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しおりを挟む俺は今……猛烈に怒っている。
本当にここ数日怒りが収まらないでいる。
リーアスに対してだ!!
ニコル先生とお話をしてからの俺は気持ちを切り替えて勉強とバイトを今以上に取り組んでいた。
ニコル先生の薬剤学部が俺のメインの学部だが、試験勉強の為に集中していた為に他の授業の単位をまだそれ程取れていないのだ。
トーイに関しては去年からそんな感じで、今はヒーヒー言いながら一生懸命単位をかき集めているように授業を受けまくっている。
俺もトーイ程ではないが、試験の為に後回していた授業をやっと受ける事ができるようになってきた。
特に防御、結界魔法の授業を受けられるのが嬉しい。
回復魔法は薬剤師試験でも必要な項目なのである程度覚えたが、俺は攻撃魔法の才能はないので防御とか結界の才能を伸ばしていけば田舎町に帰っても役に立ちそうだ。
防御、結界魔法の担当先生はシュマロン先生と言って別名おじいちゃん先生と呼ばれている。今はとても優しい先生だが、若かりし時の先生は伝説的に恐くて無類の女好き魔術師だったらしい。
女好きは今でも健在で、可愛い女の子がいると嬉しそうに授業をして、女の子がいないととても不機嫌になるそうだ。
なるそうだっと言うのは俺が授業を受ける時はまだ不機嫌になった時がないのである。
何故が俺の事を女の子と間違えているようで、いつも「エネさんは答えられるかな?」と嬉しそうに授業をしてくれる。
嬉しそうなので俺もそのままにして授業をうけているが……後で気づかれたら「騙したな!!」とかおじいちゃん先生は言って来るだろうか……はは
そんな日常をすごしていると、ミネラ母さんとレオナルドおじさんからお手紙が届いた。
久しぶりだ!!お便りが届いただけて手紙を読まなくても元気そうだと分かるのが嬉しい。
母さんの方は大きな荷物も届いていた。
荷物の方を先に開けると母さんが編んだニットのカーディガンとセーターが入っていて、胸元に【ene】と刺繍まであった……
これは……
なんかちょっと……
一見何処かのブランドの様に見えるけど胸元に名前ってちょっと恥ずかしい……
しかもクリーム色のカーディガンと淡いピンクのセーターか……
もっと黒とか茶色とかが良かったなーなんて図々しいけどさ。
ミネラ母さんは俺の事を大切に思ってくれているのは知っているし、俺も大好きなんだけど俺が大きくなっても「エネはこういう色が似合うわ」とか言って赤ちゃん用みたいな淡い色ばかりの服を編んでくれてたっけ。
折角編んでくれてるのにこんな事思っていたらいけないよあ。
よし。胸元は隠して着ればあったかいしいいか!
そうそうお手紙お手紙っと!
ミネラ母さんからの手紙を丁寧に開けて手紙を開いた。
このレターセットも実家の引き出しに入れっぱなしになっていた奴だ!!俺に使うまで入れっぱなしだったんだろうなあ。ふふっ
母さんの字も懐かしい!!
「エネ、先日はお手紙と素敵な髪留めを贈ってくれて有難う!!それと、薬剤師になったのね!凄いわ!おめでとう!!王都でも頑張っていて自慢の息子ですよ。生活の方は大丈夫かしらね?アルバイトも始めて順調とあったけれど、いい事ばかり書いてあるから逆に心配です」
わわーっと!さすが母さんは俺の性格を良く知ってるな。
でも、母さんへの手紙は多少見栄を張ってもいい事ばかり書きたいしな……まあ今度からは少し悩み事なども書いた手紙の方が心配されなくていいかも。
「ところで、リーアス君との婚約おめでとう!!私は2人が王都に旅立つ時に何となくそんな予感がしました。リーアス君なら私も安心して任せられます。エネは私に何も言わなかったので少し水くさいと思いましたが、2人で決めた事ならそれで良いかと思いました。結婚式などは卒業してからにするのかしらね?」
「………へっ?………はあっ??」
どういう事だ?どういう事だ?どうなってる??
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