【完結】幼馴染みが今日もうるさい

うらひと

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59〜ニコルside〜興す

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「そう…か……全部私のせいだな……私が直接エネ君に謝罪するのはどうだろうか?
原因は私なのだから……私はニコルを心配していたが、決してニコルの邪魔をしようなんて思っていなかったんだ」

「兄さんそれは分かっているよ。でも怖がらせる事になるかも知れないから俺から兄さんに頼む迄は何もしないで欲しい。
俺が人に興味を持って浮かれていても冷静だって、これで分かったでしょう?むしろ兄さんや父さん、母さんの方が動揺していた位だし、俺にとって足枷にしかならなかったんだから」

「……そうだな……ニコルの言う通り……だ」

「それと、兄さん、父さんに伝えて欲しいんだけど俺この家を出るよ。
どうせ兄さんがこの侯爵家を継ぐんだし俺自身もずっと前に、60日眠り病の病原の発見と特効薬の開発の成功で伯爵を賜っているから伯爵家を興すね。
父さんと兄さんには執事と侍従を何人か侯爵家で素性の良い者を見つけて欲しいと思っている。詳しい事は父さんと決めるよ」

「ニコル……父さんには伝えるが……そんなに急いで出ていく事はないだろう?」

「そうかなー?もっと早く出ていけば良かったと思っているけど」

「……その……本当に……どう言ったら良いか分からないがすまなかった。何とかエネ君の気持ちがニコルに向かう事を願っているから」

「……うん」

エネとの話を聞いて兄さんは俺よりも悲しそうな表情をしていて、俺の方が元気そうに見えるかも知れないと思った。
俺は……シュワルツ兄さんは俺に対して悪気があった訳ではない事は痛いほど分かっているから……むしろ怒れないでいて……このイライラした気持ちを何処にぶつけて良いのか分からない。

後日、家族4人が集まって俺が家を出る事が決まった。兄さんの奥さん、それにヨシュアとセーラに毎日会えなくなるのは寂しいと思ったがしょうがない。
自分で家を購入するつもりでいたが、結局家は侯爵家から程近い侯爵家の別邸を貰う事になった。

侯爵家より半分程度の大きさしかなく伯爵家としても小さい家だが、どうせ今は自分しかいないし家族が増えれば大きな家を買えばいいしと思った。

家族なんかできないかも知れないけれど……

執事はメリーが来てくれる事になったので安心した。

侯爵家の様な高位貴族の執事ともなると、どんな貴族からも一目置かれる存在でありメリー自身も貴族出身で頭も良く、信頼が厚い羊の獣人だった。

長年侯爵家に仕え続けていたので侯爵家としては引き止めたかったのだが、本人は高齢を気にしてそろそろお暇を貰いたいと思っていた。そんな時に俺の伯爵家の話がでてきたので希望したのだという。

俺の家ならば俺1人しかいないし、家も小さいのが良いのだそうだ。



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