上 下
42 / 93

42

しおりを挟む
「そうなのか……知らなかった。じゃあ俺からはリーアスに会いに行けないという事なのか?」

「いや、騎士団候補生の校舎に入ってすぐ横に受付がいるから伝言を頼んでおくんだ。その伝言を受け取って授業後に会ったりしている。だからエネも伝言しといてくれ」

あっなるほど!みんな伝言を頼んでいるのか!ガロン団長も伝言を聞くって言っていたもんな。
俺は何も知らずに騎士団候補生の校舎を覗いたりして……今から考えると団長には俺が不審者にしか見えなかっただろう……反省。

「俺は暇があればエネを探していたりするから、なるべく伝言が必要ない位には会えるようにするしな。ところで、ガロン団長とのデートじゃ無くてただの買い物はどうだったんだ?」

「うん?ただの買い物?……そうだな、リーアスは知ってると思うんだけど、ガロン団長って王都騎士団の制服を着ている時は貫禄があって恐いけど、私服になると貴族だからなのか、とても紳士でカッコ良いんだな。
ミネラ母さんのプレゼントを買いにお店に入った時もガロン団長は所作がスマートでオドオドしている俺に対しても、母さんの好きそうな物を提案してくれてさ、俺も凄く気に入…」

『エネ!!!』

「!!」

突然リーアスが大きな声を張り上げて俺を呼んだ。

店内はお客様がリーアス達しかいなかったから良かったものの、突然の大きな声にびっくりして途中で話を止めてしまった。

「あっいや、突然大きな声をあげて済まない……」

「そうだよ!!リーアス、他のお客様がいないから良かったけれど、ここは薬局なんだから気をつけてくれよ」

「エネは……ガロン団長みたいな人が好きなのか?」


「うん?ガロン団長?そうだなぁー俺が会った人の中であんなにカッコ良いと思った人はいないかも知れない。男なら団長を憧れない人は居ないんじゃないか?リーアスはどう思う?」

「憧れか……ふうん……俺は憧れるつもりはない。そう遠くない未来にガロン団長を追い越して見せる予定だからだ!!
ちなみにエネは団長をいくら憧れても、同じ様になる可能性は限りなく低いのは自分で分かっているか?」

おいおい…リーアスがニヤッとしながら普通に口攻撃のジャブを打ってきた……リーアスは俺に対して本当に意地悪な時がある。

「うっ……そんな事言われなくたってなれないのは分かっているさ!!あっ憧れるくらい良いだろー!!何だよっ早く薬買ってダンジョン行けよ!!全く!!俺を怒らせる為に来たのか!!」

そりゃあリーアスは身体も大きし、ガロン団長と同じ狼獣人だからガロン団長みたいになれそうさ!!もうモテるんだし、そうなりつつあるかも知れない。
それに比べて俺は……無理な事位、俺が1番知ってるよ!!だけど夢くらい見たって良いだろー本当にもうっ!!

「エネっエネっまだお客様が他にいないから良いけどさ、声が大きいかも知れないから抑えた方かいいよ」

トーイに窘められてハッっと気づく……リーアスも大きな声を出して俺が注意したのに、その俺が大きな声を出してどうする!!

「トーイ、済まない。後でランド店長にも謝りに行くよ」


「リーアス、そろそろお店に迷惑がかかるだろ……薬は今トーイから買っておいたからダンジョンに行こうぜ!!エネちゃん、トーイ、騒がせちゃってごめんね!!俺らもう行くわ」

ギルちゃんとゴッちゃんがリーアスのの身体を強引に引っ張り店の出入り口の方に向かって歩きながらゲオちゃんが俺にそう言ってくれた。
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

美醜逆転の世界で推し似のイケメンを幸せにする話

BL
異世界転生してしまった主人公が推し似のイケメンと出会い、何だかんだにと幸せになる話です。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...