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しおりを挟むそれからというものリーアスとは平日リーアスの見回りのない日には授業後にデートをする様になった。
カフェにも行ったりするが、学園から少し離れた公園のベンチに腰掛けてお喋りしたり、王都の少し外れた街を散歩したりと俺が王都に来たらやってみたかった事をリーアスは思いがけなく叶えてくれた。
「俺王都にリーアスと一緒に来てから、本当は最初からこういう事がしたかったんだ。忙しくて忘れていたけど今思い出したよ」
「そうか……その……悪かったな。これからはもっとエネと一緒にやっていけたら良いと思っている」
2人でデートしているとリーアスは昔と違って落ち着いていて特に婚約に対して返事を求めてはこなかった。でも……
「リーアス、俺は婚約者にも婚約者のフリも出来ないよ……やっぱりさ、人を騙したりするのはリーアスにも俺も周りも……良い結果にならないと思うんだ」
思い切って自分の思いを伝えた。一緒にこうして出掛けられたのは嬉しいがそれが婚約に繋がると言えばそうでは無かったからだ。
リーアスは俺の言った事を噛み締めているのか少し考えてから……静かに俺に言った。
「エネ、返事はすぐじゃなくていい。婚約者の振りじゃなくて将来結婚して欲しいと思っている」
ええ!!リーアスが俺と結婚!!はあ?
「リーアスは……俺とそんな事を考えていたのか!!本当に急だよ……急過ぎて今は俺の理解が及ばないんだ。だから返事もできないよ」
「返事はすぐじゃなくて良いんだ。ただ、俺の気持ちはもう動かないから……エネを貰ってやってもいいと思っている」
なんてこった!!あのリーアスが俺を?信じられない。
信じられないけど……それからというものリーアスは土日のどちらかにお店の方にも来て「おい、結婚しようぜ」「ミネラおばさんも喜ぶぜ」っと……気軽に言って来るようになった。
前の態度と全然違うし、どうしたらそんな風に変わったのだろうか?
トーイも最初はとても驚いて、俺に色々と質問してきた。
「ねえ、エネ。本当にリーアスと結婚するの?」
「ははは……リーアスと結婚どころか、誰かと結婚するなんて考えた事がないんだ。
……それどころか付き合った人もいないというのに……」
「そうなの?……エネは誰とも付き合った事がないのか」
「そ、そうだよ。トーイも俺を笑うのか?」
「ううん全然笑わないよ!!むしろ……僕も同じだからさっ!とっても嬉しいんだ!!」
そう言ってトーイは大喜びしていた。
こういうのは仲間意識で喜んでいいのか悪いのか……俺も恥ずかしいけど同じ仲間がいて正直ホッとするし凄い嬉しい!!ははは……これからどちらかに恋人でも出来たら「裏切り者」になるんだろうが今は仲間だw
そんなやり取りがあってからはトーイもリーアスの行動には少し呆れているようだ。
ただ、他のお客様に迷惑はかけていないし、毎回良質のポーションを購入してくれるので「まぁほっときましょう」という事になった。
俺も最初こそ真剣に考えていたのに、重い言葉を頻繁に言われ過ぎたのか正直少し呆れ気味になっていて、「ハイハイ」と言いつつ聞いていない。
アルバイトの方はとても順調で、見習い薬剤師の見習いが取れた。すると、お給金もまた増えて随分気持ち的にも余裕が出てきてきた。
最近のランド店長はなるべく中級薬剤師の勉強に集中したいという事で俺が見習いを外れた時点で土曜日は俺が店長代理、日曜日はトーイが店長代理を務める事になった。
店長代理と言ってもトーイの方がお店の知識があるので、店長の仕事を教えて貰っている様な状態だけど。
ワンスター薬局は薬局に関わるような資格取得に協力的で、資格取得を目指す個人の希望に合わせて働いていない時間でも調合室の利用や勉強の為に労働時間の短縮などをしてくれる。
今のランド店長も平日は店長として働いて、土日は調合室にこもっている。それでも「困った事があったら聞きに来て良いよ」と言ってくれるのでランド店長は優しくて……やっぱりニコル先生みたいだと思った。
「トーイ、ランド店長も頑張ってるよね!凄いな」
「そうだね。中級薬剤師以上の資格を持っているとワンスター薬局ではより良い商品の開発をお願いしているんだ。ランド店長も開発がしたいんだって。それで開発した薬品がワンスター薬局の看板商品にでもなると、開発者にも利益が出る仕組みになっているんだよ。例えばニコル先生なんかは莫大な利益を生み出しているんだけどね。エネはどう?中級薬剤師の資格は目指さないの?」
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