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しおりを挟むわああっー
教えておいてなんだけどこんなお行儀の悪い食べ方を高貴な貴族の先生に教えてしまって昨日の先生に対する俺の邪な気持ちも含めて背徳感が半端ない。
そして先生はそのまま迷いなく食べた……が、手が止まってしまった。
しかも先生が涙目になっているぞ!!ヤバい!!
あーあ、やっぱりこんな食べ物教えるんじゃなかったかも……。
「あのっ先生無理しないで下さい!!……こんな食べ物を紹介してしまってすみません」
「これは……美味しいな」
「えっ?」
「初めて食べたが、とても美味しい」
先生は本当に言ってる?俺に気を使って無理してないかな……?
でもその割には手と口が止まらずにパクパク食べているから……
「本当ですか!!嬉しいです。猫獣人が好き過ぎる食べ物という事でこれを別名「ねこまんま」と言われる事もあるそうですよ」
「そうか、こんなに美味しい食べ物を私は今まで知らなかったんだな」
「ははは……先生が知らなくて当然です。この食べ物は世間ではお行儀が悪い食べ物だと言う事なので先生の家や周りでは用意しないのでしょう。俺も行儀が悪いと知っているので、家で1人ご飯を食べる時だけこのご飯を食べています」
先生はまじまじと「ねこまんま」を見ていたと思ったら俺が食べるより早く食べ終わっていた。
昨日の夜からお食事もできずに寝てしまっていたからお腹が空いていたのもあると思うけれど……俺の作ったご飯を食べてくれて嬉しい!!
「また……食べたい」
先生がボソッと呟いた。多分俺に聞かれなくても良いくらいの小さな声だったけどバッチリ聞こえましたよ!!
「先生、その食べっぷり!!そんなに気に入ったんですね!!ふふっ良いですよ。俺が作る「ねこまんま」で宜しければまた食べに来て下さい!!
お恥ずかしながら、朝はいつも「ねこまんま」を作っているんですよ」
先生が俺のご飯を本当に気に入ってくれたみたいで嬉しくなってしまい、俺のテンションが上がってしまった。
先生はの話を聞きながらじっと俺を見ている。
「朝食べに来るよ」
先生が俺を見ながら真剣な表情でそう言った。えっ?自分で先生に食べに来て下さいとは言ったものの……だって「ねこまんま」ですよ。毎日同じご飯で、先生の家のお食事とは全く違うお行儀の悪いご飯なのに……
「えっ??本当に先生は言っているんですか??俺は良いですけど……えっ??」
「エネ、今日は本当に助けてくれて有難う。私はやはり疲れていたようだ。これから各所に連絡をして一週間程休もうと思っている」
「ああ、先生お休みになられるなら良かったです。トーイは先生の研究の様子を知っていた分余計に心配していましたし」
「……明日の朝も食べに来て良いだろうか?」
「勿論ですよ。先生の体調が良ければですけど……でも俺の朝ご飯は……ほとんど今日と同じ物なのですが……本当に俺の朝ご飯で良いんですか?」
「ああ、エネの料理なら何でも食べれると思うが、「ねこまんま」が良いんだ。私の家ではエネの味は再現して貰えそうになさそうだからね」
そう言われてしまってちょっと恥ずかしくなった。そうだよね。先生の周りにこんなご飯を作る人なんがいないさ。でも先生が気に入ってくれたんなら俺も「ねこまんま」を教えた責任があるし、先生が飽きるまで食べて貰おう!!
「分かりました。!!先生が食べたいなら明日もいらして下さい。はははっ先生に「ねこまんま」を教えた責任もありますので、先生が飽きるまでは作らせて貰います」
「……ずっと……飽きない……ずっとだ……」
「えっ……?」
「いや……エネすまないが、家の者が心配しているだろうから先に失礼するよ。エネ、本当に助けてくれて有難う。明日も……朝来るから。エネも今日の授業頑張ってね」
「先生分かりました。先生も体調に変化がありましたら無理せず病院に行って下さいね。俺も今日の授業頑張りますから」
「じゃあエネまた明日」
「はい。先生また明日に」
そう言って先生は帰って行った。
はー昨日は先生が倒れてしまったけれど、一眠りしたら元気そうになって本当によかった!!
それに先生が俺のご飯美味しいだってふふっ
沢山食べてくれて……あのニコル先生が「ねこまんま」ご飯を俺と同じ様にかきこんで……くっくっ
明日も来てくれるんだ!!
全然寝てなかったけれど、嬉しくて嬉しくて今日の授業も頑張れそうだ!!
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