スーパースターだし……
「そうですね……先生ほどの方ならお、王族とか……高位貴族のお嬢様とかでしょうか……」
「ふむ……エネはそう思うんだね。私はね、自分で言うのも何だけど地位も名誉もあるしね、だけどそういう物を持てば持つほど相手の選択肢が狭くなるっておかしな話にならないかい?」
「えっ……でも……先生には沢山守る物があって……」
「ないよ!!」
「せ、先生!!何でそんな事を言うんですか!!先生は……先生には沢山あります。それを自分の恋愛の為に捨てる事になっても良いんですか?大切な家族だっているじゃないですか?もしそれが俺のせいで失うのでしたら、それはお互い不幸になるだけなんですよ!!」
先生は頭が良いのだから、俺に告白なんかする前に俺と恋人になったらどうなるか色んな展開を考えている筈だ。
だから…先生は自分の家族を捨てるつもりなのか?……他の貴族達が先生や俺の事をどう思うのか……平民の俺と恋人になろうとか本気で思っているのだろうか……
「エネ、そんな事はないんだ。それに私の家族はもう私がエネの事が好きなのは知っているし、上手くいった時の許可もとってあるからエネが私の家族を心配する必要はない。それに私の家族はエネの事を嫌っていないし歓迎しているよ。前にも言ったが私の家族は……今でもエネとの食事の事を謝りたいと言っている。それに……」
「そ、それに……?」
「私はあの家を出た。侯爵家は兄が継ぐ予定だったしね。それで私は自分で伯爵の爵位を賜っているから伯爵家を興したんだ。だから自分の代で興した物だから自分で閉じたって良いだろう?まあ今の処はそうはならないけど。今は1人で住んでいるんだよ。だから私が貴族という事でエネの対象から除外するのはやめて欲しい」
「…………」
先生は本気なんだ……本気で俺の事を真剣に考えているんだ。
「でも先生は教授で先生でもあるんですよ。それにトーイの薬局の監修まで行っていて……」
「うん、そうだね。エネ、でもね……そんな事言ってたら私はいつまで経っても恋人もできないし結婚も出来なくなってしまう」
先生は少し困ったように言った。
「ところでエネは私の心配をしてくれているけど、エネの気持ちはどうなのかな?」
「……俺の気持ち?」
「正直エネの気持ちが私に向けてくれるならエネが心配している問題は解決できるんだ。私の事を尊敬しているのは知っているけど、エネは私の事を恋愛の目線では考えてくれない?私に対して性的に興奮するような要素は持ち合わせていないかい?」
自分が先生に対して今まで恋愛の目線では考えた事が無かった……。確かに先生は美人だし素晴らしい人だけど……。
「先生は美人ですし、ドキドキしてしまいますけど……先生は俺にとって尊敬する偉大な先生で、俺の感情を先生に向けるなんて身の程知らずだと思っていましたから……」
「じゃあ恋愛はこれから考えるとして……性的には?エネにとって私は性的に興奮した事はあるかい?」
ひゃえっ!!先生に興奮だなんておこがましいのに!!でも俺のついこの間の事じゃないか!!
どう言えば良いのか……えっと……もしかして先生は寝ていたにもかかわらず俺が先生に興奮した事はお見通しなのか?!
正直に答えたら……先生にいやらしい目で見ていた事になってしまう……だからといってウソを言ってバレたら嫌だし、困った……
「先生の事を性的に興奮した事があるかとの問いには……ニコル先生の生徒である俺には答える事自体が難しいです。ただ先生はとても美人だし優しくて、先生が迫って来たら誰でも危ないと思います」
「それは!!エネもかい?」
「はい……それはもう完全に」
「フッそうかい!!ふふっ私は初めて私で良かったと思った瞬間だな」
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