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しおりを挟むニコル先生は自分の教え子の成長する姿が大好きだっと常々おっしゃっていたので、俺も少しだけ成長した姿をお見せする事ができて俺も嬉しくなった。
ただ、プレゼントはニコル先生の事をどんなに考えても自分で中々見つける事が出来ず、殆どガロン団長のアドバイス通りになってしまった。
すみません先生……ガロン団長のチョイスですけど、一応先生に合うと思って決めたのは俺ですと心の中の後めたさを謝罪しておいた。
プレゼントを受け取った先生は胸に片手を当てたまま「これ自分の部屋に運びたいから」と執事さんに伝えていて、執事さんが「では私がエネ様をお部屋にご案内しましょう」と言って大きな部屋まで案内をしてくれた。
どうやらこの大きな部屋はダイニングのようだ。
長いダイニングテーブルがあり、椅子が10席程並んでいた。その椅子の前には1セットずつナイフとフォークが置いてある。
そのダイニングテーブルの隣にある大きなクリーム色のソファーセットに案内されたのでそこに座る。おお…フカフカする……
そこに侍従さんがお茶を運んできてくれた。
すると執事さんは「暫くお待ち下さい」と言って侍従さんと部屋から出て行ってしまった。
このソファは凄い座り心地が良いな…しっかりと弾力があるにも関わらず、フワフワだ。ソファの事なんか気にした事が無かったのに、素晴らしく質の良いソファに座ってみると、こんな俺でもその良さが分かってしまう……きっと高級品なんだろうな。
それにしても広い……こんな広い部屋に1人残されると緊張が更に高まってきた……部屋は俺しかいないのでシーンと静まり返っている。
暫くすると、ニコル先生が数人の大人を連れてやってきた。
「エネ、紹介するよ。此方が私の両親と兄だよ。そして皆、此方が私の教え子のエネだよ。今日は2人で食事をしようと思っていたんだけど……珍しく今日は両親と兄が揃ったんだ。だから家族を大勢紹介してしまうけれど、そんなに畏まらなくて良いからね」
わ、いきなり家族に俺を紹介してくれた。座っていた俺も直ぐに立ったが、カチンコチンに身体が固まったように動けない。緊張が最高潮になる……と、とにかく挨拶をしなきゃ。
「は、初めまして。わ、私はエネと申します。ニコル先生のお陰で先日薬剤師試験に合格して、今は学園で学びながらワンスター薬局でアルバイトをしています。本日はニコル先生にお招き頂きましてやって参りました。何卒宜しくお願い致します」
吃ってしまったが…自分の中で精一杯の挨拶をしてからニコル先生の家族に向かって、90度くらい直角に腰を曲げて礼をした。
丁寧な挨拶をしなくちゃと思い過ぎてよく分からない挨拶になったかも知れない……ちゃんと挨拶が出来ただろうか……
曲げていた腰を元に戻して顔を上げるとニコル先生はニコニコしていたが、ニコル先生の両親は表情を変えずに俺をじーっと見ていた。
その隣のお兄様は目を大きく見開いて立っている……
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