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リーアスが急いで駆けつけて来て、ガロン団長を止めていた。ガロン団長は焦っているリーアスにニヤリと笑った。

「リーアス、別に何も誤解していない。エネ君がリーアスの幼馴染みだという事は知っている。これからエネ君とデートに行くから、邪魔しないでくれ」

「ふっ!」

「なんだって!!デート!!!エネ!!それは本当か!!!」


「リーアス……はっ、あの…俺もどうしてこうなったのか分からないけど、一緒に王都の中心街で買い物する事になったのは本当だよ」

「何故だっ……何故なんだ。ガロン団長、エネの買い物には俺が付き合います。ガロン団長の代わりにエネについて行きますから譲って下さい」

焦った様子のままリーアスはガロン団長に懇願していた。ガロン団長は逆にそれを面白がる様な感じで相変わらずニヤリと笑っている。

「それはできないな……私はレオから君の事を任されているし、エネ君の事もレオから聞いていて心配していたのはリーアスも知っているね?
私にとってはエネ君もリーアス同様息子みたいなものだ。そんな私がエネ君と一緒に行動する事に何ら違和感はない。馬車を待たせているから失礼するよ」

そう言ってガロン団長は勝ち誇った様な表情をしてリーアスを見た後、また楽しそうにズンズン歩いて行った。
俺は「よく分からないんだ」っていう事が伝わる様にジェスチャーでリーアスに訴えてみたが、リーアスは項垂れていて、それを理解してくれたかは分からなかった。

「クソッ何でなんだよ!!俺だってまだエネとデートした事無かったのに……」

そんなリーアスの呟きが俺に聞こえる筈もなく、馬車に乗り込む。

馬車に乗るのはリーアスと一緒に王都まで来た時以来だった。
その時は乗合馬車でたまにガタガタしてお尻が痛くなった記憶があるが、この馬車は乗り心地がとても良くてこんな俺でも高級と分かる。
馬車の中でもガロン団長から質問攻めにあったが、答えていたらあっという間に目的地に着いてしまったみたいで馬車は静かに止まった。

「ここだ。この店ではエネ君のお母様のギフトを購入しよう」

そう言って入って行った先は、女性が好きなキラキラしたペンや鏡などの小物や化粧品が揃えてあるお店だった。店内は混んでいて女性ばかりで男は俺とガロン団長2人だけだった。

場違いな2人が入って来たと思ったのだろう……店内にいた女性達が騒ついたが、ガロン団長が有名人なのか「ガロン団長よ」「ガロン団長だわ」「ガロン様素敵」という囁きが聞こえている。やっぱりガロン団長は女性に人気だった。俺でもかっこいいと思ったんだから当然だよな。

ガロン団長はそんな騒ついた店内でも意に介さず、品良く落ち着いて商品を確認していくので、不思議とこの店の雰囲気に溶け込んだように見えた。
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