75 / 93
75
しおりを挟む「あははっトーイに心配されるとはね。もう少しで完成するからワクワクして検証を続けてしまってね、気づいたら睡眠時間が無くなっている事が多いんだよねー」
ニコル先生は笑いながら話しているけど、笑うと隈がもっと目立ってしまっている……
それにしても赤内傷の内服薬が完成したら凄い事だ。
今までならポーションか効かない人に対して抗生剤を毎日病院で注射するしか無かったのが、経口摂取できるならわざわざ療養中の患者を無理させて病院に連れて行かなくても良くなるんだもんな。
患者や家族の負担が随分軽減されるだろう……ニコル先生は本当に凄い!!
「トーイとエネの仕事が慣れて来ただろうから、そろそろ様子を見に来たんだよ。でも2人の様子を見ると上手くやっているみたいだね。後から奥にいるランド店長にも会っていくね」
「はい!!やっと俺も見習いじゃなくなりまして、お店の対応も最初に比べたら慣れてきました」
「先生、僕はこの支店と、今は経営の勉強を少しやってます」
「そうか!!エネもトーイも頑張っているね!!じゃあ……ランド店長は調合室でしょう?奥に行かせてもらうね」
そう言ってニコル先生は店の奥に入って行った。
ワンスター薬局の監修をしているニコル先生は中級薬剤師を目指しているランド店長の勉強の進行状況の確認とアドバイスをかけてあげる予定だという。
「トーイ……ニコル先生が凄いのは知っているけどさ、一体いつ寝てるんだろうか?だって学園の教授で薬剤の開発していて薬局の監修だろう?」
「そうだね。赤内傷は元々教授としての研究の延長で開発して貰っているけど、最近は身体を壊すんじゃないかっていう位研究を続けていて心配なんだ……。
周りは先生の身体を心配しているけど、薬や病気のエキスパートである先生に直接言える人がいなくてね……俺やエネみたいな学生からの方が先生に言いやすいと思うからエネからも休んで欲しいと先生に言ってくれないかな?」
「分かった。先生がまた店頭に戻ったら俺からも言ってみるよ」
「エネ、ありがとう」
そう思って店頭で接客をしていたのだか、結局閉店するまでニコル先生が店の奥から出てくる事は無かった。
お店も閉店してお金の計算や在庫の確認も終わり、トーイと2人で調合室にランド店長とニコル先生を呼びに行くと、ランド店長は何十種類の調合をしていて、その背後でニコル先生が間違っていないか確認しているようだった。
「ごめんね。もうこんな時間だ!ランド店長。実技試験ならほぼ完璧だ。やっぱり問題があるとすれば筆記の方だと思う。勉強は毎日の積み重ねだからしっかりとね!!」
「はい!!ニコル先生に直接アドバイスを頂く事ができて感無量です。今日は本当にありがとうございました!!」
「うん」
ランド店長が顔を真っ赤にさせて凄く恐縮しながらニコル先生にお礼を言っていた。
ニコル先生は一生懸命頑張る人にとことん優しいからランド店長の事も大好きなんだろうな。
「じゃあ店を閉めますから帰りましょう。ランド店長、僕と一緒に帰りましょうか。家の方向も近いし。エネはニコル先生と帰る方向は一緒だったよね?ニコル先生はエネを家まで送って貰っても良いですか?」
トーイが先生と俺が帰る事をさりげなく提案してくれた。先生の体調が心配で、俺からも休んで欲しいと伝えて欲しいって言っていたからだろう。
「ああ分かった。じゃあ……エネ帰ろうか」
22
お気に入りに追加
904
あなたにおすすめの小説
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
禁断の祈祷室
土岐ゆうば(金湯叶)
BL
リュアオス神を祀る神殿の神官長であるアメデアには専用の祈祷室があった。
アメデア以外は誰も入ることが許されない部屋には、神の像と燭台そして聖典があるだけ。窓もなにもなく、出入口は木の扉一つ。扉の前には護衛が待機しており、アメデア以外は誰もいない。
それなのに祈祷が終わると、アメデアの体には情交の痕がある。アメデアの聖痕は濃く輝き、その強力な神聖力によって人々を助ける。
救済のために神は神官を抱くのか。
それとも愛したがゆえに彼を抱くのか。
神×神官の許された神秘的な夜の話。
※小説家になろう(ムーンライトノベルズ)でも掲載しています。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる