25 / 93
25
しおりを挟む「ここが働くワンスター薬局だよ」
トーイと話していたらあっという間にワンスター薬局に到着してしまった。
薬局は白塗りの建物で看板には一つ星のマークが赤く描かれている。
「俺の家の近くにあるワンスター薬局とほぼ同じだねーふふっ」
「そうだね!大体どの支店も同じ様な作りをしているのさ!その方がお客さんもワンスター薬局を見つけやすいからって考えたみたい」
「なるほど!確かに!!」
「じゃあ案内するよ。従業員はこっちの裏口から入るんだよ。入るとすぐにロッカーがあるから白衣を着よう」
トーイについて行き薬局の裏口から入ると、すぐ更衣室という部屋があり、トーイの身長と同じ位の細長いロッカーが数個ある。その一つに【エネ】と名前が描かれていた。
「それが、エネのロッカーだよ。で、これが鍵。ロッカーを開けると白衣があるから着てみて。適当なサイズを用意しちゃったけれど、合ってるかな?」
自分のロッカーに名前が入っているのもちょっと感動してしまったけれど、ロッカーを開けると白衣にも自分の名前が刺繍してあり、嬉しくなった。その白衣の袖を通してみる……
「トーイどうかな?サイズ合ってる?」
「可愛い!!」
「えっと……サイズ?」
「ああ……サイズね……ピッタリだ」
「エネって白衣が似合うんだね!!そうそう、その白衣の胸の刺繍の下に自分の薬剤師バッチをつけて完成だよ」
「分かった」
白衣に金色に光ったバッチをつける……よし。
「出来たね!!本当に似合っているよ!!そしたらここにある使い捨てマスクをして……じゃあ部屋を案内するから、またついて来て」
「はい!トーイ先輩!!」
「エ、エネ!!何だい?先輩だなんて、殆どエネと働く経験値は変わらないよw」
「良いんです。今日はトーイ先輩と呼ばせて下さい」
「良いけど……今日だけにしてね。折角対等で近い立場が遠くなったようで嫌なんだ」
「先輩、はい、分かりました!」
トーイははにかんだ表情をして部屋を案内してくれた。
部屋といってもお店がメインでその裏に、更衣室と、薬の調合室と、商品の在庫を置く在庫室の3部屋があった。
トーイについてそのまま店頭にも行った。
するとお客様は丁度いなかったが、白衣をきた男性が商品整理をしている最中だった所をトーイが呼びに行った。
「ランド店長、ランド店長、紹介します。僕と一緒に薬剤師になったエネです。エネ、こちらはランド店長だよ。ここの支店の店長をしているんだ。」
ランド店長は短い黒髪で赤い瞳に眼鏡をかけていた。やはり薬局で働いているだけあって見た目も清潔感がただよう人に見える。
「ランド店長ですね。初めまして私はエネと言います。今日から一緒に働かせて貰う事になりました。これから宜しくお願いします」
ランド店長に挨拶をすると、ランド店長は一旦自分のマスクを外したのを見て、俺も失礼だったと思い、一旦マスクを外して顔を見せた。
ランド店長は眼鏡の奥にある赤い目が俺の頭から足まで何度も上下して驚いた表情をし、その内嬉しそうに笑ってくれた。
あっランド店長の八重歯が可愛い。
「君がエネ君だね。待っていたよ。今日はトーイと一緒に仕事をする予定だね。今後分からない事があったら私にも聞いてくれたら教えるからね」
「はいっ!ありがとうございます!」
ランド店長と挨拶した後は、トーイと店頭にたった。
お客様がいる時はランド店長がお客様に薬の事を説明している様子を俺も参考にしながら購入して貰ったり、お客様がいない時には商品の名前を一生懸命に覚えた。
ランド店長はここの支店を任されながらお客様がいない時には裏の調合室で薬剤の調合の勉強を行っているらしい。
21
お気に入りに追加
915
あなたにおすすめの小説

僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。
【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜
N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。
表紙絵
⇨元素 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定、ご都合主義です。
※ハーレム要素を予定しています。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

【完結】塩対応の同室騎士は言葉が足らない
ゆうきぼし/優輝星
BL
騎士団養成の寄宿学校に通うアルベルトは幼いころのトラウマで閉所恐怖症の発作を抱えていた。やっと広い二人部屋に移動になるが同室のサミュエルは塩対応だった。実はサミュエルは継承争いで義母から命を狙われていたのだ。サミュエルは無口で無表情だがアルベルトの優しさにふれ少しづつ二人に変化が訪れる。
元のあらすじは塩彼氏アンソロ(2022年8月)寄稿作品です。公開終了後、大幅改稿+書き下ろし。
無口俺様攻め×美形世話好き
*マークがついた回には性的描写が含まれます。表紙はpome村さま
他サイトも転載してます。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる