上 下
84 / 93

84

しおりを挟む
今日は寝不足にも関わらず、眠くならずに授業を受ける事ができた。
予習がしっかり出来ていたせいか、防衛、結界魔法の授業ではおじいちゃん先生に大いに誉められた。

「エネさん良く出来ました!この防衛魔法は相手の攻撃魔法を瞬時に解読した上で魔法をかけたので相手にとっては同じ防衛魔法でも強固に感じる事でしょう!」

おじいちゃん先生であるシュマロン先生は相変わらず俺の事を女の子だと思っていて、女の子がいる授業はご機嫌に授業をする先生……。一緒に受けている学生は全員男だったので、俺が女の子と勘違いしていてくれる方が授業が受けやすいと思っているのか、何も言わないでいてくれる。

無言の仲間意識よ有難う!!

授業後は近所の食器屋さんに食器を買いに行った。
実は俺の家は誰も来る予定のない家だと思っていたので食器は全て1人分しか無かった。だから今日の朝は先生に俺がいつも使っているお茶碗やお椀を使って貰い、俺はどんぶりと小鉢で食べたのだ。

お店で先生のお茶碗とお椀と湯呑みも買った。
それにしても、俺もバイトのお給金で随分と生活に余裕が出てきたなあ。見習いも取れた分、もう少しお給金が貰えるようになったお陰でその分は貯蓄にまわせるようになったし。ふふっ

帰ってからは流石に眠くなったので眠る事にして、朝早く起きて授業の予習と朝御飯の準備をしていたら「トントン」とドアの方から音がした。先生だ!!

「はーい、先生!!おはようございます!!どうぞ入って下さい!」

「おはよう!エネ。今日もお世話になるね!」

先生はとっても元気になって笑顔も見せていた。体調も良さそうでホッとする。

「先生、体調はもう大丈夫なんですか?」

「ああ、エネのお陰で何とも無かったよ。昨日は久しぶりにゆっくり寝たからもう大丈夫だ。心配させてしまって悪かったね」

「いいえ!!先生がご無事で本当に良かったです!!先生も無理したら倒れてしまうんですからこれからは気をつけてくださいね。先生、どうぞ此方に座って下さい。今朝御飯の用意をします!」

「ああ、有難う、ちょっとエネの本棚を見せて貰っても良いかい?」

「はい!!あっ……でもニコル先生なら必ず見た事がある教科書とか、参考書とか……後は俺のノート位しかないですけど」

「構わないよ。とても興味深い」

そう言ってニコル先生は嬉しそうに本棚を物色し始めた。先生って本当に勉強の鬼だなぁ。ニコル先生の興味を引くような物は俺の本棚には何もないけど、朝御飯の用意ができる間に間が持って良かった。今の内に用意をしてしまおう。

「先生、出来ましたよー!座って下さい」

先生は最初本棚から俺のノートを一冊取り出して座ってノートをめくっていたが、どこに興味があるのか知らないけれど、立ち上がって本棚の前から動かなくなっていた。大体は俺の各授業をまとめたノートをじっと見ていた。

「エネ有難う。今日もとっても美味しそうだ。あれっ?食器を変えたのかい?」

「そうなんです!昨日の食器は俺がいつも使っていた食器なので、先生の食器を昨日購入して来ました!……気に入らなかったですか?」

「いや、気に入らないとかないよ。私の為に食事も用意してお金を使わせてしまったんだね……」

先生は申し訳なさそうな表情をしていたけど、先生!!心配いらないですよ!!

「先生!何言っているんですか!!先生は倒れられたんですよ!!俺のお金の事は気にしないで下さい。それに俺をあんまり見くびらないで下さいね。これでも俺はバイトも続けていて見習いも取れて今は少しですが貯蓄が出来ているんです!!」

俺は自信満々にそう言ったらニコル先生はとても驚いた表情をして、それから破顔して喜んでくれた。

そうなのだ!!俺は今少しだけ貯蓄が出来るぐらいバイトのお給金が入っているし、贅沢をしなければお金には困らない生活が出来る様になったのだ。


「そうか。本当にエネは頑張っているね!」


「はい、先生の生徒として恥じないよう頑張ってますからね!さあ、冷めないうちに食べましょうか!」

そう言って俺はお決まり手順でかき混ぜると、先生もやっぱり躊躇なく同じ事をやってくれるからマナーの悪い事をさせてしまって悪いと思いつつ、個人的には嬉しい気持ちもあった。

「本当にこの「ねこまんま」は美味しいよ」

先生は昨日初めて食べた食べ物に対して少し感慨深くそう言った後は勢いよくパクパク食べていた。


「先生にそう言って貰えて俺も嬉しいです」


俺も嬉しくて先生についニコっと笑顔を振りまくと、先生はじっと俺を見つめていた。



「エネに聞きたい事があるんだが、今付き合っている人や恋人がいるんだろうか?」
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

【完結】この手なんの手、気になる手!

鏑木 うりこ
BL
ごく普通に暮らしていた史郎はある夜トラックに引かれて死んでしまう。目を覚ました先には自分は女神だという美少女が立っていた。 「君の残された家族たちをちょっとだけ幸せにするから、私の世界を救う手伝いをしてほしいの!」  頷いたはいいが、この女神はどうも仕事熱心ではなさそうで……。  動物に異様に好かれる人間っているじゃん?それ、俺な?  え?仲が悪い国を何とかしてくれ?俺が何とか出来るもんなのー?  怒涛の不幸からの溺愛ルート。途中から分岐が入る予定です。 溺愛が正規ルートで、IFルートに救いはないです。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

美醜逆転の世界で推し似のイケメンを幸せにする話

BL
異世界転生してしまった主人公が推し似のイケメンと出会い、何だかんだにと幸せになる話です。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

王子の宝剣

円玉
BL
剣道男子の大輔はあるとき異世界に召喚されたものの、彼がそこに召喚されたこと自体が手違いだった。 異世界人達が召喚したかったのはそもそもヒトでは無かった。 「自分なんかが出てきちゃってすんません」と思って居たが、召喚の儀式の中心人物だったエレオノール王子は逆に彼を巻き込んでしまったことに責任を感じて・・・ 1話目の最初の方、表現はザックリ目ですが男女の濡れ場が有りますので、お嫌いな方は避けてください。   主に攻め視点。攻め視点話の率が少なめに感じたので自力供給する事にしました。 攻めは最初性の知識がほとんどありません。でもきっと立派にやり遂げます。 作者は基本甘々およびスパダリ、そしてちょっと残念な子が好きです。 色々と初心者です。 R-18にしてありますが、どのレベルからがR-15なのか、どこからがR-18なのか、いまいちよくわかってないのですが、一応それかなと思ったら表示入れておきます。 あと、バトル描写の部分で、もしかすると人によってはグロいと感じる人が居るかも知れません。血とか内臓とか欠損とか苦手な方はご注意ください。魔獣なら大丈夫だけど対人間だと苦手だという方もご注意ください。ただ、作者自身は結構マイルドな表現にしているつもりではあります。 更新は不定期です。本業が忙しくなると暫くあいだがあいてしまいます。 一話一話が文字数多くてスミマセン。スマホだと大変かと思いますがこれが作者のペースなもんで。

宰相閣下の絢爛たる日常

猫宮乾
BL
 クロックストーン王国の若き宰相フェルは、眉目秀麗で卓越した頭脳を持っている――と評判だったが、それは全て努力の結果だった! 完璧主義である僕は、魔術の腕も超一流。ということでそれなりに平穏だったはずが、王道勇者が召喚されたことで、大変な事態に……というファンタジーで、宰相総受け方向です。

処理中です...