【完結】幼馴染みが今日もうるさい

うらひと

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20〜ニコルside〜合格

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答案用紙の採点を行ったその日の学習室で、エネに今回の模擬試験の結果が良かった事を褒めてあげたら、エネは大きなキラキラした目をもっと大きく輝かせて嬉しそうにしていた。

くぅーー可愛いじゃないかっ!!

そのまま学習室で生徒がそれぞれ間違った回答の見直しをする。

その内「今日はこれで帰ります」と1人、また1人と教室から退出してエネ1人となってしまった。
エネはずっと勉強に集中しているせいか、自分以外が帰ったのも分からないかもしれない。

今は俺と2人っきりなんだが……エネの机に近づいてみるが俺の方は全く見ないで一生懸命参考書とノートを見比べて勉強に集中している。

ははっ……君は本当に真面目で……俺に全く興味なかったんだねー

めちゃくちゃ可愛いなぁ。君の全力で勉強に取り組む一生懸命さに胸が高鳴るよ。

エネに声をかけるのが遅くなってしまい、家まで送ってあげる事にしたらお断りされた事にも笑ってしまう。

勉強以外の事を話てみると、エネは観察していた通りあんまり自分に興味がないと思っていたが、どちらかというと自分の魅力に全く気づいていない事が分かった。

田舎街で育ったから外見の事でチヤホヤされて育っていなかったんだろう。

エネが王都で育っていたなら、チヤホヤされて今のエネの様な純朴で真面目な性格にはならなかったかも知れない。

その位エネは王都の中にいても可愛くて目立ってしまうと思うんだけど。

本人が可愛い事を自覚していないのは本当に危ないけれど、今本人に注意して勉強に集中出来ないのは可哀想だし、こんなに無防備なエネもすっごい可愛いから試験まで出来るだけ見守ってあげよう。うん、そうしよう!!

結局エネの家まで送って行く事になり、帰り道は薬学の質問を沢山してくれて俺の話にもしっかり付いて来てくれた。

外見も可愛いのに真面目で親想いとか最高かっ!!と思ってついついエネの姿を観察するとやっぱり随分と痩せてるじゃないか……

生活費を切り詰めてるからちゃんと食べて無いのかなぁ……エネの事が気になって仕方がなくなって抱きついてしまった。
身体を触ってみるとほらっ!やっぱり痩せてるじゃないか。

もうすぐ試験だし、試験が終わるまでは勉強以外の刺激を与えるのは得策じゃ無い。
だけど試験が終わったらご飯を沢山食べさせてあげよう。毎日でもいいな。

心配していると「大丈夫ですよ」と言って俺に心配させまいと今度は俺を強く抱き締め返してくれた。

はーっ俺はもう人を好きになるという感情を持ち合わせて無いと思っていたが……こんな幸せで嬉しい気持ちになるのなら、これがそうなのかも知れない。


そして試験はエネならきっと合格するだろうと思っていたらやっぱりエネは合格だった。

今年の俺のクラスの受験生は4人と少なかったが……少数精鋭での合格率の高さに他の先生達からの評価がまた上がった。

俺も再挑戦組は当初から合格するだろうと予想してクラスの合格率は試験の合格率と同じ50%と思っていたが……エネのお陰でうちの学園は75%に跳ね上がってエネ様様だ。
ミーシャは今回の合格は内心難しいと思っていたが、受験経験をさせるのも大事な事だと思って受験資格を与えた。


合格を伝えた時には今回落ちてしまったミーシャに配慮して小さな声で「先生有難うございました」と言ってくれた。

エネ!!此方こそ頑張ってくれて有難う!!

先生はとても嬉しいし、胸がドキドキするんだよ。

それからエネには合格したら御馳走を作ってあげる約束の日を決めてあげようとするが「お給金が出るので先生にお礼したいから来月迄待って欲しい」と言われてしまった。

そうか、しまった……俺はずっと裕福に育ってきたから気軽に誘ってしまったけれど、エネにとっては今は月末で生活費も辛いのだろう……そんな中でもお給金がでたらお礼したいって、家に招かれて失礼のない様にと考えてくれてたのか……健気過ぎてまた抱き締めてしまった。
ああ……エネはやっぱり痩せすぎじゃないかー
つい、帰り道にあったパン屋でパンを大量に買って渡してしまった。

この位なら高価でもないしエネが遠慮しないで貰ってくれるだろう。

やっぱり高級なアクセサリーでも洋服でもないのに、エネは大量のパンに驚いてとても嬉しがってくれて良かった!!

とりあえず今日はパンを沢山食べてしっかり栄養を摂るんだよ。

そして来月家に来るのが楽しみだ!!
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