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58〜ニコルside〜放心

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「じゃあ、先生失礼します」

「……うん、あっ……エネ…いや、……頑張ってね!エネなら大丈夫だから!でももし、困った事があれば相談に来て欲しい」

「はい。先生ありがとう御座います。では失礼します」

教室を出る前に先生と目が合ったら、先生の目が真っ赤だった事に驚いてしまったけれどそのまま教室は出てしまった。

先生と生徒の関係で気軽に話していたニコル先生も貴族だった。
モニカの話を聞いて貴族もしがらみが多くて大変だと知ったから先生も大変だろうな。

先生は優しいけれど先生の家族はそうではない。今回は誤解をといたからいいが、今後はどうなるか分からないし……何も受け取らない!これで良かったんだ。


家に帰ってからもモニカの話やニコル先生との話をずっと思い出してしまったけれど、そういえば今日は一日中ボーッとしてしまいどんな内容の授業だったかあまり思い出せない。

試験を合格してからの俺ってちょっと授業を疎かにし過ぎだ。
俺が今1番取り組まなくてはいけない事は勉強と仕事だよね。たかが土日のアルバイトと言っても俺にとって勉強になるし、本当に良い仕事先だよな。これからはもっと勉強と土日の仕事を一生懸命頑張ろう!!





ーーーーーーーーーーー
ニコルside




エネが教室を出てしまってから、放心状態から戻った時には数時間経ったような気がして時計を見たらまだ数十分だった。

結局スタートラインにも立たせて貰えなかったな……

エネを見守るつもりがどんどん何かしてあげたい、俺に甘えて欲しい、もっと頼って欲しいと思っていた。その浮かれた気分が自分の家族にとってどんな感情でいるのか考えもしていなかったのだ。

そもそも俺の家族は俺が数々のハニートラップや陥れようとする罠にかからないのをよく知っていたし、俺が結婚相手でも見つけてくれたら喜んで応援すると思っていたのだ。まさかその家族に邪魔をされるなんて思わなかった。

家に帰るとシュワルツ兄さんが玄関ホールで待っていた。

「ニコルおかえり……それで今日は……エネ君と話せたか?」

「……うん」

「そうか!!それは良かった……あっいや……それで」

兄さんはあからさまにホッとしていが、俺が暗い表情のままでいるので何かを感じとったようだ。

「……うん振られたよ……振られたんだ俺は……兄さん今からちょっと話せるかな……」

「も、勿論だ……そうか……ニコル……」

それから2人でダイニングにあるソファーセットに腰掛けて今日エネと話した内容を伝えた。

「兄さん、エネにはね、家族が誤解していた事を謝って誤解を解いた事も伝えたし、エネに会って謝りたい事も言ったんだ。でもエネは……そもそも怒ってないし、自分が立場をわきまえなくてはいけない事に気づかせてくれて感謝しているって……俺がエネを甘えさせたいと思ってした事が、エネにそんな事を言わせてしまって……自分が情けないよ」





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