【完結】幼馴染みが今日もうるさい

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唐突にお兄様のシュワルツ様が俺に質問を投げかけられた。

あれっ？お金の事で俺が切り詰めて生活していたのを嫌がっている？
少し棘のある質問だなと思った。
そんな事を言われて少し見栄を張ってみようかと一瞬考えてみるが、侯爵様達の家や生活と比べると見栄を張っても変わらないと思い直し、正直に答える事にした。

「シュワルツ様、実家には母が1人暮らしています。私を1人で育てくれたので大変だったと思いますが、そんな母の事が今でも心配で先月まで私が余分な生活費は貰わずに、生活しようとし過ぎてしまっただけなのです。
母は今でも健康に暮らしていますし、今の所お金に困っている訳ではないと思います……」

俺がそう言うとシュワルツ様は俺をじーっと見つめたまま腕組みをして何か考えている様子だった。

「エネ君やエネ君のお母さんはもっとお金に余裕ある生活をしたいだろう？」

「えっ……」

お金に余裕があればミネラ母さんにも楽をさせてあげらるからそれはそうだけど……。

そういえば、なぜシュワルツ様は俺の実家のお金の事情まで質問するのだろうか……俺の事はいいけど、実家のお金の事とか家族のお金の事情なんていくら貴族の方でもちょっと質問しずらいと思うのだけど……。

先ほどまでニコニコしていたニコル先生も空気がおかしい事に気がついたのか話を変えてくれた。

「ちょっと兄さん、何でそんな話をするの？エネ、気にしなくていいからね！！ほらっ今度はスーズキの香草パイ包焼きとカジキマグロウのステーキだよ！これも海のお魚達なんだ！！カジキマグロウはさっき食べたカルパッチョとは少し種類の違うマグロウなんだよ！！」

ニコル先生に勧められるまま食べる……どれも素晴らしく美味しかった。
美味しいのに、先ほどのシュワルツ様の質問が頭の中をぐるぐる回ってしまい考えてしまう……シュワルツ様が唐突にそんな質問をしてきた意図は何だろうか……

「どう？エネ美味しい？」

「はい、とても美味しいです」

「エネ君、いきなり変な話をして失礼したね。それで……先月は生活費が無いと言ってニコルに沢山貢いで貰ったのかい？」

ガタッ！！
「兄さん！！エネに何て事を言うんだい！！」

ニコル先生が椅子から立ち上がってシュワルツ様に突っかかった。

えっ？えっ？どういう話か全然分からなくなって来た。ニコル先生に沢山貢いで貰った？俺が？

「シュワルツ様、私には何の事かよく分かりません……」

シュワルツ様はさっきから俺をじーっと見ていて表情を変えない。ニコル先生のご両親も表情は変わらくて何を考えているのか読まれない様にしているようだ。

ニコル先生は怒っている。

「ちょっと！！兄さんは何の話をしているんだ！！今日はね！！エネが試験に合格したお祝いの為に俺がご馳走したくて招いたんだ！！別の話をするなら同じテーブルにはつかないでくれ！！父さんも母さんもだ！！」

こんなにニコル先生が怒っている所を初めて見た。シュワルツ様が先程から質問をされているけど、ニコル先生のご両親も何も言わずに表情も変えないって事は、予めシュワルツ様の質問を想定していたのかも知れない……

「最近のニコルは感情が昂る事が本当に多いぞ！！もっと冷静になった方がいい」

シュワルツ様がニコル先生を嗜めている……俺が…先生に沢山貰った？……先月？……あっそうだ！！パンを沢山！！

「あっ……今思い出しましたけど……先月の末、確かにニコル先生から頂きました……」

そう言うとシュワルツ様が急に目を見開いて１つ溜息を吐いた。

「そうか……エネ君はニコルから貰った物でもすぐに忘れてしまう性格なんだね」